介護福祉士の賃金は、以前から他の業界に比べると水準が低いということが言われてきました。そのため、継続した働き手の確保が急務であるにも関わらず、低賃金をはじめとする様々な原因で多くの人材が離職をしています。介護福祉士全体の中でも、低賃金であることなど、待遇・労働環境に不満を抱えている人はたくさんいます。平成28年10月の社会保障審議会介護給付費分科会の資料によると、離職理由のうち、待遇・労働環境にかかわる部分では、
介護に従事している人たちの給料が少ない、ということはずっと昔から言われてきたことです。しかし、その事実を知っている人はたくさんいるのに、なぜそのような事態に陥ってしまっているのでしょうか。
介護職の給料が低い原因は、収入を増やすための財源が少ない、もしくは事業所の支出が多いために、人件費を増やすことができないことです。
介護職の給料を賄うための財源が足りていないのは、介護サービスの提供に対する介護報酬が低いことが一つの原因として考えられます。利用する側から見ると、介護報酬が低いと自己負担額が安くなるというメリットがあるように見えますが、適正な(=介護職員が生活していくために十分な)給与が支払われる財源がなければ介護職を確保する事もままならない現状は好転しません。
逼迫する財源問題、これを解消するために、利用者の経済状況によっては、自己負担額を増やすといった対策が既に始まっています。
また、社会保障費をカバーするだけの財源を、国が確保できていないということもあり、増税を実施、もしくは検討をしています。さらに、介護保険における出費を少しでも抑えるために、介護を必要としない「健康寿命」を延ばすよう「介護予防」に取り組んでいるほか、事業所も長期的に働く正社員を採用して、浮いた採用コストを給料に充てるといった事業所もあります。
介護職を取り巻く賃金・待遇を改善するためには、国や事業所が努力することはもちろん、介護施設を利用する人も現状を知っておくべきです。それは、介護施設を利用することによって、どのくらいのお金が発生しているのかということです。
また、適切なサービスを提供することも大切です。必要以上のサービスを提供していまうと、その分コストも上がり、国民全体でその無駄な費用を負担することになるからです。反対に、必要以下のサービスを要介護者に受けさせると、介護施設として最低限のサービスを提供するためには、介護職員がボランティアで介護をせざるを得ないような状況を作ってしまうのです。
利用する側からすると、値段は安くなるし介護をしっかりとしてくれると思いがちですが、それが仇となり、介護職員が減っていってしまう原因にもなりかねません。このように、介護サービスを適切な内容で受けることによって、介護全体の無駄が無くなり、介護職に従事する人の待遇改善につながることでしょう。
氏名: | 松崎 匡(合同会社M&Yファクトリー 代表社員) |
経歴: | 介護福祉養成校を卒業後、障がい者福祉、高齢者福祉に携わり、アルファ医療福祉専門学校教務主任となる。その後2014年に合同会社M&Yファクトリーを設立。一生懸命な事業所や市民に向けたサポート等を中心に日々本気で活動中! |
2017/07/14
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