お坊さんと話して心の休息!現代人の駆け込み寺「寺カフェ」とは? #1
美容業界の仕事は、接客や職場の人間関係でのストレスを抱えてしまいがち。心を休めることはできていますか? 気分転換をする時間もなく、「心の疲れ」を溜めてしまってはいませんか?
そんな読者の皆さんにおすすめの、気軽に立ち寄れる癒しスポットがあります。代官山にある「寺カフェ代官山」。「寺」で「カフェ」。どんなところなのか、ネーミングだけで想像は膨らみますが、実は癒されるだけでなく、とても奥深い体験ができる場所なんです。
この#1では、寺カフェの成り立ちや人気イベント「お坊さんと語ろう」について。次回の#2では、仏教体験などのイベントについてご紹介します。美容業界人の体験談もありますよ。
お寺が街に出現!お坊さんに会えるカフェ
ここ数年のパワースポットブームで、お寺に訪れる人は以前より多くなったようです。御朱印帳を手に寺院巡りをするのがブームになったりもしていますが、だれでも気軽に行ける場所とは言えません。まだまだ敷居が高いのです。
そこで、お坊さんの方からお寺を出て、仏教に触れたり、お坊さんと話ができたりする場所を街に誕生させました。それが「寺カフェ」です。2013年7月にオープンして、ちょうど4周年。「仏教をもっと身近なものに感じてほしい」というのがお店の願いですが、単にお寺をモチーフにしたカフェではありません。そこには本物の仏さまが祀られていて、本物のお坊さんがいます。
解放感のある造りの店内は、カフェでありながら、お寺を思わせる装飾が施された落ち着いた空間。食事やお茶を楽しむだけでも、ちょっとした非日常を味わえます。でも、寺カフェの醍醐味は、さまざまな体験イベント。まずは、月に100人くらいの人が悩み相談に訪れるという「お坊さんと語ろう」についてお話しを伺いました。
「お坊さんにも欲があり、悩みを持つ人間です」
今回お話を伺ったのは、寺カフェを立ち上げた信行寺の僧侶でもある三浦住職。宗派によって多少の違いがあるそうですが、信行寺の宗派である浄土真宗は、「人は、煩悩を捨て去ることはできない。向き合って、付き合いながら生きていく」という考え方だそうです。
「人間の欲とか弱さと付き合いながら、生きていくヒントをもたらしてくれるのが仏教です。『お坊さんと語ろう』では、お坊さんが答えを出すのではなく、仏教の考えに基づいたアドバイスをすることで、問題を解決するお手伝いをしています」
また三浦住職は、「お坊さんは、厳しい修行を経て悟りを開いた偉い人」と思われがちですが、そうではないと言います。
「お坊さんにも欲があり、悩みを持つ人間。決して立派ではないんです。だからこそ、皆さんと同じ立場に立って一緒に考えられるんですよ」
家族や親友がいても、身近な人には悩みが深いほど相談できない人が多いそう。お坊さんと話すことで、自分自身を振り返り、悩みの本当の原因に気づくきっかけになればと考えているそうです。
「お客様との会話が苦手」という悩みについて語り合う
今回、ヘアサロン勤務の美容師Aさんの悩みを聞いてもらいました。
「お客さんとの会話が苦手です。接客中に会話が弾まず、困ってしまいます。それが苦痛で、仕事自体が嫌になってしまいました…」
三浦住職の意見は
「まず、無理に会話をしようとしないことだと思います。お客さんの話を聞いてあげて、自分が話し相手になってあげるくらいの気持ちでいいのではないでしょうか。美容室にくるお客さんも、話を聞いて欲しいはず。それと、知識を増やすことも大事なことです。話題作りの努力はするべき。ニュースなどにも敏感になって、タイムリーな話ができるくらいにはした方がいいと思います」
かといって、自分の知っていることをひけらかすような話ばかりになるのはNG。聞いている方が疲れてしまうので、あえて、お客様も知っているような話を中心にして、その中に知らなそうなことを少し散りばめるくらいがいいそうです。
Aさんは、「会話を盛り上げよう」と思うばっかりに、「話し相手になる」ということを忘れてしまっていたそう。「私がお坊さんに話を聞いてもらいたいように、お客さんもだれかに話しを聞いてもらいたいかもしれません。お客さんが愚痴をこぼしてくれるくらいになれたらいいですよね」と、余裕が出てきたよう。
「お坊さんと語ろう」で気づいた大切なこと
さらに三浦住職いわく、
「好きなことを仕事にしても、喜びだけではありません。どんなことにも、厳しさも嫌なこともある。もし辞めたいと思うなら、自分は本当に全力でやっていたのか考えてみましょう。120%できることをやったと自信を持って言えるのか?と自分に問いかける。その上で、ここから半年とか期限を決めて、もう一度覚悟を持ってやってみることを勧めます。その間に、自分も周りの目も間違いなく変わります。その後に考えても遅くはないですよ」
Aさんの中で、いろいろ気づきがあったようです。
「お坊さんと一対一で話すのは初めてでしたが、想像していたより自然に話せました。職場の人には相談しづらい内容なので、話せただけでも気持ちが軽くなりましたし、自分にも、ちょっと甘い部分があるなあと思ってきました」
「お坊さんと語ろう」は、予約制で1時間ほどお坊さんと話せるイベントですが、お店に行ってからでも、予約が入っていない時間なら対応してくれるそうです。また寺カフェでは、他にもたくさんイベントが開催されていて、いろいろな仏教体験ができます。続きは、次回の#2でご紹介します。
取材・撮影・文/宮内ともこ
Profile
浄土真宗本願寺派僧侶 三浦性曉さん
僧侶となって40年、寺院住職23年の経験と布教使として30数年の全国での講演活動の実践と学びをもとに、都市開教に取り組んでいます。
Information
寺カフェ代官山
東京都渋谷区恵比寿西1-33-15
03-6455-3276
営業時間11:00~22:00
※お坊さんの在店時間は曜日により異なります。
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