季節を通してファッションを楽しむための必需品【光透けるストール#1】
日本国内のモノづくり、どのくらいご存知ですか?
大量生産に埋もれて、ますまず価値のあるものが見失われていくいまこそ、丁寧なモノづくりをしているブランドを知るべき時です。
日本全国の、さまざまな“モノ”や“コト”をストーリーを交えていま一度見直してみるこの連載では生活を豊かなものにしてくれるモノやコトに出会えます。
軽くて華やか「光透けるストール」の秘密とは?
この“光透けるストール”を手に取った人は、大概の人が「大判なのに、なんて軽くて、そして肌触りがいいのかしら!」と驚くといいます。
このストールが誕生するのには、生地メーカーの熱い想いがたっぷり込められたストーリーがありました。
春のおしゃれにも大活躍する、このMade in Japanの美しいストールの人気の秘密をお教えします。
Part1 超極細の糸を魔法のように織りあげる
普段のコーディネートに巻くだけで印象が変わるストールは、どんな人でも1枚は持っているはず。もちろん、おしゃれの為だけじゃなくて、冬は防寒になるし、夏場も肩にかけるようにすれば、冷房対策にもなるので、一年中とかく重宝するおしゃれアイテムの代表格ともいえるものです。
そんな便利なストールを選ぶときは、どんな選び方をしていますか? 見た目の華やかさ? それとも素材? その両方を叶えてくれるのが今回ご紹介する“光透けるストール”です。
このストールは静岡県掛川市にあるテキスタイルメーカー「福田織物」が作っています。このあたりはもともと綿を栽培するのに適したエリアであり、海が近く海風が運ぶ程よい湿度が機織りに適したことから、繊維産業が盛んだったそう。しかし、時代の変化とともに中国産などに押されるようになり繊維産業もだんだん元気がなくなってきてしまっていたとか。そこで2代目の現社長がものづくりそのものの改革に取り組みます。せっかく培ってきた歴史と技術を生かし、オンリーワンのものを作る、という決意です。
その中で出会ったのが、髪の毛よりも細い綿の糸でした。じつは超極細の糸というのは、生地に織り上げるのが至難の技。福田織物では、創業以来大切に扱ってきた織機(ルビ・しょっき)に工夫を凝らし、失敗を繰り返しながらもこの世界一極細といわれる糸を使って、まるでシルクのような手触りの生地を織り上げるのに成功します。じつはそれは世界的にも画期的なことであり、専門家に生地を見せて「あの極細の糸で織り上げた」と言っても、なかなか信用してもらえないくらいのことだったのです。
しかし、工夫を凝らし、苦労して完成した生地はあまり人気がなく、商品としてなかなか世の中に出ていかないという壁が立ちはだかります。ところが、生産を初めて3年目のこと、展示会でこの世界一極細の糸を使った生地は、誰もがブランド名を聞いたら知っている、とある世界的ラグジュアリーメゾンの目にとまります。「こんな細い糸で織り上げた生地に出会ったことがない」と、世界中のテキスタイルの目利きでもある、ブランドの担当者が驚いたそう。このことをきっかけに、この世界一極細の糸を使って福田織物が織り上げた生地の人気は順調に高まっていきました。オンリーワンのものづくりをする、そして「感動を生むものを作りたい」という社長の熱意が見事に結実したのです。
世界的にも認められた福田織物の生地。しかし、このまま生地を生産して卸すだけではなく、もう一歩前進したことに取り組みたいという思いも生まれました。そこで、今までテキスタイルメーカーとして裏方に徹していた福田織物でしたが、この極細の糸を使った糸でオリジナルブランドを立ち上げます。それが「光透けるストール」というわけなのです。いままでメーカーだった側の新たなるチャレンジ。さて、2回目はこうやって誕生したストールの魅力についてご紹介します。
構成・文/高橋麻紀子
軽さ!肌触り!華やかさ!どれをとっても満足度十分!【光透けるストール#2】 >>