介護業界は常に求人を募集しており、安定した需要があることが知られていますが、その一方で低賃金が問題になっていることも知られています。
介護職員の賃金が安いのは介護報酬を含めた現在の介護保険制度を決めている国の責任の部分も大きいかもしれません。
ですが、「介護職で高収入を得ることは不可能なのでしょうか?」と言う質問に対しては「いえ、そんなことはありません」とお答えします。
ここでは、そんな介護職で高収入を得る方法を紹介していきます。
高収入の定義は人によって異なります。
「年収1,000万円以上でないと高収入とは言わない」と考える人もいれば、「日本国民の平均以上であれば高収入」という声もあるでしょう。
ここでは、「高収入=手取り○○万円以上」という具体的な書き方はしません。
介護業界内外も含めて相対的に比較し、それより高ければ「高収入」と判断しています。
ハローワークや新聞の折り込み等に載っている求人情報は比較的低い給料の情報が多いです。
そのことが世間一般の「介護職の給与は低い」というイメージに繋がっていると考えられます。
企業がハローワークやチラシに求人一覧を掲載するための費用は無料、または格安です。
そのため、あまり広告費にお金をかけられない会社が多いのです。
その中には『未経験OK』や『未経験歓迎』の企業が多いのですが、安月給の会社や条件が良くない会社も多いのです。
それに対して、求人サイトでは高待遇の職場選びをする求職者が多い上、掲載に費用がかかるため、募集広告を出すのは、支給額が高く環境の整った企業が多いです。
もちろん、求人サイトにも、「キープ一覧を注意していないと掲載期間が過ぎてしまい応募可能期間終了になってしまう」、「電話で応募する場合には求人番号を控える」などの注意すべき点はありますが、WEB応募ができたり最近ではバイト動画が掲載されていたりするので選ぶのに楽な点も多々あります。
また、リジョブでは勤続支援金があるので、収入面では大きなメリットになります。
雇用形態によっても収入は変わってきます。
ですが、正社員が高収入であるとは一概に言うことはできません。
ここでは、雇用形態アルバイト、正社員、派遣社員の3つで考えてみます。
アルバイト・パートの場合は「土日祝は休みたい」などシフト融通可能のようなメリットはありますが、収入面だけで見ると低いことは容易に想像できると思います。
正社員の場合は他の雇用形態に比べてたくさん支給されそうなイメージではありませんか? 確かにボーナスや退職金もあるので、高収入が予想されます。
しかし、そうならない場合もあります。
例えば「みなし残業制度」を採用している会社の一部がそうです。
例えば月20時間みなし残業代として、月に20,000円を月給に含めている会社があるとします。
しかし、残業が20時間を超えているのにも関わらず追加の残業代を支払わない株式会社も世の中にはあります。
「そんな会社あるの?」と思われるかもしれませんが、介護業界に限らずそんな会社が横行しているのが現実のようです。
そういったみなし残業制度を採用している会社では、正社員よりも派遣社員の方がたくさん稼ぐことができるでしょう。
なぜなら派遣社員の場合は正社員と違い、会社と派遣会社との契約ですので、残業代はしっかり出るからです。
もちろん派遣社員には派遣社員のメリット・デメリットがありますので、詳しくは以前の記事「介護業界の正社員とは?」をご覧ください。
所持資格も給与差が出る要因となっています。
資格を所持することにより、できる職種は増加しますし収入額も上がります。
ここでは介護系業務に関わる主な資格の平均年収ランキングを発表します。
順位 | 資格名 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 理学療法士・作業療法士 | 390万円 |
2位 | 言語聴覚士 | 384万円 |
3位 | 社会福祉士 | 377万円 |
4位 | ケアマネージャー(介護支援専門員) | 372万円 |
5位 | 精神保健福祉士 | 366万円 |
6位 | 介護福祉士 | 335万円 |
7位 | 社会福祉主事 | 311万円 |
8位 | 介護職員初任者研修(旧:ホームヘルパー2級) | 293万円 |
リハビリテーション専門職の3つ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)は高収入が得られるようです。
