【エステ業界動向】エステ業界のトレンド、セルフエステ!業界最注目の仕組みと評判を徹底解説

トレンドの動きが激しいエステ業界で、ここ1~2年飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けるエステサロンがあります。それは「セルフエステ」です。

手技や機械のトレンドはありつつも、根本的なビジネス展開においてはそこまで目立った動きのないエステ業界ですが、このセルフエステについては業界全体に影響を及ぼすほどの新しいスキームになります。セルフエステという言葉を知っている方もまったく知らない方も、しっかりと学んでいきましょう。

セルフエステの現状や今後の見通しについて、船井総合研究所でエステサロン専門のコンサルタントを務める、楠本文哉(くすもとふみや)さんにお話を伺ってきました。

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セルフエステとは


まず、セルフエステとは、文字通り自分で行うエステです。従来は、家庭用に作られているエステの美容機器を使って自宅でお手入れすることをセルフエステと呼んでいました。

最近では、その概念が大きく変わりつつあります。最近話題になるセルフエステとは、プロのエステティシャンが施術で使用する業務用の機械をサロン内で貸し出し、お客様自身で機械操作及び施術をしてもらうというまったく新しいシステムなのです。

業界の流れ的には、人材の不足が今後も進んでいきます。エステに限ったことではないのですが、どの業界を見てもロボットを活用したような、人を使わなくてもうまく収益をとれるビジネスモデルが増えつつあります。このセルフエステに関しては、エステというよりはもはやフィットネスに近いイメージだと言えます。今後、この流れがもっと発展するとエニタイムフィットネスのように24時間制のサロンが登場する可能性もあります。

常駐するのは最低限の受付スタッフで、スポーツジムで筋トレのマシンの使い方を説明してくれるように、初回のみお客様への機械レクチャーが入ります。2回目以降は基本的にはお客様にお任せし、スタッフが行うのは使い終わった後の美容機器の消毒作業や壊れていないかの機器のチェック作業のみです。

使用する美容機器も型落ちのものではなく最新の業務用機器であることが多く、例えばフォースカッターやセルライトゼロなど、エステ業界の人間であれば必ず耳にしたことのある知名度のある機械を導入しています。もちろん知名度が低く機械自体の単価が安いものを使っている店舗も多いですが、基本的に業務用の美容機器を使っているため、機械自体の品質としては非常に良いものを使っていると言えます。

セルフエステのメリット

セルフエステのメリットとしては、何と言っても安いという一言に尽きます。10分500円などの時間貸しをしているところもあれば、月額定額制をとっているサロンも見られます。月額制の場合、使える機械の種類や日時によってスポーツジム同様に価格差を設けており、5,000~16,000円ほどの価格設定のところがほとんどです。

顧客目線でいくと、今まで一回のエステに1~2万円かかっていたのが月にその金額になるのですから、エステが好きな女性からしたら非常に大きなメリットと言えます。また、セルフの場合機械の数だけ予約が取れます。「今日予定空いたから行きたい!」「明日デートの約束が入ったからエステに行っておきたい!」となった際にすぐ予約がとれるところは、予定をパンパンにいれがちな女性には非常に向いているといえるでしょう。

サロン目線でいくと、月額管理の場合現金を扱わなくて良い上に売上見込みが立てやすいという利点があります。ジムが休眠顧客で成り立っているように、セルフエステについても、解約はしないけど今月は忙しくて行けないという層が一定数でてきますので、回数券の消化と違い、そういった顧客の取りこぼしがない点もメリットです。

そして、先述したように従業員の業務は基本的には受付がメインとなりますので、スタッフ教育や管理が非常に楽になります。美容機器の操作マニュアルはどのメーカーも作っており、機械の操作方法および効果的な使用方法については、導入したサロンの講習用にわかりやすく記載されているものが多いです。

