癒やしのパワーでアシストする! 人と動物の新しい関係とは『アニマル・セラピー』

みなさんはアニマル・セラピーという言葉を知っていますか? それは動物と触れ合うことによって、心身のケアをアシストする治療のことを言います。世界中でさまざまな動物が活躍していますが、今回はそのなかでもとくに多いとされている「セラピードッグ」にスポットを当ててご紹介します。

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アニマル・セラピーとは?

アニマル・セラピー(アニマル・アシステッド・セラピー)。日本語に翻訳すると「動物介在療法」と言います。その意味は名前の通り、動物と触れ合う時間を作ることによって、心身のケアをする治療法のことです。

セラピーに使われる犬は、セラピードッグと言われています。セラピードッグにはさまざまな犬種がいますが、どの犬も人間に対する忠誠心と深い愛情を持って、障害がある方や高齢者、そして精神治療やリハビリを必要とする患者さんの手助けをしています。医療の現場でのアニマル・セラピーの場合は、医師の診断と医学に基づいてプログラムを組み進めていきます。

アニマル・セラピーの定義は、「動物との関わりによって、健康の質を向上させる」と言われていますが、その定義を大きくとらえると医療の現場だけではなく、身近な触れ合いもアニマル・セラピーと呼べるのです。

たとえば……

  • 動こうとしなくなりがちな高齢者が、犬と触れ合うことによって精神的にも身体的にもリハビリにつながった。
  • 目の不自由な人が盲導犬と暮らすことによって、生活範囲が広がって充実することができた。
  • ひとりっ子の家でペットを飼ったことによって、世話をして責任感を学ぶことができた。

このように人は動物と関わりを持つだけで、心にも身体にも何かを感じとり変化する可能性があるのです!

アニマル・セラピーに“犬”が選ばれる理由

アニマル・セラピー

たくさんいる動物の中、アニマル・セラピーにおいて犬が多く選ばれることには、いくつか理由があります。犬は他の動物と比べて、人の言葉を理解する能力が高いと言われています。「お手」や「おかわり」など、いくつもの言葉を理解し芸をする犬などいますよね。自分が言った言葉を理解してくれて、意思を通じ合わせることができることは、心のケアに何よりも繋がりやすくなります! また、人に触れられることが好きな犬は、撫でられるとしっぽを振りうれしさを表現してくれます。素直な喜びをダイレクトに伝えてくれるところも、犬がアニマル・セラピーに選ばれる大きな理由のひとつになっています。

セラピードッグは犬種もさまざまです。大型犬はラブラドールレトリバーやボーダーコリーなど、小型犬はチワワやマルチーズ、シー・ズー、ダックスフントなどが活躍しています。

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セラピードッグのお仕事とは?

アニマル・セラピー

セラピードッグは、老人ホームなどでの活動も多くあります。そこでの活動は、高齢者がセラピードッグの体を撫でたり、膝にのせて話しかけたりなどさまざまなコミュニケーションをとります。動物に触れたいと思うことにより、寝たきりだった人が「起き上がろう!」という意思に繋がり、実際に起き上がることができるようになった人もいるそうです。セラピードッグは特別なことをする訳ではなく、自然に関わり合っていく中で心身のリハビリをしてくれる存在なのです。

他にもいろいろなアニマル・セラピーがあります!

ここでは、セラピードッグだけでなく他のアニマル・セラピーをご紹介します!

ドルフィンセラピー

アニマル・セラピー

好奇心が強いイルカは、人間に対しても興味を持つ動物です! ボートに乗った人を見つけると、そのボートが起こす波で遊んだりすることもあります。また、イルカには不思議な能力があり、健常者と自閉症患者を自然と見分けることができると言われています。健常者が水に入るといたずらをするイルカでも、自閉症患者が入った場合はいたずらすることもなく、注意深くおとなしくしてくれたなどのエピソードもあります。

イルカと自閉症患者が一緒に泳ぐドルフィンセラピーでは、親に対しても興味をしめさなかった患者が、イルカの鳴き声を真似してイルカの注意を引こうとし、積極的に行動するようになったそうです。また、イルカと仲良くなれることによって、うれしさとともに達成感も感じられ、自閉症患者の社会的なスキルもアップしていきます。

ホースセラピー

アニマル・セラピー

次は、古代ギリシャ時代からの長い歴史をもつ馬を使ったホースセラピーです。ホースセラピーは、アニマル・セラピーの中でも医療や教育、スポーツ、コミュニティなど多くの要素を持っているといわれ、直接的にセラピー効果が認められています。

本来馬は、群れで行動する動物なので、人のように社会性を持ち合わせています。あんなに大きな体を持ちながらも、慎重な性格で心が優しい動物です。ホースセラピーでは、馬の気持ちを考えて一生懸命世話をすることにより、馬と気持ちが通じ合い喜びが生まれます。また、馬に乗ると日常生活ではあまり体験できない高さを感じることができます。ただ馬に座っているだけで、馬から伝わってくる振動やリズムが脳を刺激して、普段は使わない神経や筋肉をたくさん使うことができます。

その他にも、猫やうさぎ、なんと猿までもあるそうです!

いかがでしたか? アニマル・セラピーについて少しは知っていただけたでしょうか。動物たちは、私たち人間が思っている以上に特殊な能力を秘めています! 動物と人間は会話ができませんが、心が通じ合えばいいパートナーになれる関係なのです。

参考文献

「ペットと日本人」(宇都宮直子/文春文庫)
「動物介在治療 セラピードッグの世界」(大木トオル/日本経済新聞出版社)

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