加藤梢 interview:カフェ店長からの転職。『人への興味』を大事にして今がある
「もともとはすごくボンヤリした子だったんです(笑)」やわらかい笑顔で語るのは、”国民的リラクゼーションセラピストコンテンツ”グランプリ受賞の加藤さん。『人を癒す仕事』を選んだ時からまっすぐに歩いてきた加藤さんの、セラピスト仕事論をお伺いしました。
仲間を楽にしてあげたくて、転職を決意
「私、本当に鈍くさい子だったんです(笑)。人見知りも激しくて。
あまりにもボンヤリしているのを見かねた母が『飲食店とかの忙しい職場がいいんじゃない?』って勧めてくれて。それで最初はカフェで働いていたんです。
セラピストに転職しようと思ったきっかけは2つあります。1つは、カフェで働いているうちに常連のお客さまと一言二言会話をするようになって、もう少しお客さまにきちんと向き合いたいなあ、という欲が出てきたこと。もう1つは、仕事仲間に肩こりとか腰痛の人がすごく多かったこと。仕事の間ずっと立ってるし、下を向いての作業も多いからだと思うんですが、自分も周囲の仲間も頻繁にマッサージに行っていて、自分で習うことによって仲間を楽にできたらいいなって思ったんです。
それで、カフェで働きながら1年半くらいリラクゼーションのスクールに通いました。勉強は学校卒業以来久しぶりでしたし、まったく未知の世界だったので大変でしたね」
誰もが通る最初の壁、「指が痛い」。
「解剖学や骨格、筋肉など、今まで全く知らなかった知識を習い、難しかったけど楽しかったです。筋肉がどこに繋がっているのかなどの知識を学び、実技で実際に身体を触る。どちらもおろそかにはできないですね。
実は転職活動にはリジョブさんを使わせていただきました(笑)。おかげさまで一社目で採用だったんですよ。全くの初心者で経験もなかったので、最初はやはり不安でした。だから、研修がしっかりしているリラクを選んだんです。リラクはお店に出る前の練習をとても丁寧にやってくれる会社だったので、初めてお店に出たときは、スクールでの練習で初めて人の身体に触ったときよりも安心しました。
とはいえ、最初は辛かったです。たいていのセラピストさんがいちばん最初にぶち当たる壁は、「指が痛い」ということ。はじめは見事に痛かったです(笑)。やっぱり緊張している時は変に力が入ってしまうんでしょうね。初めてお店に出て一週間くらい。その期間が一番痛いんです。でもすぐに慣れていくもので、緊張が解けて、指だけじゃなくて身体全体を使えるようになっていきます。そうなると、お客さまにも集中できて仕事が面白くなってきますね」
2人の身体はマニュアル通りにはいかない
「カフェでは店長まで行きました。カフェでの仕事も面白かったし、『お客さまにいい時間を過ごしていただく』という目的は同じなのですが、今の職種とはゴールが違う気がします。セラピストは、自分自身が商品の一部。もちろん、提供しているサービス内容は会社が作っていくものなんですが、それをより自分自身で付加価値をつけていかなければならないところが、飲食の接客とは違うところでしょうか。
人の身体に触れることだから気持ちは伝わってしまうし、技術とか知識以上に内面が現れます。人当たりのいい仮面だけではやりきれないものがあると思いますね。どんどん技術を磨いていく努力をするのは当然ですが、それ以上に、どれだけお客さまを思いやれるかという気持ちがとても必要です。例えば、肩コリが当たり前になってしまっているお客さまなどは、痛みがある感覚に慣れ過ぎて言葉にしていただけない時もあります。触れてみて、硬さがあるところや疲れがたまっている場所を感じ取って、お客さまの空気感に合わせて伝え、ほぐしていく。
人の身体は本当にそれぞれなので、決してマニュアル通りにいかないものです。それが、この仕事の面白さでもありますね」
心と身体は繋がっていると実感
「仕事で落ち込む時ももちろんあります。それは、お客さまに笑顔でお帰り頂けなかった時。そういう時は、このお客さまには何が足りなかったのかなって、一人反省会(笑)をします。力加減なのか、押している場所が違ったのか、コミュニケーション不足だったのか。もし、次にまた来店していただけたら、しっかり対応できるようにしたいです。
逆に嬉しいのは、やはりお客さまにご満足いただけた時です。以前、精神的にも身体的にもすごくお疲れのお客さまが来店なさった時に、自分なりに心をこめて施術をした後のお茶の時に『久しぶりに自分の笑顔を見ました』というお言葉をいただいたんです。『これから自分も人に優しくできるような気がします』って。それを聞いた時、この仕事のやりがいをすごく感じました。心と身体は繋がっているんだなあ…、と実感した出来事です。
身体に出ているストレスを少しでも軽減するのが私たちの仕事なんですが、『早くここに来たかった』とか『予約の日はあなたの顔ばっかり思い浮かんで』なんてお言葉をいただくと、頑張らなくちゃ! とパワーが湧いてきます。私たちは、お客さまから支えられている部分もすごく大きいんですよ」
疲れを軽減させるコツは「こまめに動かす」
