出産と独立、そしてママ美容師としての現在 siika・サトーマリさん#1

“挑発的だけど、可愛くておしゃれ”。そんな女性像を作らせたら右に出るものはいないほど、原宿系女子から圧倒的に支持される美容師、それがサトーマリさんです。
2016年2月、学芸大学駅から徒歩2分の場所に「siika」(シーカ)をオープンさせました。雑誌や業界誌など、メディアへの登場も多いため、一見、美容人生が順調に見えるサトーさん。しかし、妊娠を機に様々な悩みや不安が噴出。そんな中での出店、そして子育てをしながらの仕事などなど…
今現在も試行錯誤しながら、ワーキングママを全力でやりきるサトーマリさんを取材しました。

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“妊娠前と同じ働き方は無理だと痛感しました”

――現在、お子さんはおいくつになられましたか?
「1歳5か月です。まだまだ小さくて病気も多い頃です。日中はこの4月から保育園に預けることができまして、その保育園も近所なので助かっています」

――以前は原宿の有名店にお勤めでしたね。そちらのスター選手というイメージでしたが、退職し独立されたと聞いて驚きました。
「以前勤めていたサロンでは、妊娠中も働いていたんです。特に辞めるつもりもなかったのですが、お腹が大きくなるにつれて“赤ちゃんを育てないといけない”という現実も押し寄せてきて… 私自身は出産後も働くつもりでいましたが、大きなお腹を抱えて撮影に行く、じゃぁ、生まれたらどうすればいいの? また、フルタイムで働くのは現実的に無理だけど誰がカバーしてくれるの?とか、どんどん不安が膨れ上がってしまって…」

――わかります。ちょっとしたパニックですよね。で、結果的に退職されたのですね。
「そうですね。実はそこのサロンにはママ美容師がひとりもいなくて。だから、私が妊娠してもまだ受け入れ態勢ができていなかったんです。それで“これはどうしよう”ということになり、急きょ、主人とふたりでサロンを出店することを決めた次第です」

当時はご主人の加藤龍矢さんも、別の有名店の美容師として忙しく働いていました。けれど、サトーさんの状況を最優先してサロンを退社。二人三脚で出店の準備に取り掛かります。

サトーマリさん
↑欲しかった赤ちゃんがやっと授かったというサトーさん。でも、自分の人生もしっかり歩みたいそうで、規則正しい生活リズムに従いながら両立を頑張っている最中だとか。

――出店は本当にエネルギーを使いますよね。妊娠中にそれを行うなんて大丈夫でしたか?
「大変でした(笑)。臨月まで以前のサロンに勤めていたのですが、それが2015年の12月。お客様には8月には復帰しますと伝えていたので、もうバタバタです。退社してすぐに物件探しに。学芸大学にオープンしたいと思っていたのでピンポイントで探しました」

――加藤さんもサトーさんも一等地で働いていらした。なぜ学芸大学を選ばれたのですか?
「正直、原宿も変わってしまいましたよね。私が勤め出した頃はおしゃれなティーンで溢れかえっていましたから、本当に刺激的な街でした。でも、今は海外の観光客が多くなり、それもまた活性化につながっていると思うのですが、私自身はもういいかなと。それと、古くからのお客様に学芸大学からいらしてる方が多かったのも理由のひとつです。その方たちは皆さん本当におしゃれでいらして。自分なりのこだわり感をきちんと持っている方が多い街なんだな、という印象を持ちました」

――確かに学芸大学はファッションや美容間関係者、また、マスコミの方が多く住んでいる街ですよね。
「この街なら私たちの提案するデザインも受け入れてもらえると思いまして。あと、意外とブリーチを希望される新規のお客様も目立ちますね。この辺りにはブリーチをするサロンがあまりないようで」

業界誌PREPPYの表紙を飾る
↑オープンして1年半も過ぎないうちに「siika」は業界誌PREPPYの表紙を飾る。
右が佐藤さんの作品、左がオーナーの加藤龍矢さんの作品
↑右が佐藤さんの作品、左がオーナーの加藤龍矢さんの作品(PREPPY)

“子供の病気が自分に感染。これを繰り返しながら日々過ごしています“

――赤ちゃんを抱えながら美容師を続けることはいかがですか?
「私はもともと専業主婦願望がないんです。子供がいても働きたかった。でも、いざやってみるともう、大変!(笑) 先日も息子が手足口病に罹り5日間も保育園をお休みしないといけなくて。急に想定外のことが起こるわけです」

――その繰り返しですよね。
「それと、子供の鼻水を触っただけで私が高熱を出してしまったりとか(笑) 出産をしてみてわかったのは、お母さんたちは皆、自分の命を削りながら出産と育児をしているということ。その上、すぐに身体は回復しないし、免疫力も坂を転げ落ちるように低下していますから、子供の風邪を毎回もらってしまうんです」

――しかも、親のほうが重症になるんですよね。私もそうでした。
「本当ですか? これって、いつになったら終わるんですか(笑)? 出産後は体力も落ちているのに授乳や夜泣きで眠れない。自分もどんどん疲れていく。もう計画通りにはいかなくて。しんどい毎日を過ごしていました。でもやっぱり仕事はしていたいんです。今はベビーシッターさんや茨城で教師をする母にも手伝ってもらいながら、どうにかこうにか頑張っています。母も忙しいので頻繁には来られませんが、それでもピンチのときは助けてくれるのでありがたい存在です」

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“自分が大変だからこそ、スタッフのときは必ずサポートしてあげたい”

――サトーさんというと、バリバリの女性美容師で勢いのある方という印象だったけれど、今ではママ業も頑張っていて。みんなと同じように働くママの悩みを抱えているんですね。
「そうですね。でも子供は可愛いですね。この仕事はやはり拘束時間が長かったり内容もハードですから、女性が育児とサロンワークを両立することは簡単ではないと思います。だからこそ、店側の理解とサポートがとても大切だと痛感しています」

――今の時代、そうでないと厳しい…
「今現在「siika」にも女性スタッフが3人いますが、将来彼女たちが結婚して妊娠したら、産後も安心して働ける環境を整備してあげたいと思っています。今までと全く同じ働き方はできないことを私は理解していますから、例えばベビーシッターさんを確保するなどして上手にお店を回せればと思いますね。そのためには会社自体に体力が必要。今はそのためにも頑張りどきですね」

お母さんになる前のサトーさんは、エッジのきいた今どき女性という印象だった方。でも、結婚をし、母になったか彼女は母親特有のまろやかさも加わって、より一層かっこよくて素敵な大人の女性に変貌していました。

インタビュー第二回目は“サロンワークにおける女性の立ち位置”“頼れる仲間たち”についてお伺いします。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon Data

siika

siika(シーカ)

Seeker(求道者)という言葉から、美容の道を究めていくという意味が込められたサロン。
原宿や代官山などで活躍していた美容師たちが集結し、学芸大学にてオープン。個性をさりげなく取り入れて、その人だけのおしゃれを確実に見つけてくれるハイセンスな技術は、業界誌も一目置く実力派サロンのひとつとして注目されている。
http://siika.tokyo/

女性美容師が店の雰囲気を高める理由とは? siika・サトーマリさん #2>>

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