この3つは医療・看護(看護助手・看護サポート)職員としても需要が高いことが高収入である理由と言えます。
次に高い資格が福祉系三大国家資格(介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士)とケアマネジャーです。
ですので、純粋に介護系で高収入の資格は社会福祉士かケアマネジャーと言えます。
中でも社会福祉士は相談員や施設長になれる等、将来性もあるので人気も高いようです。
また、将来設けられる予定の「認定介護福祉士(介護福祉士の上位資格)」は収入面でも将来性が高い資格になると予想されます。
認定介護福祉士がいつからできるかは未定ですが、高収入を希望する人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
※この調査結果はあくまでも、所持資格別の年収です。
職種には関係ありません。
例えば、ケアマネジャーの資格を持っていながらケアマネジャーの仕事をせず、ケアワーカーとして働いている人もケアマネジャーとしての統計対象になっています。
勤務先の施設によっても収入は異なります。
もちろんそれ以外にも地域や経験によっても異なります。
経験者は最初から他の職員より高い収入が得られるでしょう。
ここでは、東京の施設別時給(未経験・必要最低限の資格を所持・入社直後の時給)ランキングをご覧いただきます。
順位 | 施設の種類 | 平均給与時給 | 最低時給~最高時給 |
---|---|---|---|
1位 | 訪問介護(身体介護) | 1,801円 | 1,200円~2,100円 |
2位 | 訪問介護(生活援助) | 1,352円 | 1,050円~1,680円 |
3位 | 老人保健施設 | 1,185円 | 907円~1,700円 |
4位 | 有料老人ホーム | 1,089円 | 910円~1,600円 |
5位 | 特別養護老人ホーム | 1,025円 | 910円~1,250円 |
6位 | グループホーム | 1,022円 | 907円~1,250円 |
7位 | デイサービス | 922円 | 910円~1,200円 |
ここでは管理職などの特別な役職に就いておらず、生活相談員や受付など特別な職種ではない介護士を対象に調査しておりますが、ご覧いただいたように訪問介護の時給が格段に高いことがわかります。
中でも生活援助よりも、排泄介助や入浴介助を必要とする身体介護の時給が高くなっていることがわかります。
但し、時給で見ると大きな差があるのですが、正社員として働く方の月給で比較した場合はそれほど大きな差にはなりません。
それは、「訪問介護の利用者宅から利用者宅に移動する時間は時給が発生しないから時給を高めに設定してある」などの理由があるのですが、アルバイトとして勤務を希望する方には訪問介護(身体介護)が高収入になると言えます。
職種によっても収入は変わることは、容易に考えられるでしょう。
ここでは東京での介護の職種別に月給を調査しました。
順位 | 職種 | 平均月給 | 最低月給~最高月給 |
---|---|---|---|
1位 | 管理者・管理者候補 | 287,159円 | 200,000円~450,000円 |
2位 | サービス提供責任者 | 257,272円 | 176,726円~365,000円 |
3位 | ケアマネージャー | 255,313円 | 200,000円~290,000円 |
4位 | 機能訓練指導員 | 247,676円 | 190,000円~350,000円 |
5位 | 訪問介護 | 237,328円 | 170,000円~450,000円 |
6位 | 生活相談員 | 227,000円 | 182,850円~284,100円 |
7位 | ケアワーカー | 216,277円 | 145,000円~340,880円 |
1位の“管理者”には“施設長”が含まれていることもあり、介護職の中ではかなり高給を得られるようです。
一番低いのはやはり直接介護を行う介護士(ケアワーカー)であり、高収入を得るためには資格を取得して人をまとめる職種に就くことが求められるようです。
ここまで、介護業界で高収入を得る働き方をご紹介して参りましたが、そういった仕事を探す時の注意点もあります。
<夜勤で働く>
以前の記事「夜勤の実態」でも紹介したように、夜勤で働くと夜勤手当が付くので、日勤のみで働くよりも収入が高くなります。
