若手メンバーが多く活躍する、訪問介護士派遣『株式会社でぃぐにてぃ』では、自身も障がいを持つ代表の吉田真一さんが、在宅介護を受ける中で感じた「こうだったらいいのに」を活かしたサービスが行われています。
そもそも、社名の「でぃぐにてぃ(=Digunity)」は、英語で「尊厳」を意味する「Dignity」から来ていることが、由来のひとつです。同社の目指す「世界いち気持ちいい介護」とは、尊厳のある介護のこと。そのためには、利用者への敬意も必要です。
今回は、その気持ちで介護現場に立つ介護士・髙橋友希さんと、髙橋さんの訪問介護を受けている森本隆雄さん(74)、そして森本さんの奥様にお話をお伺いしました。
森本さん(以下、敬称略) 僕はサービスを受けるだけですから、本人よりも、家族の環境の方が変わるんです。
奥様 まるっきり変わりましたね。主人は「要介護5(※要介護度認定で一番重い介護度)」ですから、全て自分ではできません。24時間、ずっと主人のそばに付き添わなければならないのですが、安心できる介護サービスを受けながら、私は買い物や洗濯など別の家事ができますから、非常に助かっています。
奥様 「ここまでやってくれるんだ」と感じることは、たくさんあります。主人は髙橋さんを捕まえては、iPadの操作も教わっているみたいです。
森本 入浴介助で来てくれるときも、髙橋さんは機械の使い方をちゃんと教えてくれますよ。「知らないよ」じゃなくて、「何か分からないことあれば、やりますよ」という気持ちで接してくれるので、なおさらその日の気分がよくなります。
髙橋さん(以下、敬称略) ありがとうございます。お客様ごとに、やはり介護の方法は全く違ってきます。「そのお客様に合わせて、できるだけご要望に沿って行うように」と意識はしています。
奥様 うちは、1週間でヘルパーさんが毎日のように変わるんです。ヘルパーさんごとに、熟年の方やお若い方などもいますから、できることは違います。みなさんの生活や個性が違うので、主人はその方々からの話を聞いて、楽しんでいると思いますよ。
森本 ヘルパーさんごとに、対話が全く違いますね。こういう身体にならない限りは、髙橋さんをはじめヘルパーさんたちとも出会えませんでした。今まで見ることができなかった世界を見て、僕の世界が広がったわけです。それは、この身体になってからの面白さでもあります。
髙橋 こちらも、森本さんから教わることが多いです。
奥様 3年と少しですね。
髙橋 その中で、自分はここ1年間のお付き合いです。
森本 髙橋さんは、テキパキと要領よく動いてくれますよ。何でもすぐに覚えちゃう。
奥様 無駄な動きがないんです。ですから、時間に急かされていないし、こちらも安心してお願いできます。
森本 介護士になる前の職業が「自衛隊」だったから、不自由な人を飽きさせないんですよ。
髙橋 自衛隊は、安全なときは活動しませんから、本来は活動しない方が良い職業ですよね。だから、もっと身近に、人の役に立てる仕事がしたかったんです。
森本 テキパキ動いてもらうと、僕はこういう身体だから、やっぱり助かるわけね。髙橋さんは穏やかな性格なのに、前の職業はあんなに厳しい職業だったとはとても思えないよ(笑)。
奥様 髙橋さんは、ほんとうに気持ちが穏やかなんですよ。私たち夫婦は、お互いに自分を通そうとして、ときには言い合いになったりすることもあります。そのとき、髙橋さんが穏やかな気持ちでいてくれると、いつの間にか嵐がおさまるんです。やっぱり、「気持ち」ですね。
森本 介護を受ける側は、以心伝心のように、与える側の気持ちが伝わってくるものなんです。一辺倒のマニュアルどおりで、時間になったら「はい、終了です」ではなくて、「今日は、ちょっとこの辺りが悪そうだな」と思って介護してくれる人か。それだけでも、介護を受ける人は変わります。
奥様 主人は、ここに来てくださる方が、唯一の接点なんです。ですから、その時間を「パッと終わらせればいいわ」と思っている方は、やはりわかってしまうみたいですね。
森本 そうやって神経も身体も使うお仕事を土日も関係なく介護をしてもらっています。ですから、僕は介護士やヘルパーの方々を尊敬しているんです。いつも髙橋さんとか他の介護士との関わりで、「今まで知らなかった世界に、こんなに素晴らしい人たちがいたんだ」と、いつもそう思っています。
取材・文=流石香織
取材協力=株式会社でぃぐにてぃ
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