「第一回目は、神奈川県内の福祉サービスのサポートと促進に取り組む『かながわ福祉サービス振興会 介護ロボット推進本部』の関口史郎さんにお話を伺います。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「では早速、『福祉サービス振興会』の活動について教えていただけますか?」
「はい、私たち『かながわ福祉サービス振興会』は公益法人として、『高齢者や障害者が心身の健康を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、地域福祉サービスの振興と質の向上を図るとともに、子育て支援を推進することにより地域福祉の増進に寄与すること』を基本理念に、主に横浜市や神奈川県の委託による福祉全般に関する業務を行っています」
「福祉全般ということは、介護・障害者支援・医療や育児なども含まれるということですね」
「そうです。その中の介護関連の活動だけも、要介護認定や介護施設の評価、研修、ボランティアの支援など、ホントに多岐に渡ります」
「大変社会貢献度が高いお仕事という印象を受けますね」
「では、『介護ロボット推進本部』ができたきっかけを教えていただけますか?」
「はい、我々は『介護分野が抱える様々な問題解決』と『ロボット産業の育成』を目的として、2010年に事業を開始しました。 介護ロボットには利用者やメーカーなど、関わる組織や人が多く存在します。 我々は、それらのメーカー、行政、住民や施設を繋ぐことにより、介護ロボットの普及、更には『介護問題の解決』や『ロボット産業の育成』を促進させているのです」
「業界の関連各所を繋ぐという大切な活動をされているわけですね。では、その『繋ぐ』という目的のために、どのようなことをされているのですか?」
「介護ロボットの市場というのは、実はまだできていないんですよ。都道府県はもちろん、国ですら試行錯誤しているのが現状です。そこで、国や神奈川県の予算を使いながら、ロボットを介護施設に試験的に導入する『介護ロボットの試験導入』を行っているのです」
「直接、施設に介護ロボットを買ってもらうのではなく、試験導入をすることには何か意味があるのですか?」
「残念ですが、介護ロボットってまだ、ものすごく高価なんです。一度も試したことがなくて、よくわからない機器に、何十万円も払う人なんて極少数ですよね? メーカーはモノを作るんですけど、使ってもらう場所がないのです。そこで私たちは、その使ってもらえる場所、つまり介護施設を提供するんです。一方、介護施設にとっては、介護ロボットに興味はあるけど、リスクを負いたくない。そこで、『お試し』として使える試験導入に関心を持っていただいています」
「試験導入という形で、行政とメーカーと施設を繋いでいるのですね。試験導入された後は何かされるのですか?」
「ええ、更には施設にロボットに関するいろんなテストをしてもらい、効果測定を行っています。この『介護ロボットの試験導入』が、私たちの3大活動のひとつです」
「『3大活動』ということですが、残りの2つについてもお話いただけませんか?」
「はい。2つ目は『マーケットリサーチ』です。『介護ロボットについてどう思うか』、『介護ロボットをどのように使っているか』などの市場調査。3つ目は『介護ロボットの普及推進』です。介護ロボットというのは、まだ世間にあまり知られていないので、イベントや研修を通して認知度向上に努めています」
「これまで、どんなイベントや研修をして来られたのですか?」
「介護施設の方だけではなく一般の方にも参加していただいて、介護ロボットに実際に触れていただくイベントや事業説明会、シンポジウムなどを催してきました。研修についてもいろいろありますが、人材育成のために、介護ロボットの使い方を教えるセミナーも行いましたね。例えばこの『アザラシ型ロボット』の『パロ』なんですけど……」
「ピィー」
「本当に鳴くんですね」
「ええ、このパロは、人に反応して動くロボットなんです。使い方としてはすごくカンタンなのですが、実際にうまく使うとなるとなかなか難しいんです。電源を入れて置いておくだけではなく、パロを使って『〇〇さんに会いに来たんですよ~』と言いながら利用者に話しかけるなど、相手の心理状態に合わせてパロを使う、そんなスキルが必要なんですよ」
「大変な技術が必要なんですね」
「ピィ……」
2010年より介護ロボット推進事業に関わり、これまで国や神奈川県の事業を通じて約20機種の介護ロボット導入支援に関わる。介護ロボット関連で訪問した介護施設は数百以上。介護ロボット市場への参入検討をしている一般企業や団体からの相談にも数多く対応している。
2017/07/14
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