成功のカギは、テーマを固めてコツコツ投稿すること!/おのだまーしーさん #2
美容業界での就活に効果的なSNSの活用法について深掘りする本企画。前回に続き、SNS運用のコンサルティングやセミナー講師をしている、美容師でYouTuberのおのだまーしーさんにお話をお聞きします。
後編となる今回は、SNSでの投稿のポイント、美容学生がフォロワーを増やす方法など、就活にSNSを活用する際のアドバイスをお聞きしました。
お話を伺ったのは…
美容師YouTuber おのだまーしーさん
美容師、YouTubeマーケティング、動画制作会社「株式会社 MASHI MASHI」代表
山野美容専門学校出身。2店舗での勤務を経て、28歳でサロンをオープンするが1年で廃業。池袋のサロンに再就職し美容師を続けながら、2014年にYouTubeチャンネル「おのだまーしー2.1」を開設する。2015年には UUUM(マネジメント事務所)のネットワークに加入。その後、スカウトを受けて専属契約となる。2020年8月に独立し、動画制作会社「株式会社 MASHI MASHI」を設立。現在はYouTubeチャンネルのプロデュースのほかSNSのコンサルティングやセミナー講師、美容師向けのマーケティング・ブランディングのスクール運営などを行っている。
・まーしーの美容師SNS集客チャンネル
・Instagram
投稿テーマは普遍的ニーズを意識!
学生ならではの視点を取り入れて
――SNSでの投稿について、美容系で人気が出やすい投稿の共通点などはありますか?
お客様の変化を伝えるようなビフォーアフター動画は、以前から変わらず人気があります。くせ毛の方がきれいなストレートヘアになるとか、メンズがカットで垢ぬけるといった「変身」は、トレンドというよりも誰もが見たくなる普遍的なコンテンツです。
技術系の動画だと、バレイヤージュやメンズパーマなどは人気が高いです。ただ気をつけないといけないのは、トレンドを追いすぎるとコンテンツが財産にならないという点です。流行りは廃れるものなので、そのテーマで発信している人もいつかは消えてしまう。
だから僕は、あまりトレンドを追うことはオススメしていません。常にニーズのあるところに、自分自身のコンセプトを固めている方が、長生きできますよ。
――美容学生が投稿する場合はいかがでしょうか?
どんな発信をしていきたいかにもよりますが、学生の場合は施術系のコンテンツ投稿は難しいと思います。お客様に薬剤を使った施術ができませんから、学生のうちに美容系の技術投稿をするなら、セルフか友人にしたヘアアレンジやヘアセットの投稿でしょうか。
でも技術をコンセプトにしてしまうと、ライバルが現役の美容師になってしまうんです。だから投稿するなら、学生だからこそできることをテーマにした方がいいです。
フォロワーを増やすには
「この人の投稿をまた見たい」と思われる
差別化された投稿を続けること
――#1で美容学生がSNSのフォロワーを増やすメリットを伺いました。
SNSでフォロワーが増える仕組みを教えてください。
SNSの投稿を見た人が投稿者をフォローするまでには、「投稿を認知して興味をもつ→投稿者を覚える→その人の投稿が気になるようになる→徐々に投稿者が好きになり、ファンになる」という流れがあります。多くの方にフォローしてもらうには、とくに「投稿が気になる」という状態を作り出すことが重要です。
でもまずは、その段階までたどり着いてくれる人の数を増やすためにも、最初にどれだけ認知してもらえるか。どうしたら初回の認知で「また見たい」と思ってもらえるかが大切なんです。
ライバルと同じような投稿をしていれば、フォローする価値はあまり感じてもらえません。どれだけ差別化したコンテンツを出していけるか、人に興味を持ってもらえるコンテンツを出していけるかが、フォロワーを増やすためには重要です。
――差別化のための「自分ならではのコンテンツ」は、どうやって見つけたらいいのでしょうか?
継続できないと意味がないので、自分が日常的に取り組めるテーマかどうかが重要になってきます。でも最初からオリジナルコンテンツを見つけるのは難しいので、まずは誰かの真似から始めて、徐々に自分のオリジナルを出していくというのも方法のひとつです。
僕が常にお伝えしているのが、武道の修業プロセスを表す「守・破・離」という言葉です。基本を身につける「守」、既存の型を破り発展させる「破」、基本や応用から離れて個性を発揮する「離」。美容師の技術にも同じことが言えると思いますが、SNS発信もプロセスは同じです。
だから自分の頭だけで考えず、市場をきちんとリサーチして、いろいろなコンテンツを見ることも大切。どんなコンテンツが伸びているのかを知り、自分の中でたくさん引き出しを持っておく。その中から真似してみようと思えるコンテンツを見つけ、そこからオリジナルを作り出していくのがSNS発信のスタンダードです。
――では美容学生がフォロワーを増やすためには、まずはそこから?
そうですね。あとは、投稿数を増やすことも大切です。誰かの成功事例を真似するところからでいいので、どんどん投稿してみてください。実際に投稿してみないと、何がいいのか、悪いのかというのは分かりません。続けていくうちに、自分に合ったコンテンツも見つかっていきます。
また動画をどれだけ出せるかも今後は重要になってくるので、学生のうちから動画投稿に触れておくことはとても重要です。もちろんYouTubeのようなロング動画が撮れたらいいですが、まずはショート動画でもいいので、動画を撮影して編集することに慣れておくのがおすすめです。
テーマを固めてコツコツ投稿を続けている
SNSアカウントは就活でも高評価!
――美容学生が就活にSNSを活用する場合、してはいけないことは何ですか?
就活のためのSNS活用なら、そもそも投稿数が少ないのはデメリットになってしまいます。就活でSNSアカウントを提示する場合、チェックするとしたら書類審査のタイミング。そのときに、継続してコツコツ投稿している人と、最近投稿し始めた人、まったく投稿していない人なら、評価が高いのは継続して投稿している人です。投稿数の多さは、努力ができるか、継続できる力があるかという判断基準につながります。
また投稿数が多くても、ただ漠然と日常についての投稿をしている場合も、あまり評価にはつながりません。大切なのは、美容に限らなくてもいいので、何かしらのコンセプトを持って発信できているか。そのテーマについての投稿を、美容学校の1年生のときから続けられていたら、とても評価は高くなります。
――最後に就活にSNSを活用する際のアドバイスをお願いします。
就活のためのSNSだとしても、最終的な目的は自分の力で集客できる美容師になることです。だから就活前から、どういう美容師になりたいかを考えておくことが大切。お店に依存せず、自分自身のブランドを作ることができるのがSNSの魅力。そのためには「この人に会いたい」と思ってもらえるような、人を動かす発信が重要です。
美容学生のうちに自分ならではの発信をして、人を動かす力を身につけられたら「選ばれる美容師」になれる。就職に役立つのはもちろん、独立への道も開けるし、もしかしたらプロダクトの開発などサロンワーク以外の選択肢も開けるかもしれません。
SNSの活用には、唯一無二の美容師になれる可能性があります。SNSは、年齢を問わず輝ける場でもある。学生時代からできることはたくさんあるので、ぜひ力を入れて取り組んで欲しいです。
就活におけるSNS投稿のポイントまとめ
1.日常的に投稿できるテーマを決める
2.コツコツ投稿を続ける
3.誰かの真似からオリジナルを生み出す
SNSの活用は、就活を有利にするだけでなく、働き始めてからの財産にもなるもの。就職前からSNS運用を身につければ、スタートでも周りと差がつきます。就活のためにSNS活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
取材・文:山本二季