ひいばあちゃんに会いたくて介護施設に行っても、1時間もいられなかったのはなぜだろう?

秋本可愛

こんにちは。秋本可愛です。

このコンテンツを読んで下さっている方の中でも、おじいちゃん、おばあちゃんが介護施設に入居されている方なら同じような境遇、気持ちを経験したことがあるのではないでしょうか。

今回はここ数年で私が家族という立場から感じていた違和感をお話しようと思います。

ひいあばあちゃんに会いに特養にいっても1時間もいられなかった。

秋本可愛と祖母

年始にひいおばあちゃんが入所する特養に行ってきました。
この写真は、年始に101歳のひいばあちゃんと会ったときのものです。

私のひいおばあちゃんは、なんと101歳。認知症でもなく、時々文通するくらいには、文字も書ける自慢のひいおばあちゃんです。

まだまだ元気で長生きして欲しいですが、あと何回会えるか分かりません。
半年に一度しか地元に帰らないので、帰る度に会いたくて必ず会いに行きますが、実家で過ごす年始は決して忙しくないにも関わらず、1時間も経たないうちに毎回帰ってしまいます。1年前におじいちゃんと一緒に施設に行ったときは、1時間どころか30分で帰ってしまいました。

毎回帰りの道中は元気な顔が見られて嬉しい気持ちと、これで良かったのかなという気持ちが入り交じります。
一方で、おばあちゃん家に行ったときは食事をし、居間でこたつに入ってテレビを見ていたら、あっという間に2〜3時間が過ぎています。

特養にいるひいおばあちゃんと自宅にいるおばあちゃんとでは 話した時間はそれほど変わらないと思います。
ただ一緒の空間で過ごす時間の差は歴然です。

介護施設は、家のような場所ではない。

介護施設と家とでは、どちらも大切な家族がいるという条件は同じです。
違うのは、介護施設の場合は入所する本人以外の家族は、話すこと以外にやることがないということです。ただ元気そうな顔が見られれば私は十分で、話したくてたまらないことは正直1時間、2時間もありません。

家の場合は食事やテレビを見るなど、何か同じことをしていたら、会話も自然と弾みますが、家族という立場で施設に訪れた際 には、一緒に何かをすることはこれまでありませんでした。
家のように同じ空間でそれぞれ別のことをすることが許される空間でもなければ、カフェのように読書や仕事が捗り長居してしまうような空間でもないのです。

介護施設は「終の住処」や「家のような」などといった表現を用いられることがあります。
普段はあまり意識しませんが、上記のように「家」が家族の関係性を何気なく維持したり 、深める役割を担っているのであれば、そこに存在する人間は同じでも、介護施設の様相は「家」とはほど遠い印象があるように思います。


しかし、仮に施設にそれができる環境があったとしても、私は年に2回しか行くことができません。101歳にもなるとおそらく友達が遊びに来ることはないでしょうし、家族も毎日通えるわけではありません。

同じ施設に入所する人やスタッフさん以外に言葉を交わす人は1年間を通しても、それほど多くないように思います。


私がデイサービスでアルバイトをしていたときは、スタッフと利用者さん以外に現場に訪れるのは、利用希望の見学者、ケアマネジャーや送り迎えをしてくれるご家族だけでしたし、その頻度も多くない 。当時の私は、それが普通だと思っていました。

ところが、上記以外の人が施設の中で行き交う開放的な仕組みを整えている施設もあるのです。

特養の食堂の様子

↑ひいばあちゃんが入所する特養の食堂の様子

今あるものの組み合わせで新たな価値をつくる

私がいたような、出入り する人が限られている閉鎖的な施設はまだまだ多くあると思いますが、人と人のつながりを生み出している施設もあります。
藤沢にある小規模多機能「おたがいさん」では、事業所の玄関で駄菓子屋をやっています。駄菓子屋を切り盛りするのは、利用されているおばあちゃんたちで、子供達が頻繁に買いに来ています。
東京都にあるサービス付き高齢者向け住宅「銀木犀 西新井大師」にも、1階に駄菓子屋があります。

銀木犀 西新井大師の駄菓子屋の様子

↑銀木犀 西新井大師の駄菓子屋の様子

以前伺ったときは、丁度お買い得な時期だったので溢れんばかりの子供たちと、外にはその様子を見守るお母さんたちが立ち話をしていました。

おそらく今まで縁遠いものであったはずの介護施設に、「介護施設に行く」や、「高齢者に会う」などの本来の目的ではなく、子供たちは「駄菓子を買う」という目的、お母さんたちは「子供の見守る」という目的を持って、自然に人が集まる場所になっているのです

高齢者もお世話になる対象ではなく、駄菓子屋を切り盛りすることや子供達を見守る存在となっているのです。そのことが入居者を元気で居続けさせているようにも感じます。


他にも保育園、カフェや野菜の直売所などが併設されるなど、既存にあるものの組み合わせで新たな人と人との交わりを生んでいる施設があります。今地域のコミュニティの再構築の重要性が至るところで言われていますが、その一翼を担うのは介護施設なのかもしれません。

地域の子供やお母さんが集まる、賑やかなハブステーションとしての介護施設
利用者に会いに来た家族が、家とまではいかなくても、心地よく漫然と時間を過ごすことのできる介護施設。
それは施設+駄菓子屋かも知れないし、施設+カフェかも知れないし、利用者が家族と一緒に入れるこたつをひとつ置いてみることかも知れません。

「家族に会いに介護施設に行っても、1時間もいられずに帰ってしまうこと」、それは自然なことかもしれません。
ただ、介護施設がもし家のように入居者と訪問者にとって時間を気にせずくつろいで過ごせる場所であれば、とても素敵なことだと感じます。

介護施設がより多くの人で賑わうためには、そして私のようなひ孫 が、施設に行ってもひいばあちゃんと心地よく漫然と過ごすためには、 全く新しい「発明」というものは実はそれほど必要なく、今あるものと今あるものの「組み合わせ」で十分なのかも知れません。



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