サロン側で特別なマニュアル作成をする必要がなく、スタッフもそのマニュアル通りにお客様にレクチャーすればよいだけなので、通常のエステティシャンに求めるようなリンパや皮膚についての知識やクロージング能力が求められません。極端な話、美容業界で働いたことのないフリーターであっても、受付業務さえ問題なくこなせればよいのです。

技術力の高いスタッフの場合、独立されたり他店に引き抜かれたりしないように高待遇の配慮をする必要がありますが、セルフエステの場合バイトでも成り立つのでサロン側としても雇用のハードルが低くなります。

セルフエステのデメリット

顧客側のデメリットとしては、できる部位が限られるという点がまず挙げられます。お腹や脚であれば比較的操作はしやすいのですが、腕や背中についてはかなり施術が難しくなるため、自分が痩せたい部位がセルフでも対応ができるのかどうかは一度確認する必要があります。操作面でも、ずっと自分でやり続けますので、かなり疲れます。機械のプローブ(持ち手部分)は重量があることも多いので、使い慣れない美容機器の使用で、肩や腕については疲れてコリが発生してしまう可能性の方が高いでしょう。

また、ケガの可能性があるということも念頭に置いておかなくてはいけません。美容機器は基本的には安全性が高く、最大出力でもトラブルが起こらないよう設計されたものになりますが、それは正しく使った場合です。

例えばラジオ波と言われる高周波は体の表面から脂肪細胞までを一気に42℃前後まで上げていく機器になりますが、同じ箇所にずっと当てていると低温やけどのリスクがあります。もちろん、最初のレクチャーで必ずそういったことは避けるよう使い方の指導が入りますが、もし低温やけどをしてしまっても自己責任になります。

機器使用の同意書に自己責任の旨記載がありますので、顧客側は自分の使い方を間違えるとトラブルになる可能性があるということは認識しておかなくてはいけません。サロン側の場合も顧客が万が一ケガをしてしまうと悪い口コミやもめごとの元になるので、機械の選定やレクチャーをきちんと行う必要があります。

他のデメリットとしては、機械を多く保有しておかないといけないので先行投資がかなりかかります。規模の小さい企業の場合、体力的に難しいでしょう。また、顧客が間違った使用方法で使用したり、プローブを落としてしまったりして、壊してしまうケースも考えられます。

プロであれば考えられないような取り扱いでも、顧客は素人なのでやってしまう可能性は大いにあります。機械を仕入れたメーカーによっても規定は変わりますが、機械的な不備ではなく明らかにサロン側の過失である場合、部品の修理や交換が有償となってしまいます。プローブの場合だと10万をこえることもざらなので、機械導入時に故障時の対応をしっかりと確認しておく必要があります。

成功の分かれ道は、立地と資本力


セルフエステの成長は現在とどまるところを知りませんが、全国的に爆発的な伸びなのかと言えばそうでもありません。まずは、特定の層にしかまだ受け入れられていないという点です。

地方に根付いたカーブスのような展開は難しいでしょう。セルフエステに通う層としては30代のOL層が多く、一般的なエステやスポーツジムに比べると非常に若いと言えます。ちょうど働き盛りの年齢層がセルフエステに来ている傾向にあるので、郊外になった場合、その年齢層がそのエリアにいるのかどうか、という点が問題になってきます。

基本的には都市部のOLに向けてのビジネスとして成り立っているので、当面は都市部のみの展開と言えそうです。

現在、セルフエステの展開が特に目立つのは東京都心部、神奈川県横浜市、愛知県名古屋エリア、大阪の梅田・心斎橋エリア、福岡県博多エリアといったところでしょう。もう一つの懸念事項としては、セルフエステはサロン側の先行投資がかなり必要だ、という点です。初期投資についてはまず機械の導入にかなり資金が必要になります。

ボディアーキで導入しているフォースカッターをはじめ、業務用の痩身機器は1台数百万円するものがほとんどです。もちろん大量に仕入れることで安くはなりますが、10台仕入れようと思うとそれだけで1,000万円を余裕で超えてしまう仕入れ額になります。