「よくご利用されるお客さまって、普段すごく頑張っている方が多いんです。お仕事も終電始発が当たり前とか。そういう時間がない中にご来店いただいている。無理強いはできないですが、できれば疲れ切る前に来ていただきたいですね。身体が軽くなると集中力が違いますから、お仕事を楽しくやっていただくためにも、ボディメンテナンスは早め早めにと意識していただきたいです。
デスクワークの方も、美容師などの接客の方も、同じ姿勢でいることが腰などの負担になりますから、こまめこまめに動かしてください。お手洗いの時に軽く腰を回したりとか、腿上げもいいですね。骨盤が動くので身体も温まりますし、足のむくみも軽減します。長くやらなくてもいいので、お仕事の合間合間に少し動かしていただくだけで、だいぶ疲れが違うと思いますよ」
今までの経験や生活全てが、この仕事に繋がる
「私は異業種からの転職ですが、以前の職の経験が役に立ってることと言えば、忙しい時の対応でしょうか。飲食店のピークタイムは戦場と言われますが、皆が忙しい中で自分はどう動くか、どう優先順位をつけるか、困っているスタッフはいないか、素早く的確に状況を掴んで動いていくことが鍛えられました。リラクゼーションのお店でも忙しい時ってあって、たぶんお天気とか気圧の関係だったりすると思うのですが、お電話が鳴りっぱなしの日とか、飛び込みのお客さまが非常に多い日とか。忙しいことを楽しめたり、チームワークで乗り切ったりっていうのができるのは、飲食店にいたおかげだと思います。
この業界は異業種からの転職が非常に多いので、元OLさんやダンサーだった方などもいらっしゃいます。お客さまのお仕事も多種にわたっているので、いろいろな経験をしていることは有利だと思いますよ。異業種の方の、今までの経験や生活が、全て接客に繋がってくると思います。人への観察力が必要な仕事ですが、観察するには興味がないとできないと思うので、なるべくたくさんの人と関わり、話を聞いて、経験を積んでいくことがこの仕事に繋がるのではないでしょうか」
自分を変えることで、苦手意識がなくなっていく
「例えば、すごくイライラしていて怖い感じのお客さまがいたとすると、一歩引いていたら絶対に笑顔で帰ってはもらえない。最終的に笑顔になっていただくためには、どんどん自分から踏み込んで、どうしたらご満足いただけるか考えていかなくちゃいけないですよね。そういう積極性はここですごく培われたと思います。
苦手な人に対しては、まずその人の何が苦手なのかなって考えて、気にならないようにするにはどうしたらいいか考えます。自分の接し方だったり、考え方や捉え方を変えていく。その方が早く状況が変わります。でも、以前よりも苦手意識はなくなってきました。それは、このリラクゼーションセラピストという仕事に就いたからだと思います。
昨年末に教育課に配属になり、最近ようやく慣れてきたところです。教える楽しみもありますし、逆にそこで自分が学んだことを現場にフィードバックして、お返しができたらいいと思っています」
『人への興味』さえあれば始められる
「この仕事に転職を考えているのであれば、周りの人にいっぱい話を聞くといいと思います。どういうところが辛いのか、どんな箇所が痛いのか、普段運動はしているか、などをリサーチしておく。人に対する観察力が大事な仕事ですが、観察するには興味がないとできないので、なるべくたくさんの人と関わって、お話をして、人に向き合うことがこの仕事に繋がると思います。話し方もね、例えば盛り上がってくると大きな声を出すクセのある人は、感情の起伏の激しい方だとか、そういう性質はどういうことにストレスを感じるのかということが理解できると、接客にも施術にも応用できます。そういう、いろいろな人と話をしたリサーチの引き出しを増やしておくと、実際にお客さまに入った時も、お客さまにストレスを与えることなくお話ができますよ。
この仕事は、人から毎日『ありがとう』という言葉と笑顔をたくさんいただけます。それは本当に自分の人生を豊かにしてくれるものですし、たくさんの人と出会うことによって世界が広がっていきます。人に興味があれば、絶対に飽きることのない仕事です。私のように人見知りだったり不器用でもちゃんと始められる。握力が少なくても大丈夫ですしね(笑)!
何か人の役に立ちたいとか、人にしてあげたいという気持ちのある方、また、自分を変えるきっかけを探している方は、ぜひチャレンジしていただければと思います」
Profile
加藤 梢(かとう こずえ)さん
リラクカレッジ講師
カフェ店長の傍らセラピストスクールに通い、株式会社リラクへ転職。
第一回国民的リラクゼーションセラピストコンテストにて、グランプリセラピスト受賞。
リラクゼーション業協会のイメージモデルも務める。
穏やかな話し方と確かな施術で、お客さまからの信頼が厚い。
店舗店長を経て現在はリラクカレッジ講師となる。
Company
Design studio of healthy life Re・ra・ku
「愛」を込めて「笑顔」を集める、リラクゼーション・マッサージサロン。
北欧の森をイメージしてデザインされた、マイナスイオンで満たされた店内、肩甲骨ストレッチを取り入れたオリジナルボディケアなど、一人ひとりの疲れた身体に向き合い、徹底的にサポートする。
リラク
関東圏に115店舗以上展開