介護保険制度は、2000年に制定されて以降、ずっと1割負担で動いていました。しかし、2015年における法改正によって、この負担額が引き上げられることになりました。所得に応じて、1割ではなく、2割負担が適用されることになったのです。この2割負担は、2015年8月より適用されています。
そもそも、この2割負担の要因はこれから増加が予想される高齢者に社会的な構造が追いついていないためです。特に2025年に75歳以上を迎える団魂の世代は層が厚く、この点を見据えて政府も介護保険制度の改正を行ったものと思われます。
そもそも介護保険制度とは、何かということですが、要支援1~要介護5と介助が必要とされる方に向けて制定された制度です。介護保険が適用されることによって、介護施設やデイサービスのほか、介護用品のレンタルなどさまざまな介護に必要なサービスを通常よりも優遇して受けることができるようになります。制度改正によって、介助を必要とする方の負担が増加してししまったことがわかるでしょう。
介護保険は、すべての方が2割負担になる訳ではありません。年収によって、1割負担と2割負担に分かれます。その年収も、介護保険の給付を受ける本人、高齢者におけるもので、一定以上の収入を得ている高齢者が対象です。
分かれ目となるのは、所得160万円。単身世帯で、年金収入だけを得ている場合は、雑所得280万円を超えた場合は所得160万円に該当するため、年金のみだと年間280万円以上が2割負担の対象者となります。事業所得などほかに収入がある場合は、事業や給与所得プラス年金収入で280万円を超えないかが分かれ目です。
ただし、年収280万円という数字は、あくまで単身世帯の場合。夫婦で暮らしている場合は、その点が考量されて、目安となる年収も引き上げられます。2人以上で暮らしている場合は、本人と配偶者などを含め世帯の年金収入346万円が分かれ目です。
しかし、2割負担といっても一般的に一月あたり1世帯で37,200円を超えるようであれば、高額介護サービス費を申請して、上回った分が戻ってきます。
それではデイサービスを利用した場合、どの部分に介護保険が適用され、どの部分に適用されないのでしょうか。デイサービスでは、一般的にアクティビティやレクリエーションなどを行い、施設によっては入浴や送迎まで行っています。
あらかじめ国で基準が定められているため、それに沿う形で負担額が計算されます。入浴で介助が必要な場合は、認知症を患っている場合などは、その負担額にさらに個別加算が行われていきます。
デイサービスにおいて、介護保険の対象とならないのは介護と切り離した部分についてです。食事やレクリエーションなどにおける活動費がこれにあたります。こちらは、介護保険の対象とならないため、全額を負担しなければなりません。
また、デイサービスの利用において日常生活で使用しているものについても全額個人負担となります。こちらは、ひざ掛けや歯ブラシなど自分で普段使用するものなので、常識の範囲内で考えておけばよいでしょう。裏を返せば、デイサービスにおける大部分は介護保険が適用されることになります。
氏名: | 横井孝治(株式会社コミュニケーター 代表取締役) |
経歴: | 介護情報サイト「親ケア.com」をはじめ、複数の介護サイトやサービスを運営する傍ら、オールアバウト「介護」ガイドとしての執筆活動、テレビや新聞、雑誌などへの出演&寄稿、全国での講演活動などを行っている。 |
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