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サニー久永 interview:恩師と出会いこの道を進み、施術者、経営者としてお客さまに関わる今

施術技術者としての立場と、経営者としての立場。常に両輪を意識して勉強に仕事に取り組んできた久永さん。「自分を表現できる技術者を育成することで、技術者自身もお客さまにも喜んでもらうことができる」という信念のもと、講演などの活動を続ける久永さんに、就職に悩むリジョブ読者に今までの経験を熱く語っていただきました。

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きっかけは恩師との出会い

サニー久永さん

「今は経営者としてあまり現場に出ていませんが、柔道整復師、鍼灸師、整体師、セラピスト、あんまマッサージ指圧師などの肩書きがあります。体操競技の、日本オリンピック委員会強化スタッフトレーナーとしてオリンピックに同行したこともあります。いろいろ経験しましたが、こういう職種に就いたきっかけは『このお医者さんのようになりたい』という恩師に出会ったことです。

高校生の頃、叔母が難病になり、病院を転々としたのですがなかなか良くならず、ほぼ寝たきりのような状態になってしまったことがありました。その時、知人から紹介してもらったお医者さんに診てもらったら、一年半くらいでゆっくりと回復に向かったのです。そのお医者さまは、西洋医学と東洋医学を学んでらして、整体と漢方なども活用されており、その後、私自身が盲腸になった時、先生に診ていただいたところ手術しないで治ってしまいまして、大変感銘を受けたんです」

新聞配達をしながら、指圧・鍼灸・柔道整復師の学校へ

「もともと医者になりたいとは全く思っていなかったのですが、その先生と出会い、感動し、こういう道に進みたいと相談したところ、柔道整復師や鍼灸師、マッサージ師などの仕事もあると紹介されました。それで学校に通い出したのがきっかけです。

私は鹿児島出身なので、地元の学校に進もうと思っておりましたが、恩師の強い勧めで上京しました。親には頼りたくなかったので、生活費は新聞配達のアルバイトで稼ぎました。

新聞配達をしてから朝学校へ行き、授業が終わったら夕刊を配り、そんな生活を続けて無事指圧の国家資格を取ることができました。そして恩師に報告したら『せっかく東京にいるのだから、鍼灸の免許も取った方がいい』と言われたので、またアルバイトを続けながら鍼灸・柔道整復師の学校に入学しました。結果として、6年間新聞を配っていましたね(笑)。

朝3時くらいに起きて新聞配って、学校に行って、戻ると少し自分の時間があるので勉強をし、夕刊を配ってから夕方の学校に行き。世間はバブル期だったらしいんですが、私はそんな生活でしたから、バブルに全く気がつきませんでした(笑)」

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人間の身体は理論通りにはいかない

サニー久永さん

「そうして指圧・鍼灸・柔道整復師の資格を取りました。日曜日は夕刊が休みなので、日曜だけ治療院のアルバイトもやるようになり、現場での仕事もさせてもらうようになったのですが、そこでカイロプラクティックという技術を知り、本格的に勉強したいと思い始めました。新聞配達を辞め現場での仕事が多くなってきた頃に、カイロの学校へ行きました。その前から週1回くらいの頻度で整体の学校にも通っていたので、今度は治療院と学校の往復の毎日になりました(笑)。

実際にお客さまに触れて、元気になられるのを目の当たりにすることはもちろん喜ばしいことですし、学校で学んだことをすぐお客さまに話せる環境にいるということも楽しかったですね。忘れないうちに実践できますし、技術を何度も繰り返して身につけることができます。生活費のために全然違う仕事をしている頃は、学んだことをすぐにアウトプットできる状況ではないので、どうしても理論ばかりになってしまいますよね。

しかし、実際にお客さまとお話ししてお身体を触らせていただくと、理論通りに行かないことが多々あります。実際の人の身体って教科書とはぜんぜん違う、ということは、現場に出てみてとても実感したことですね」

心を解きほぐすことにより、身体も和らいでいく

「お客さまはそれぞれ感情をお持ちなので、丁寧なカウンセリングとアドバイスで体調が変化する様子を何度も目の当たりにしてきました。机上の授業だけだとその重要性がわかりにくいですが、現場でお客様に接してこそ実感することができる貴重な体験です。

最初は質問してもなかなか心を開いていただけないお客さまが、2、3回目にご来院された時にようやく悩みを打ち明けてくれたり、ということもあります。施術自体の技術向上と同時にカウンセリングの技術も向上していかなければいけないですね。

嬉しかったことは、この仕事をしているみなさんがそうだと思いますが、目の前でお客さまに喜んでいただけることです。その方にとっての重荷がなくなったのか、泣いて喜ばれる方もいらっしゃいます。そういう時は、この仕事を続けていて良かったなあ、と思います。開業した当時、従業員は受付の1人だけという時があったのですが、たまたま忙しい日に受付の人がお休みで、僕は1人でてんてこ舞い…という時、気づいたらお客さまがお昼を持ってきてくれたり、ベッドメイクしてくれていたりしたことがあります(笑)。そういうお客さまとの信頼感を得られることが嬉しいですね」

積極的に人の集まる場所へ行く

サニー久永さん

「勉強中の時期は、落ち込んだり、この仕事は向いてないんじゃないかと悩む方もいらっしゃるでしょう。私自身は、そういう時は同業他社に、お客さんとして行っていました。そうすると、そのサロンのいいところが見えてくると必然的に自分のサロンの改善点も見つかりますし、それと同時に自分のサロンの勝っているところも気づき、それが自信に繋がってくるのです。

