出会いは多い?少ない?柔道整復師・鍼灸師の職場恋愛事情
柔道整復師や鍼灸師の仕事はお客さんの疲れを癒すことです。お客さんの疲れは癒せても、自分の疲れはたまり気味の人もいるでしょう。「たまには恋人とゆっくりすごして癒されたい!」と思いながら、ふと気がつけば、何年もシングル…という可能性もあります。柔道整復師や鍼灸師として働いている人も、これから、どちらかの仕事を目指す人も同業者の職場恋愛事情は気になるところですよね。
ここでは、柔道整復師・鍼灸師を対象に実施したアンケートの結果を踏まえて、気になるテーマ「職場恋愛」を紹介していきます。
正直なところ、どのくらいの人が職場恋愛しているの?
まず柔道整復師・鍼灸師の中でどのくらいの人が職場で出会った人と恋愛した経験があるのでしょうか。今回のアンケートでは、10代~50代の柔道整復師・鍼灸師の中で、「職場恋愛の経験はありますか?」という質問をしたところ、約6割の方が「はい」と答えました。中でも、鍼灸師として働く30代女性の回答では、「自分が職場の後輩と付き合っている時、同じ院で、4組が職場結婚した」というエピソードもあり、多くの人が職場恋愛をしていることがうかがえます。
職場恋愛というと、まず思い浮かぶのが同僚同士の恋愛ですが、職場で出会うという意味ではお客様との恋愛も職場恋愛のひとつといえます。しかし、お客様との恋愛は当然リスクもあるので、禁止している院も多いのが実情です。職場の先輩や院長など、周囲を見渡すと、意外と結婚相手が元お客様、ということも多いのだそう。お客様とのプライベートな接触を禁止しているのに、結婚相手が元客というのは、矛盾しつつも、この業界の「よくある話」ともいえます。もちろん、柔道整復師・鍼灸師とお客様、という立場をわきまえることは必要です。それでも、どちらもひとりの人間ですから、素敵な人に出会えば、立場に関係なく惹かれる場合があるのも自然なことでしょう。
同期?先輩?客?どんな人と恋愛しているの?
今回のアンケートの結果、「職場の先輩と後輩」が、職場恋愛の組み合わせの中では最も多い回答でした。その理由には柔道整復師・鍼灸師ならではの労働環境が関わってきます。院にもよりますが、たとえば、午前9時から午後20時まで開店の場合、開院準備や、閉院後の後片付けなどを含めると、勤務時間は約12時間です。その分、昼休憩は、数時間あるところが多いですが、土曜日の出勤もあるため、他の仕事に比べて勤務時間は長めといえるでしょう。職場で過ごす時間が長い分、同僚同士で恋愛感情が生まれるきっかけも多いのです。
それに、「手に職を付ける」仕事なだけに、将来は独立を目指す人が多いのもこの仕事の特長。貴重な休日を学校や勉強会などに通って過ごすまじめな姿を身近で見ているうちに、尊敬の念から恋愛感情に変わった、あるいは新人のうちに先輩から施術を学ぶうち好きになっていた、というエピソードもありました。職場の飲み会で隣に座り仲良くなった、という回答もありましたが、多くの人は特別なイベントでというより、日常を長く一緒に過ごすうちに、細やかな気遣いや優しさにふれて好きになっていくパターンが多いようです。
次に、恋愛の相手として多かった回答が「お客様」です。ネット上で検索しただけでも「整体師を好きになってしまいました!」というトピックが多く見つかります。つまり、体に触れることが仕事であるため、好意を持たれやすく、アプローチされることが実際に多いのです。時には施術中にプライベートな会話を交わしてくれたり、やさしく話を聞きながら疲れた体を癒してくれたりすれば、お客様が恋愛感情を持つことも自然なことと言えます。ただし、お客様が相手の場合、自分からアプローチをすると信頼を失うだけでなく、悪評が立つなどのリスクが高くなることも。実際に、お客様と付き合った経験のある人も、相手からアプローチされた場合が多いのです。