「よし! 週に2回は夜勤で稼ごう!」と考えているのに、デイサービスのような夜勤がないところで勤めても意味がありません。
身体を壊さないようにすることは大前提ですが、無理をしない程度に夜勤で働ける場所を探すのも良いでしょう。
<基本給は高いはずなのに>
「基本給が20万円もあると思って選んだのに、あとの手当が何も付かないから結局安月給だ!」「あれ? 交通費って出ないの??」なんていう話を聞くことも少なくありません。
社会保険や所得税を引かれた手取り金額は、「(基本給+各種手当)×0.8」を目安にしましょう。
また、交通費の支給額制限がある会社や、まったく支給されない会社もあります。
入社する前に問い合わせするなどをして確認し、交通費が出ない場合は最寄り駅が近い施設を選ぶなどの対策をしましょう。
<高収入の職場への応募は急いで>
高収入の企業はそれに比例して応募数も多くなります。
採用予定人数が多く大量募集をしている企業であっても、多くなった分応募数も多くなると考えていいでしょう。
採用は早い者勝ちというわけではありませんが、早い段階での応募は採用に繋がりやすいことも事実です。
求人情報をしっかり確認した上で、早い段階での応募を心掛けましょう。
<高収入でも長く続かない理由>
せっかく高収入の会社に入ることができたのに、すぐ辞めてしまう人もいます。
その理由の多くは人間関係によるものです。
いくら高い給料を貰っていても、毎日イヤな思いをしながら続けられる人はそうはいません。
入社する前には施設見学をして、職場の雰囲気は良いか、従業員はみんな笑顔で働いているかなどを調べて、自分に合いそうかを考えた上で入社を決めましょう。
<男性の訪問介護は不利?>
「訪問介護のアルバイトは高時給だから、訪問介護で働こう」と思っていても、男性は女性に比べて採用される率が低いようです。
同性介護を原則にしている事業所が多いため、男女による採用の差は無いように感じますが、訪問介護の場合は調理や部屋の片づけが必須です。
完全に勝手なイメージによるものでしょうが、利用者は「料理や掃除、洗濯は女性の方が向いているはず」と考え、女性のヘルパーを希望する人が多いようです。
もちろん、中には力が必要な仕事もたくさんあるので、男性のヘルパーも重宝されるはずなのですが、女性の方が重要視されているのが訪問介護の現状です。
介護職で年収1,000万円稼ぐことなど可能なのでしょうか。
実際に稼いでいる人がいる以上不可能とは言えません。
ただ、施設の介護スタッフとして働いている人が年収1,000万円稼ぐことはほぼ不可能に近いです。
管理職に就いて経験と実績を積んだとしても600万円~700万円が最大値でしょう。
では、どうすれば年収1,000万円を稼ぐことができるのでしょう。
結論から言うと、経営者になることです。
もちろん、経営者になると必ず年収1,000万円以上になるのかというと、そんなことはありませんし、経営状態によってはスタッフよりも低い収入になってしまうかもしれません。
そのため経営者は、利用者が集まるような施設を考える必要があります。
もちろん、利用者(お客様)があってこその売上です。
つまり、経営者には利用者を集める経営手腕が必要なのです。
これまでに、「たくさんあるレクリエーションの中から好きなものを選べる施設」や「食事がバイキング形式の施設」など、利用者が求める新しいタイプの施設が立ち上がって来ていますが、そういった新しいことを考えて具現化する能力が求められるのです。
言うまでもない事ですが、自身の収入のみに固執してスタッフの給料が安くなってしまうような経営者ではいけませんね。
高収入の仕事はハローワークや新聞の折り込み求人チラシで探すのではなく、求人サイトや求人雑誌で探しましょう。
アルバイトで高収入を目指すのであれば訪問介護(身体介護)がオススメです。
また、雇用形態に関係なく、より上位の資格を取得することにより、更なる収入アップが見込めます。
施設経営者になることにより大きな収入が見込めますが、逆に収入が少なくなってしまう恐れもあります。
いきなり経営者を目指すのではなく、施設で管理者としての経験を積んで、ある程度経営方法を学んでから独立することが得策です。
低収入で有名な介護業界ですが、働き方によっては高収入を得ることができます。
もし、あなたが介護にやりがいを感じているのであれば、収入を上げて更なるやりがいに繋がる働き方を探しましょう。
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