また、異業種の方と触れ合うと、新鮮な感動がありますから、異業種交流会とかセミナーなど、人が集まるところには積極的に顔を出した方がいいと思います。異業種の方だと、ちょっとした知識や知恵でも喜んでいただけますし、逆に何かヒントをもらう場合もありますしね。学生割引の効くセミナーなどもありますから、時間があったらマメに交流してみるといいでしょう」

経営者が求めるスタッフ像

「経営者視点で見ると、採用する時は年齢や経験度はあまり重要視していません。技術に対する自信があることはいいことですが、それを上回る『お客さまに喜んでいただく気持ち』を求めています。いかにお客さまが喜ぶようなところに耳を傾けることができるかが大事なのです。

今、施術者になるために学校に通っていて現場を未経験の方は、業界の諸先輩方のお話をたくさん聞くといいですよ。いろいろな経営者、先輩方がいます。同じ業界でも、チェーン店なのか個人店なのかでも目指しているものが違うでしょう。

そして、他業種からの転職者は、多様なスキルを持っているということに誇りを持っていいです。例えば、ずっと営業をやっていた方がサロンを開くと、技術一筋だった人のサロンよりも繁盛してしまうことがあります。それはこの業界は技術の善し悪しももちろんですが、何より大事なのは、セラピスト自身が商品だということです。今までやってきた自分の強みに気づいた上で、業界の常識にとらわれずにその強みをプラスすることで、差別化が可能なのです。あなたのいままでの経験はすべてあなたの武器なりますから!」

技術ではなく個人を売る

サニー久永さん

「私は、最近は経営や集客の相談の仕事が増えています。学校では技術は教えますが私が通っていたときは経営のことは教えてくれませんでした。私は経営者を目指していましたから自分で中小企業診断士の資格の勉強もしましたが、周りを見回してみると、いざ開業して困っている方が大勢いらっしゃいました。

技術職の方は、技術を深く習得していくことが楽しくなってしまうのですが、技術の勉強ばかりだと経営がおろそかになりかねないんです。就業規則や雇用契約なども学校では教わらないので、トラブルが起きてから勉強される方がとても多い。ですが業界全体の信用のためにも、その前に勉強しておいた方が絶対にいいです。集客に関しては、個人を売る、ということをお薦めしています。お客さまは店ではなく技術者についてきます。美容師さんだってそうでしょう。「私はこんな施術者です。」ときちんと自分を個として際立たせる重要性をセミナーではお伝えしています」

技術力と発信力を兼ね備えた施術者に

「今後、私がやりたいことは2つあります。まず1つは、日本の技術を海外に持っていきたいです。指圧(Shiatu)はもう海外で認知があります。私はカイロプラクティックとストレッチと呼吸法を融合させた骨格ストレッチというものを開発したのですが、これを日本独自の技術として海外のサロン経営者や技術者に教えていきたい。実は3年前にラスベガスでセミナーをやったり等の活動は行っているのですが、今後はそれを定期的に継続して行いたいですね。

もう1つは、今行っている、地域に根差して開業されている方々の悩みが解決するようなアドバイスをもっと広く行っていきたいです。サロンを知ってもらわなければいけないのに大抵は開業すると施術に集中してしまう。そうすると、施術者の人柄を分かってもらえない、というジレンマがあります。

技術のある方がきちんと集客をすることによって、お客さまも含めてみんなが幸せになれる。そういう良い循環が生まれるといいですよね。それにはやはり施術のみではなく、自分を表現すること。発信力のある施術者さんを育てたい、というのが今の目標です。

やはりこの仕事は『手に職』であり、直接人に触れる業種なので、すぐに『ありがとう』という感謝の言葉が聞ける、とてもやりがいのある仕事です。海外でもフィジカル系の日本人セラピストはどこでもひっぱりだこですし、チャンスもたくさんあります。みなさん、ぜひ技術と発信力を身につけて、選ばれる施術者になってください!」

Profile

サニー久永さん

サニー久永(さにーひさなが)さん

骨格ストレッチ(ジョイレッチ)協会理事長

マッサージ指圧師、針灸師、柔道整復師、整体師、カイロプラクターの資格を持つ。

JR東日本スポーツクラブ『ジェクサー』、東急スポーツクラブ『OASIS』他、フィットネスクラブ等30数店舗のサロン・治療院の開業実績を持ち、リラクゼーションセラピストを育成するためのプロフェショナルセミナーの実施等で後進の育成にも力を注いでいる。

「骨格3分ストレッチ」(幻冬舎)他著書多数 電子書籍「疲れないカラダの作り方」が2013年上半期Amazon Kindle 総合1位を獲得。

Company

オアシス

オアシススクール・コンサルティング

スクールは、1回の講義最大6人までの少人数制で、ボディラインを変える骨盤スリミングセラピーの他に、デトックスセラピー、アイトリートセラピーなど他のサロンとの差別化ができるオリジナルテクニックを指導している。各コースは、2日間10時間で完結するので、思い立ったら新しい技術を習得することができる。

また、治療院やサロン全般の経営についてや店舗立ち上げのアドバイスなども行っている。詳しくはホームページを。

オアシスグループ オアシスグループ http://oasis-group.co.jp/

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