マッサージの専門用語事典わ行
マッサージ師として働くならば、しっかりと身に付けておきたい業界用語。今回はマッサージ師専門用語の「わ」行をお送りします。
ワットポースタイル
タイのワットポー寺院は、バンコクの中でも最大で、また、最古の寺院でもあり、そして全長46mの金箔に包まれた釈迦涅槃物が有名な、指折りの観光名所です。さらに、陶器が飾り付けられた仏塔には、歴代の国王の遺骨が収められています。日本円で入館料は約360円で、ミネラルウォーター付きのサービスを受けられますが、タンクトップやミニスカートなどの肌を露出した服装では寺院への入館は禁止なので、寺院へ赴く際には注意が必要です。
ちなみに、タイ人は無料で入館することが出来ます。ワットポーにはマッサージ施設があり、ワットポースクールの学生の施術を受けられます。激痛を伴うマッサージではなく、丁寧で柔らかな揉みほぐしなので、観光で歩き疲れた海外の観光客にも、安心して施術が受けられると人気のあるマッサージ施設です。 ワットポースタイルは、セン(エネルギーの流れ)に沿った指圧が中心で、自律神経を活性化します。位の高い王室の人に施術を行う場合、施術者が身体を密着してはいけないため、出来るだけ身体を離して施術を行える指圧が主流になったといわれています。
それに対し、チェンマイスタイルは、インドヨガの影響もありストレッチが中心なマッサージ法で、施術者とクライアントが身体を密着させてストレッチを行う技が多く見られることが特徴です。 約2500年前にインド医師よりタイへ伝えられたことによって、誕生したタイ古式マッサージは、長きに渡り使用され続けている伝統的マッサージ法です。1836年にラーマ3世が、当時最も優れた学問やマッサージ姿勢などをワットポーの壁画に描かせ、誰でも自由に勉強を行えるようにしたことが、タイ古式マッサージを広めた理由といわれています。その後、タイ最初の大学が創設されました。
さらに、王室専用医師が王室マッサージ法を一冊の本にまとめ上げ、1962年には文部省認可の「ワットポー・タイトラディショナル・メディカルスクール」が設立されました。このような歴史的経緯がありますが、実際には、ワットポースタイルは古来のマッサージ法のままではなく、1991年にプリーダ理事長が講師達と共に考案したスタイルであるとされています。こうして、ワットポースタイルは沢山の人へ伝承しやすく、わかりやすいマッサージスタイルへと変化したのです。
また、タイにはマッサージ店が併設されているスクールもあるので、確かな訓練を受けた施術者による技術を体験出来るため、観光客からも人気を集めています。1時間あたり、日本円にして約700円~1000円で施術を受けられることが多く、リーズナブルな価格で本格的なマッサージが受けられます。マッサージスクールは、最短5日間でマッサージの資格を取得することも可能です。短期間で資格取得出来るので世界各地から生徒が集まっており、しかも、タイ人は受講料が半額なのでタイ人の受講者も多く、また、スクール内では世界各地の人と交流が持てることも人気のひとつです。
さらに、日本語テキストなども揃い、日本人スタッフも常駐しているため、初めての海外留学の場合でも安心してレッスンを受けられます。日本でマッサージ資格を取得するには約30万円の費用がかかりますが、本場のバンコクの場合約3万円で資格取得も可能です。
腕橈骨筋
腕橈骨筋は、前腕(手のひら側)の筋肉の中でも2番目に大きな筋肉であり、親指側に位置する筋肉のことです。さらに、前腕の中でも1番大きな筋肉は、深指屈筋というインナーマッスルです。 前腕を鍛えたい場合、腕橈骨筋を鍛えることで、効率よく前腕に筋肉をつけることが出来ます。腕橈骨筋の働きは、肘を曲げること、手のひらを捻じる動作などです。
また、橈骨神経が表層に出ている筋肉でもあるので、軽い力が加わっただけでも、痛みを強く感じる場合があります。たとえば、日常生活においてはドアノブを回す時や、ペットボトルの蓋を回して開ける時などです。そして、ビールジョッキを飲む時の動作、運動においてはスマッシュやスイングする時などに使われます。
そのほかに、柔道の相手の袖や襟を掴み上げる動作や、腕相撲で相手の手を瞬発的に引き付ける時にもこの筋肉が使われています。 腕橈骨筋を鍛えるには、ハンマーカールという運動中に親指を立てた状態でダンベルカールを行うことで、効率的に鍛えられます。ハンマーカールは前腕を集中して鍛えたい時に、最も適した筋トレで、手のひらが内側に向いた状態で、バーベルの上げ下げなどをすることで有名です。ただし、ハンマーカールの注意点は、猫背にならず背筋伸ばすことが大切で、正しいフォームでなければ正しく筋肉が付くのは不可能です。
また、ダンベルを片方ずつ使うトレーニングを行うことでも、腕橈骨筋を鍛えることはできます。腕橈骨筋のストレッチ法は、正座になり、手の指を自分に向ける形で床に手を付け、少しずつ体重による負荷をかけた後、腕橈骨筋が十分伸びている状態になっていると感じたら、数秒間そのままの状態を保ちます。 腕橈骨筋は、スマッシュやスイングなどに使用される筋肉であるため、テニスやバドミントン、野球などのスポーツをする人が肘の痛みを感じたりするときは、腕橈骨筋を酷使したことが原因です。そして、ギターやピアノなどの楽器の演奏者や、仕事中にパソコンを長時間使い、手や腕の筋肉疲労によって痛めてしまう場合も多くあります。
さらに、スマホを長時間使用することにより、親指を痛めてしまうケースも多く見受けられます。しかも、腕橈骨筋を酷使することで、筋膜が引っ張られ腰痛を引き起こす原因にもなるといわれています。肘や前腕部の痛みを強く感じる時には、まずはアイシングをして炎症を抑えましょう。痛みが治まったら患部を温めて、前腕をストレッチし腕橈骨筋を緩めてみることも良い方法です。腕などを使わずに安静にすることが、一番の治療法ともいえますが、「腕を痛めてしまったが、仕事などが休めない」という人は、腕橈骨筋を包み込むようにテーピングをすることも、肘の負担を軽く出来るので効果的です。
それから、クーラーなどで腕橈骨筋を冷やしすぎた場合にも、腕のだるさを感じることがあります。したがって、長時間クーラーに当たる場合には羽織ものなどで工夫すると良いでしょう。 腕橈骨筋は、親指にも繋がっているので腱鞘炎を引き起こすケースがあります。腱鞘炎は、親指の付け根に痛みを感じることが最も多く、つまむ動作の時に痛みが伴う、握力が落ちるなどの症状もあります。重症化したときは、場合によっては手術が必要です。
その上、1度発症すると治りづらく、何度も繰り返し起こしてしまう厄介なものです。腱鞘炎は痛みを伴い、腫れてくる場合もあります。その際には、トリガーポイントと呼ばれる痛みを引き起こしているポイントを揉み解し、指圧することで、痛みを軽減することが期待できます。これは、腕橈骨筋を圧迫しながら、手首を内側へ回すことも腱鞘炎を和らげる方法の1つです。繰り返し腱鞘炎にならないためにも、医療機関へ早めに受診して、専門家から身体や手の使い方などを医療的な視点から、アドバイスを仰ぐことも必要です。
常日頃から、身体に負荷のかからない身体の使い方を意識して、腱鞘炎などを自ら予防することが再発防止にも繋がります。そのほかに、腕橈骨筋を鍛えることで、腱鞘炎も少なくなるといわれています。