限られた世界だからこそ!職場恋愛にまつわる困ったエピソード
少人数の職場での恋愛を続けるためには、周囲への配慮などに気を使うことが必要です。もちろん、職場恋愛の経験者たちも、色々と工夫しています。アンケート結果を見ると、周囲へは気付かれないように、常に気を使っているとの回答がありました。特に院長に対しては慎重です。整骨院や治療院など小さな組織では、上司、つまり院長との関係の良し悪しで、仕事のやりやすさが決まるといってよいでしょう。婚約や結婚など、正式な関係になるまでは隠しておくことが多いのです。
また、職場恋愛がOKの院であっても、客とのプライベートなやりとりは禁止しているところがほとんどです。客と交際経験のある30代の柔道整復師の男性からのアンケートの回答では、「勤めていた院では、客と外で会うことを堅く禁止されていましたが、密かにデートを続けていました。結局、そのことが院長に気付かれ、きつく叱られました。その後、院長が顧問弁護士に相談した結果、解雇処分にされました」という答えもありました。
お客様相手という意味では、逆に好意を持たれることが悩みになることもあります。先にも述べたように客からのアプローチも多い仕事ですが、中には毎回手作りの料理を差し入れしてきたり、仕事終わりに待ち伏せされたりと、少々怖い思いをするケースもあるのです。それでも、お客様である以上、厳しい対応をするわけにはいかないのが難しいところです。そのような場合は、誤った解釈をされないためにも同僚や上司には早めに相談する方が良いでしょう。
ここが楽しい!職場恋愛にまつわる嬉しかったエピソード
まず、同僚同士の職場恋愛でよく聞かれるメリットは「同じ仕事なので、お互いに大変さを理解し合える」、「相手の人間関係や、仕事だと分かっているので、帰りが遅くても無駄な心配はしない」というものです。元々、勤務時間が長めな仕事である上に、勉強会や、急な出勤で休日がなくなることも少なくありません。仕事への理解が乏しいと、会えない寂しさや不安から関係が悪化することもあるでしょう。たとえば、相手がお客様であった場合、好意を持たれることがあったとしても、理解がなければ関係を続けるのは難しいといえます。その点、同僚であれば仕事内容や職場での人間関係、お客様に対しての考えなども理解し合える分、もめごとの原因は少なくなります。仕事や職場が同じであれば、「あのお客様に合う施術は…」、「○○先輩にこのような技術を教えてもらって…」、「この施術って、いつもどうしているの?」など、自分にとって、ためにもなる会話を共有できるのです。
また、色々なことを共有できるという意味では、経済面でのメリットもあります。たとえば、独立開業している場合は別として、柔道整復師・鍼灸師の給与事情は、同じ職場であるならば、お互いの大体の給与は把握できるものです。それで、結婚を前にして、初めて相手の給料を知るという状況に陥らずに済むというメリットもあります。
職場恋愛を周囲に気付かれないようにしている場合は、二人の関係はおたがいだけが知っているという意識を楽しむ人もいるでしょう。ところが、二人の関係をオープンにしている場合にも、メリットがあるのです。たとえば、周囲に気を使う必要がなく、一緒に通勤や帰宅をしたり、休日のデートを楽しめたりすることが出来るのです。その他に、「先生」と呼ばれる仕事ならではの嬉しかったエピソードとして、「最初は〇〇先生と呼ばれていたのに、いつの間にか名前で呼び合っていたのが嬉しかった」という回答もありました。
職場という限られた範囲での恋愛は、周囲との関係や別れた後の気まずさなど、色々とデメリットがありますが、多くのメリットもあります。そのため、「職場恋愛はちょっと…」と気おくれするのはもったいないといえます。メリットもデメリットも踏まえながら、職場での出会いを大切にしましょう。