また、内装についても個室の設計にしたり、全部屋にカーテンをつけるとなると内装費もそれなりにかかりますし、通常の小規模エステであれば3~4台の機械なので電気も通常のコンセントで間に合いますが、各部屋ごとに機械を置くとなると配線工事と電圧の対応も必要になります。そういった細々の対応をしていると、通常のサロンのオープン時の何倍もの資金がかかってしまう可能性が高いです。

そして、オープンしてからも継続的にお金がかかります。セルフエステのシステムはスポーツジムに非常に近く、認知度もまだまだ低いため、しっかりと広告をうって集客対策をしないとお客様は来ないと思っておいた方がいいでしょう。

そうすると、資本力がない企業については、体力的に考えて、セルフエステをわざわざ経営するよりも、小規模のエステサロンを最低限の人数で回す方がよほど勝機があります。セルフエステは、回収までの損益分岐点の数字が大きいので、基本的には企業体力のある法人向けのビジネスになります。

大きく成功できるかどうかは、

①サロンの立地、
②先行投資
③広告宣伝

この3点にお金をかけられるだけの企業体力、これが必須と言えます。

最近では、エステディーラー大手の7エステがセルフエステの参入サポートをはじめました。7エステは機械や備品の卸もしているので、開業のサポートをすることで自社の製品を売ることができ、力を入れています。内装のアドバイスや開業後サポートなども行ってくれるので、資本力にあまり自信がない場合はこういう機器側のサポートを利用することで初期投資はかなり楽になると言えます。それでも、広告宣伝費はしっかり確保して開業することが必須です。

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異業種参入型のセルフエステ事例から学ぶ経営スキーム


メリットデメリットで見たように、これまでエステ業界でサロンをやってきた会社さんからすると、リスクの方が大きくなります。そのため、セルフエステは別事業で成功を収めている異業種からの参入が多いです。

セルフエステは、広告費ありきでの成長が大きく、資本力のある異業種の参入によってようやく認知度があがり、勢いがでてきています。地方では難しいスキームではあるものの、都心部のエステサロンにとってはかなりの脅威となりえるでしょう。

セルフエステは、各社首都圏に集中投資をして一気に伸ばしています。まず、このセルフエステというジャンルの認知度をぐっと押し上げたのはじぶんdeエステです。

じぶんdeエステ

初めてエステのサブスク(サブスクリプション=定額制サービス)を作ったということで、非常に注目を浴びました。定額のシステム自体は過去いくつかのサロンで実施はされていたのですが、じぶんdeエステのすごいところはこれまでのセルフエステとは違い認知拡大のためのかなり広告費をかけたところにあります。

<機材>
通常のエステサロンでは単価2万円程度で使われているマシンを使うことでコスパの良さを前面にアピールしています。1店舗に100台以上という圧倒的な機械の台数で、全店舗総数では700台以上とのこと。台数だけでなく種類も豊富に、目的に応じてカスタマイズできるようになっています。美容クリニックでも導入実績のあるフェイシャルマシンを導入済みだそうです。

<コスト>
月額5,980円~11,800円の月額制をとっています。ジム同様に時間帯によって割安にしています。時間も45分と75分で選べるようになっています。画期的なのが、予約なしで来店可能にしている点でしょう。エステにおいて予約は必須で、人気店や忙しい女性の場合は全然予約がとれなくて解約に至るケースもあります。「思い立ったら、今、行きたい!!」が叶うというのはかなり需要がありそうです。

<設備>
完全個室&全部屋に説明動画入りのiPad搭載し、機械の使い方を動画で見れるようにしています。また、iPadを通じて、スタッフとの通話でのやりとりも可能にしています。共有のジムルームとフェイシャルカウンターを設けることで、ジム同様に友人同士での来店でも楽しめるように工夫されています。

