美容師に求められる衛生管理とは|国家試験対策のオススメ本を紹介
美容法では、「衛生管理」の内容は厚生労働省で細かく規定されており、美容師国家試験でも出題されるほど重要な分野です。美容師になってからも覚えておきたい分野ですので、今回は衛生管理の内容や、勉強に役立つおすすめの本をご紹介します。
美容師に求められる衛生管理とは?
美容師は切れ味のよいハサミを使うため、お客様への危険が伴ううえに、髪や頭皮など人の体に直接触れる仕事でもあるので、使用する器具や施術における衛生管理の知識はとても重要です。美容師の衛生管理については厚生労働省で定められているほか、美容師の資格を取得する際の国家試験でも出題されます。
今回は、こうした美容師に求められる衛生管理について詳しく解説していきます。
厚生労働省|理容所及び美容所における衛生管理要領
美容室と理容室の営業における衛生管理要項は、サロン運営における衛生面をよい状態で維持できることを目的としています。衛生状態の維持には、サロンの設備や備品などの衛生管理と消毒をしっかりおこなうことと並行して、従業員が自身の健康管理をすることが重要です。
ここからは、厚生労働省が定めている衛生管理要項をご紹介します。
施設及び設備
施設の衛生管理とは、建物の構造や設計を衛生管理要項に定められている通りにすることで、要項に従えば衛生面を確保できる内容になっています。たとえば、建物は外部から虫やねずみなどが入れないような構造であること、施術する場所と待合スペースがきちんと区切られていることなどです。
衛生管理要項には、施術する場所と休憩所は壁などでしっかり区切られていることなども盛り込まれています。設備の衛生管理には洗い場に水道を設置することや、施術に必要な器具類は消毒済のものとそうでないものに分けることなど、細かな面について記載されています。
管理|器具・従業者
衛生管理においては、清掃頻度や整理整頓、常にきれいにしておくべき場所について細かく指示されています。たとえば店内の掃除は毎日おこなう、照明設備は年に2回必ず清掃する、などという具合です。実際にサロンで働いていると当たり前のことのように思えますが、ひとつひとつ見ていくと、気をつけなければならないことがたくさんあるのがわかります。
施設や設備だけではなく、従業員の管理についても細かく定められています。感染症にかかっていないかの確認や、感染症にかかってしまった場合の対応について、保健所への申告を含めてさまざまな内容が盛り込まれています。
衛生的取り扱い等
衛生的取り扱いとは、先に紹介している管理内容が徹底されているか、従業員で感染症にかかっている人がいないかなど、毎日点検、確認するべき内容が盛り込まれています。換気の頻度や施設内の温度、湿度についても細かく設定されているほか、薬剤の取り扱いについても細かく決められているのです。
中でも、皮膚に接する器具類についての内容は重要です。すべての器具はひとりのお客様に対してひとつ使用し、使い回しをしてはいけないと定められています。髪を切るハサミはその限りではありませんが、カミソリやタオル、ケープなどは1回使ったら洗う、消毒するなどしてきれいにしたうえで、次のお客様に使用しなければなりません。
消毒|カミソリやタオルなど
消毒の項目では、器具や備品の消毒方法について細かく解説されています。煮沸消毒やエタノール消毒など、種類別に重要なポイントを挙げているほか、それぞれの消毒方法に適さない素材についても解説されており、日々のサロン運営の中でとても重要な内容です。
とくに理容室では顔そりを頻繁におこなうので、たくさんのカミソリを消毒し、管理しなければなりません。日々の仕事をこなすうえで作業を怠っていないか、定期的に衛生管理要項を見直し、チェックするとよいでしょう。
自主的管理体制
自主管理とは、サロン運営において衛生面をよい状態で維持するために何をどのように管理するべきかを自分たちで考え、実践する管理体制のことです。顧客や従業員が安心して設備や器具を利用できることは、自分たちの身を守ることにもつながります。
事故が発生してしまった場合、サロンの評判や売上にも大きく関わってきますので、日々の管理をしっかりおこなうことと、管理の中で小さな異変にすぐ気づけるようにしておくことはとても重要です。
自主点検のポイントとしては、施設内が適切な明るさになっていることや、換気がきちんとおこなわれているか、店内や各設備が清潔に保たれているかなどが重要になります。衛生管理要項でもあるように、器具の消毒や使用前、使用後の保管も細かく確認しておきたいポイントです。このほか、自主管理においては店内だけでなく、従業員の服装や衛生管理も大切な確認事項になります。
国家試験にも衛生管理問題は登場する!
前述した衛生管理については、美容師の国家試験でも出題されるので、現役美容師はもちろん、これから美容師になりたいと考えている人もしっかり習得しておかなければなりません。ここからは、国家試験における衛生管理の出題傾向や難易度、自己学習におすすめの書籍などをご紹介します。
国家試験の筆記試験科目
美容師の国家試験は、実技と筆記に分かれています。衛生管理に関する問題は筆記試験の中で出題されますので、その詳細についてご紹介します。
筆記試験の合格基準|正解率60%以上
筆記試験は60%以上の正解率で合格となります。ただし、筆記試験は関係法規や制度、公衆衛生、皮膚科学などさまざまな分野に分かれていますが、その中でひとつでも無得点の分野があると不合格となってしまうので注意が必要です。
国家試験対策のおすすめ本・サイトを紹介!
美容学校でも国家試験の対策はおこなわれますが、筆記試験は自己学習が必須です。ここから国家試験の自己学習におすすめの過去問題集や書籍をご紹介します。
2019年版 徹底マスター 美容師国家試験過去問題集(日本能率協会マネジメントセンター)
こちらは平成29年度に実施された筆記試験問題が掲載されている過去問題集です。筆記試験攻略のために過去問を解くことは必須ですが、この本では過去問のほかにも、頻出問題が集められているので効率的に学習できます。「直前対策チェック」として試験直前におさらいしておきたい分野がまとめてあるので、計画性をもって学習できる点が魅力です。
美容師国家試験実戦試験問題集 <改定版>(一ツ橋書店)
筆記試験を受けるうえで重要度の高い問題をピックアップしているほか、詳しい解説が記載されています。問題の内容や知識を習得する必要性が明確に記載されているので、学習意欲が高まる問題集です。出題問題に付随する解説もあるので、美容師になるために必要な知識を幅広く吸収できます。
美容師試験○×式一問一答問題集(Amazon Kindle本)
筆記試験で出題される各分野から150問ずつ掲載してあり、マルバツ形式で回答する構成になっています。瞬時に問題を読み解き、回答できるので、これまで受験勉強してきた成果をスピーディーにチェックしたいときや、幅広く知識を習得したいときに活用できる1冊です。
シンプルに回答するタイプの問題集なので通学時間など短い時間にも読み進められます。なお、kindle版など、さまざまな電子媒体で読むことも可能です。
美容師として働く上で衛生管理は欠かせない!
お客様の体に直接触れて施術を提供する美容師の仕事において、衛生管理は欠かせないテーマです。衛生管理は美容師の国家試験に出題されますので、これから美容師を目指す人はもちろん、サロンで働くようになってもサロン勤務の根底にある分野と言えるでしょう。ぜひしっかりと習得して試験合格を目指すとともに、就職後には習得した内容を思い切り発揮してください。
出典元:
厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領」
東京都多摩小平保健所「美容所」
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター「第39回 理容師国家試験及び美容師国家試験の合格基準」
JHEC[日本美容教育委員会] 2019年版 徹底マスター 美容師国家試験過去問題集
一ツ橋書店 美容師国家試験実戦試験問題集
Amazon 美容師試験○×式一問一答問題集