採用試験でも慌てない自分でいるために。勝負強さは日々の努力の積み重ね「Lond vallee渋谷」田中莉乃さん
美容室経営の常識にとらわれず、スタッフ第一主義を貫く「Lond」。その勢いは衰えることなく、創業から11年が経った現在では、全国に69店舗を展開するまでになっています。
そんな「Lond」に2023年に入社し、たった9ヶ月でスタイリストとなったのが、「Lond vallee渋谷」所属の田中莉乃さんです。
前編では、田中さんが美容専門学校時代にワインディングの大会で常に1位をとっていたことや、就活に際して準備したことなどについてお話しを伺いました。
後編では採用試験の様子を伺います。面接では充分な手ごたえを感じていたという田中さん。それはワインディングで結果を出したり、3週間に1回希望のサロンに通ったりと、入社したい思いを行動で示してきたから。「勝負強さは、日々の努力の積み重ねでできるもの」と田中さんはいいます。
また入社後に9ヶ月という短期間でスタイリストデビューをすることができた理由も、お聞きしました。
今回、お話を伺ったのは…
「Lond vallee渋谷」スタイリスト
田中莉乃さん
静岡県出身。幼少期から美容の仕事に就くことを夢見ており、高校卒業後に美容専門学校へ入学。専門学校在学中はワインディングの大会で1位の座をキープするなど、常に練習と努力を重ね、技術習得に力を入れてきた。2023年には新卒採用で「Lond」に入社し、2024年1月には9カ月でのスタイリストデビューを果たす。品のある大人ボブなどを得意とし、「Lond」で注目を集めるスタイリストのひとり。
準備がきちんとできていれば、いつもの力は必ず出せる
田中さんが面接に持ち込んだ「ワインディングノート」。これまでの努力を形として見せることでアピールに成功したという
――実際の採用試験は、どのような形で行われましたか？
人によっては、2次面接まで行われる人もいるようなのですが、私の場合は1次面接ですべてが決まりました。幹部全員と応募者のグループ面接という形で行われました。
――面接で聞かれた内容で、印象的だったことはありますか？
面接でよく聞かれるような一般的な内容ばかりだったのですが、ひとつだけ「今までにした一番悪いことは？」という質問をされたのは強く印象に残っています。でもとくに悪いことをした記憶はないので、かなり困りましたが、「ないです」と答えて終わりましたね。あの質問の意図は今でもよく分かりません（笑）。
――面接で心がけていたことは、どんなことでしょうか。
面接の場で第一印象を強くアピールできることはないと思ったので、事前の準備がとても大事だったかなと思います。私は面接のためということではなくて、ワインディングがただうまくなりたいという思いから、「ワインディングノート」というものをつけていたので、それを面接に持って行きました。
毎日のように自分が練習したワインディングの写真を撮って貼り付けたり、反省点や良かった点、タイムを全部記録していたので、自分がどれだけ努力をしてきたかを分かってもらえて、アピールにつながるのではないかと思ったんです。
――面接が終わったあと、手ごたえはありましたか？
正直にいうと、私が受からなかったら誰が受かるんだろうと思うくらい、手ごたえを感じていました（笑）。
――それは、これまでの行動が伴っているからでしょうね。
そうかもしれません。練習をしたり、きちんと準備をしないと、大事な場面で気持ちの弱い自分が出てきてしまったり、だめかもと自信を失ってしまうことも多いと思うんです。それは面接でも同じだと思っていました。勝負強さは日々の努力の積み重ねだと思うので、行動をしていればとくに怖がることはないのかなと。
1回の面接で自分の良さを知ってもらうのは難しいと思い、お店に通っていたので、面接で過度に緊張したりすることもなかったです。
早期デビューを実現させたのはカリキュラムの充実と先輩の優しさ
田中さんが所属する、「Lond vallee渋谷」。先輩が当たり前のように後輩を指導する空気があり、アシスタント時代は毎日2回、練習を見てもらっていたという
――入社後は、9ヶ月でデビューをされたそうですね。どのようにして実現したのでしょうか？
前編でもお話ししましたが、「Lond」には自社アカデミーがあって、カリキュラムがとても充実しているので、技術を着実に伸ばすことができました。また、「Lond」は先輩たちがすごく優しくて、私は毎朝、毎夜、練習を見てもらっていました。それに対して、誰も「今日は無理」といわないんですよね。いくらひとりで練習しても、技術の向上は難しいので、練習に付き合ってくれる先輩がいるというのは、本当に大きかったと思います。
あとは、私が効率を考えるのが好きというのも、デビューを早めた要因かもしれません。たとえば先輩にチェックをしてもらう日が決まったら、それまでに必要なことを逆算し、効率を考えて練習をしていました。早く活躍したいという思いがあったので、時間を一切無駄にしたくなかったんです。
――お話しを伺っていると、ずっと練習をしたり、努力をされていますよね。嫌になったり、遊びたいと思ったりすることはないですか？
ほとんどないですね。遊ぶことも悪いことではないと思うのですが、遊ぶ楽しさは一瞬で終わってしまうんですよね。でも練習をしていたら、結果が必ずついてくるので、あとに残る楽しさというか。私にとっては遊ぶより、結果が出たときの楽しさのほうがよっぽど上なんです。
練習すれば早くデビューできるし、活躍もできるし、お客様にも喜んでいただけます。自分の自信や幸福度にもつながると思うんです。
要するに美容師の仕事は、やった分だけ自分に返ってくるんですよね。これこそが、美容師のやりがいだと私は思っています。
就活は戦い。戦略と効率を考えることが大切
就活を振り返り、「戦い」だと称した田中さん
――就活は田中さんにとってどんな体験だったと思いますか？
戦いのようだったなと思います(笑)。「Lond」に入りたい人はたくさんいるし、そのなかで勝ち残っていかなければいけないわけですし。
やみくもに努力をするより、自分を見て、選んでもらうためにはどうすればいいか、考えて作戦を練ることがとても大切だと思いました。
入りたいサロンがあったら、絶対私が入るんだ！という強い思いを持って挑んでみてください。きっとその目標を実現することができると思います。
田中さんが、高いモチベーションを維持できた3つの理由
1.いざという時に結果を出すためには、普段の行動が大切だと捉えていた
2.意欲を持って練習することを、先輩がフォローしてくれる環境があった
3.努力したことはいつか自分に返ってくると信じていた
強い精神力を持って、目標に向かって突き進む田中さん。その姿勢から多くのことを学んだ取材となりました。これから美容師として活躍したい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