東京4店舗、神奈川1店舗、埼玉1店舗、愛知1店舗、大阪1店舗、福岡1店舗と全国の政令指定都市に順調に拡大していっています。

BODY ARCHI

こちらも今WEBやSNSを中心とした宣伝広告で認知度と顧客数を伸ばしている企業です。運営元はネクシィーズグループですが、DDホールディングスの子会社バグースと湘南美容グループのパートナー参画も2019年3月に決定したことで注目を集めています。今後の店舗拡大スピードは要注目です。

<機材>
全室、全コースでフォースカッターという美容機器をウリにしています。比較的知名度が高く、高級エステサロンなら1回2万円程度のコースメニューに使われる機器です。シンプルにこの1台で勝負していますが、ラジオ波・キャビテーションなど1台4役の複合機のため使い勝手の良い機械と言えます。

<コスト>
月額10,000円~15,000円で、ジム同様に時間帯によって割安にしています。時間も45分と75分で選べるようになっています。都度払いがデイタイム45分5,000円と、15:15~6,000円という設定です。こちらは予約制度をとっています。

じぶんdeエステと比較すると割高に思えますが、2店舗の来店登録ができるため、オフィスの近くと自宅の近くなど、より通いやすくなっています。

<設備>
東京に5店舗、大阪に1店舗なので、主に首都圏の方向けのサービスと言えますが、今後店舗は増える見込みです。また入会者には25,000円相当の遺伝子解析サービスを無料で提供しており、食生活や運動などのサポートをそちらでできるようになっています。こちらは遺伝子解析を受けたことがない女性にとっては大きな差別化要素となるでしょう。

運動嫌いの意識高い系女子をターゲットに絞れ


どの店舗の立地と客層からも、働き盛りの女性がターゲットであることがわかります。仕事もそこそこ忙しく、独身で自分磨きにお金をかける世代です。

現在エステを含め痩身全般が二極化が進んでおり、ライザップをはじめとした体を変えるために自分を追い込む高額のパーソナルトレーニング系のジムやしっかりとした体質改善系エステも増えてきています。その反面、一定層の女性が痩せたいけど努力はしたくない、手軽に痩せたいという願望を持っています。形から入るためにスポーツジムに入ってみたものの幽霊会員になっている女性などが良い例です。

セルフエステに通う層としては、ファッションとしてエステに行っているという意識高い系女子が多いと言えます。エステ自体が付加価値の高いパーソナルなケアと、コストを追求し低価格を極めたサービスにきっちりと分かれつつあります。セルフエステについては今後3年を目処にビジネスモデルが続くと思われます。ただしこのような業態は流行り業態と呼ばれる業態にも近いことから常にサービスのアップデータが必要といえるでしょう

ヨガやスポーツジムとほぼ同額で通え、月々の支払額がエステ1回分で済むとなれば、コスパとしては抜群です。こういった具体的なターゲット層に絞り込むことで、より明確に顧客をつかんでいるといえるでしょう。今一番競合となるのは都心部で開業しているエステサロンです。特にOL層メインのサロンは大きな打撃を受ける可能性があります。

また、現時点ではスポーツジムにとってセルフエステは脅威ではありませんが、痩せたい女性がスポーツジムからセルフエステに流れる可能性は多いにあり、スポーツジムの潜在顧客がとられていく可能性はあります。首都圏を中心に、今後も動向に要注目です。

出典元:
7エステ
じぶんdeエステ
BODY ARCHI

Profile

楠本文哉さん Fumiya Kusumoto

船井総合研究所の中で最もエステ業界に精通し、船井総研の中でもエステ業界のクライアントを最も多く抱えるエステ専門のコンサルタントである。 得意とするテーマは、「WEBを活用した集客・見込み客の最大化」、「多種多様な業種からのエステ事業への新規参入支援」である。 現在は、年商2000万円の企業から年商30億円の企業クラスまで、年間300回を超える個別コンサルティングを全国で行っている。 常に地域1番店を作るためのコンサルティングは顧問先様から好評を得ており、個別コンサルティングの依頼は1年先まで埋まっている状況である(2019年1月現在)

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