前原さん

トレンドを創る人Vol.9 Violet・前原穂高さん 僕たちができるフィリピン支援 #2

ヘアサロン「afloat」(アフロート)でトッププレイヤーとして活躍し、2年前に自身のサロン「Violet」(バイオレット)をオープンさせた前原穂高さん。
イケメン美容師としても世間を賑わせる前原さんですが、学生時代は進学校で学び、大学は薬学部への進学も考えていた彼が、ふとしたきっかけで美容の道を選択。
その後はメキメキと頭角を現し、多くの人が憧れる美容師となった現在ですが、そんな彼が今、取り組んでいるのが美容を通してのボランティア。そのきっかけとなった出来事、現在の活動ついてお伺いしました。

「サッパリして気持ちいい」と初めて言われて…

ボランティアに最初に取り組んだのは2011年に発生した東日本大震災のときと話す前原さん。

「この震災で、仮設住宅に住む方々の髪をカットするボランティアに参加しました。このとき、被災された方たちから“カットができて気持ちいい”“すごくさっぱりした”なんて声をいただきまして。正直、心を打たれましたね。僕が今まで働いてきた場所では“カットして気持ちがいい”なんて言われたことは一度もなくて。美容意識の高い方々を顧客に多く持っていたせいか、とにかく今以上にきれいにすることが大事だったんですね。もちろん、それも美容ですし大変ありがたいこと。だけれど、その一方でボランティアに参加することで、始めて美容の本質に触れたというか、この感覚を知った上で仕事をしないといけない、と思うようになりました」

このことがきっかけで、美容ボランティアについてより深く調べ出した前原さん。そして「ウッディチキン」というボランティア団体を見つけます。
「こちらの団体は一度行って終わりではなく、1か所10年は支援し続けたいというポリシーがありまして、そこに共感し、参加することになりました」

先住民の子供は髪がチリチリしていることで差別を受ける

「僕たちが行ったのはフィリピン。マニラから車で5時間の場所にあるスービックです。ここはアエタ族というフィリピンの先住民にあたる方々が暮らしているのですが、彼らは皆、肌が黒くて髪のクセがとても強いのが特徴。そのため、国内で差別されやすいんですね。暮らしも非常に貧しいですから学校も行けません。なので、僕たちは少しでもアエタの子供たちに自信を持ってもらうことが使命のひとつでした。
ウッディチキンでは、ここに『絆サロン』という名前をつけたヘアサロンを手作りしました。そこにアエタの子を美容師として研修させたり、僕たちのような美容師が行って施術をしたりするんです。もちろんシャンプー用の水道水などなく、貯水タンクに滑車を使って人力で井戸水をくみ上げるんですけど、これを毎日行うのは正直しんどかったです(笑)。
また、先ほども話した通り、ちりちり毛で差別やいじめの対象にされる子供は、ストレートパーマをかけてあげるとめちゃめちゃ喜んでくれて。はじめは恥ずかしそうにしていた子供たちも、最後にはみんなで写真を撮り合うほどうち解けてくれてうれしかったですね」

ここでもまた、東日本大震災のボランティアで感じた“美容の力““美容の本質”を感じ取ることができたという前原さん。この経験もまた、彼の美容観を今一度確認する大事な経験となったそうです。

前原さん
メンズカットをする前原さん。
前原さん
(左)日本から持参したシャボン玉で遊ぶ子供たち。(右)ヘアアレンジをしてもらい、喜ぶ少女たちと記念撮影。

今後は日本の養護施設にも足を運びたい

アエタ村での使命を無事終えた後は、別の街の小学校にも行き、カットをした前原さん。

「団体側も初めて行く場所だったそうで、最初は緊張感がありました。校長先生からカットのダメだしなんかもいただいたりして…。でも、冷やかしにきた日本の美容師だと思われたくないですから、慎重に受け答えさせていただきました。女の子たちはヘアアレンジをしてほしいというオーダーが多く、他のスタッフたちも一生懸命にアレンジを作っていましたね」

この他にも、産院施設や親のいない子供の学習施設などを尋ねるなどして4日間のプログラムを終えたそう。今後の予定を尋ねると、

「次は愛知県の養護施設に出向き、カットボランティアを行う予定でいます。現在、愛知県だけでも40~50の養護施設があるそうです。だから、少しでも多くの施設で髪をカットしたり子供たちと一緒に遊んで触れ合うなど、僕らが出来る範囲の愛情を注ぎたいと思っています。ボランティア感は人によって違うと思うけれど、僕としては最初は偽善者でもいいと思うんです。なんでもいいから一歩踏み出すこと、そのことが大事かなと考えています。
また、フィリピンの子供たちもそうですが、美容を通して夢を与えられたらそれは素晴らしいこと。彼らの中から美容師が育ち、美容業で収入が得られるようになることを願っています」

前原さん
できることなら、支援する地域から雇用し、人材を育てたいと願う前原さん。「制度的に今は無理なのが残念です。先ずはこちらから出向いて教えるほかありませんが、日々、僕たちにできることをひたむきに行うだけです」

宮村浩気さんに憧れ、美容の世界に入った前原さん。当初は“女の子にモテそう”という気持ちも多少はあったと話す彼ですが、根っからの真面目気質が美容の本質と向き合い、ボランティアを通して、彼にしかできない“なにか”を創り上げようとしています。

早いスピードで進化するサロン業界、彼の活動が美容の未来に新しい価値観を運んでくれるかもしれません。

次回は、前原さんが考える「裾野を広げる美容経営」についてお伺いします。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

   

Salon data

店内

Violet(バイオレット)

雑誌やTVからも撮影のオファーが絶えない人気ヘアサロン。
欲求不満のカラーである紫色をテーマに「お客様の欲求に応える」、「女性のなりたいに応える」そんな思いが込められている。ナチュラルウッドな印象の店内は吹き抜けになっていて、2フロアーで施術が可能。Ipadの貸し出しやドリンクサービスもあり、まるでカフェのような解放感のある空間は至福の時間が楽しめます。

http://violet.tokyo/

トレンドを創る人Vol.9 Violet・前原穂高さんの裾野を広げる美容経営とは #3>>

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