写経体験で自分を知る!現代人の駆け込み寺「寺カフェ」とは? #2
美容業界の仕事は、接客や職場の人間関係でのストレスを抱えてしまいがち。心を休めることはできていますか?気分転換をする時間もなく、「心の疲れ」を溜めてしまってはいませんか?
そんな読者の皆さんにおすすめの、気軽に立ち寄れる癒しスポットがあります。代官山にある「寺カフェ代官山」。「寺」で「カフェ」。どんなところなのか、ネーミングだけで想像は膨らみますが、実は癒されるだけでなく、とても奥深い体験ができる場所なんです。
前回の#1では、寺カフェの成り立ちや人気イベント「お坊さんと語ろう」についてご紹介。この#2では、仏教体験などのイベントの魅力に迫ります。美容業界人の体験談もありますよ。
盛りだくさんの仏教体験と「坊主バー」
寺カフェでは、たくさんのイベントが開催されています。#1で紹介した「お坊さんと語ろう」をはじめとする定期イベントには、その他に「初めての写経」「腕輪念珠(数珠)作り」があります。また「坊主BAR」は月1回、おもに月末の金曜日に開催。その日は5~6人のお坊さんが在店していて、テーブルごとにお坊さんと一緒に食事をしながら話ができます。いきなりお坊さんと一対一で話すのは…という人におすすめだそう。
また、不定期のイベントも盛りだくさんです。心の中のありのままの感情を、筆を通じて表現する「心書」。「住職夜咄」では、精進料理を頂きながらお坊さんの法話を聞くことができます。また、在籍しているお坊さん達が、それぞれの得意なことを活かして個性的なイベントを開催。歴史について語る会や「笙」という和楽器に触れるイベントなど、バラエティに富んでいます。カフェとして利用するお客さんももちろんいますが、最初はイベントを目的にくるお客さんが多いそうです。
写経は「自分の不完全さ」に気づく作業
そんなさまざまな体験ができる寺カフェで、エステティシャンのBさんが写経を体験した感想を聞かせてもらいました。
「写経は初めての体験で、緊張して書き始めました。筆で文字を書くこと自体が久しぶり。集中していると、余計なことを考えないでいられて、これが「無」になるってことかなと思いました。普段、ひとつのことにこんなに集中することがないと実感。正直、後半は、だんだん疲れてきて…。集中し続けるのは難しかったですが、終わったあとは頭がスッキリして、気分転換にもなりました」
写経は修行だと思われがちですが、もともと仏教の教えを残すための作業。今のように印刷技術のなかった時代には、たくさん書いて残すしかなかったからです。寺カフェの三浦住職によると、写経体験の本当の目的は、仏教に触れることや気分転換ではないそう。実は、自分自身の不完全さに気づくことだと言います。
「たまにやることには集中できますが、同じことを繰り返していると、だれでも集中できなくなっていきます。慣れてくると知らず知らずのうちにそぞろになり、手を抜いたり、間違ったり。写経体験は、集中し続けることはできないということ自覚する手段です。例えば美容師の仕事なら、お客様を毎日カットしますよね。だんだん慣れてきてしまいます。でも、お客様はみんな違っていて、常に研究や勉強が必要になるはず。その努力を忘れないために、自分は完全ではないという自覚が必要なんです」
こだわりのヘルシーメニューとスイーツも充実
寺カフェは、もちろんフードメニューも充実しています。お店の1番のおすすめは「寺カフェやすらぎ御膳」。お坊さんの手で心を込めて作られる精進料理なので、1日限定10食です。また、生姜たっぷりの「生姜御膳」や「寺カフェ名物!南無南無カレー」、「ネバトロ丼」など、女性にうれしいヘルシー志向のメニューがたくさん。全部食べてみたくなります。
さらに、人気のパンケーキはグルテンフリーというこだわり。お酒も飲めますから、サイドメニューも充実しています。
お寺には、もともと「安息の場所」という意味があるそうです。さらに、江戸時代くらいまでは地域のさまざまな機能がお寺にあって、いつもたくさんの人が集まっていました。
お寺は「喫茶店」のような場所、まさに「寺カフェ」だったんですね。そんなお寺の存在を、今の時代に蘇らせたいというのが寺カフェの願い。
癒されるだけでなく、いろいろな気づきをもたらしてくれる寺カフェを、ぜひ訪れてみてください。
取材・撮影・文/宮内ともこ
Profile
浄土真宗本願寺派僧侶 三浦性曉さん
僧侶となって40年、寺院住職23年の経験と布教使として30数年の全国での講演活動の実践と学びをもとに、都市開教に取り組んでいます。
Information
寺カフェ代官山
東京都渋谷区恵比寿西1-33-15
03-6455-3276
営業時間11:00~22:00
※お坊さんの在店時間は曜日により異なります。
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