4月16日(土)から1週間、渋谷ユーロスペースでの上映される映画『つむぐもの』は、もうご覧頂きましたでしょうか。
介護現場の厳しい現状をリアルに描きながらも、介護を通して生まれる人と人とのつながりが生む可能性が描かれた本作。
3/19(土)に有楽町スバル座で公開され、その反響から渋谷、横浜や新潟など、各地で上映が決定し、広がりを見せています。
そんな本作に共感した20代の介護職が公認の「つむぐもの大使」として選ばれ、私はそのリーダーとして関わらせて頂き、現在PR活動を行っています。今回はつむぐもの大使3人との対談を通じて、若手介護職の視点から本作をご紹介できたらと思います。
今回の対談に登場するつむぐもの大使メンバー
川上陽那 介護福祉士 特別養護老人ホーム勤務
高栖 望 作業療法士 小規模多機能居宅介護事業所勤務
前田 南 介護福祉士 日本社会事業大学在学中
この写真は、映画『つむぐもの』監督 犬童一利氏と本記事に登場する大使メンバーです。(左から川上、秋本、犬童監督、前田、高栖)
秋本:映画『つむぐもの』を見て感じたことを教えて下さい。
前田:私は現場実習やアルバイト経験の中で、介護が業務的になっていたり、介護をしてあげるとか、手伝ってあげるという姿勢に疑問を感じていました。
その違和感を拭うように、この映画では、介護が「人と人が関わる」という普通のこととして描かれていて、その感覚を大事にしていきたいと思いました。
川上:私は現場のシーンがリアルに描かれているのが、とても衝撃でした。
本当は見せたくないと思うような、多くの現場が向き合いきれていない現状が描かれていて、映画を見終わってから心に残る物がたくさんありました。それを考えた先に、人に向き合うことの大切さに気付けたような気がします
高栖:私は今働いている現場が当たり前ではないことに、なんだかショックを覚えました。
今の現場では、専門職とご利用者さんの関係以前に、人と人とが関わっていて、それができることは普通ではなく、有り難い環境なんだなと思いました。あの映画を見たら、初心に返れる気がします。
秋本:『つむぐもの』を真っ先に見て欲しいって思った人は誰ですか?
高栖:お母さんですね。最近お母さんが介護を始めて、「楽しそうだね。でもそんなところばかりじゃないよ」と言われるんです。
川上:うちの母親も看護助手で、「理想ばかりじゃない」と言われ、私の話は響かないんですよね。
秋本:介護の仕事を親から反対されて断念する人もいる程、家族の理解はとても大事ですよね。ましてや同じ職種であるなら余計に価値観を共有したい気持ちが強くなる気がします。介護の仕事を理解してもらいたい人に伝える手段が映画というのが面白いですね。
高栖:でもちょっと悔しくないですか。介護の仕事をしている自分たちの言葉では伝わらなくて、映画では伝わるって。
川上:悔しいですね。
有楽町スバル座にて
犬童監督とつむぐもの大使の舞台挨拶の様子
秋本:川上さんは、お母さんと観に行かれたと伺いましたが、何か変化はありましたか。
川上:映画を見終わったあと、私と同じ価値観を共有できたんですよね。映画を通してコミュニケーションができるのは良いなと思いました。
秋本:つむぐもの大使の活動として、まずは街中でのチラシ配りを始めましたが、実際にやってみてどうでしたか。
前田:通りすがりの人がチラシをもらってくれて、介護に少し興味を示してくれました。映画を入り口にして介護を自分事として考える機会になるのであれば、素晴らしい入り方なのではないかと思って、そういう気持ちで配りました。中には「もう見たよ」ってチラシをもらってくれる人もいて、応援してくれているんだなと感じてとても嬉しかったです。
つむぐもの大使と映画に共感した、
介護職を中心とする仲間による駅前での映画PR活動
高栖:Youtuberや映画通の人など、普通に生活しているとなかなか会えない人と会うことができました。配っていると「介護の仕事大変だね」って言われることが多くて、「大変じゃないよ」と仕事の話をしたのですが、少しでも伝わっていたらいいなと思いました。
川上:普段現場で介護の仕事にどれだけ魅力を感じていても、外の人に発信する機会はないので、駅前で色んな人が来る中で、自分の仕事の魅力を語り合いになったこともあって、すごく良かったです。
3人の話を伺って、置かれている環境によって感じ方は様々ですが、映画を通じて自分自身の仕事や在り方を見つめたり、大切な人に向き合うきっかけになるのではないかと感じました。まずは介護現場で働く人に、是非見て欲しいなと思っています。
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