「これまで、介護ロボット推進本部として、何種類くらいの介護ロボットを試験導入してこられたのですか?」
「同じ機種のロボットをいろんなところに導入するといった場合もあるのですが……種類としては20種くらいですかね」
「こちらが、平成23年度に試験導入された介護ロボットですね」
※「介護ロボット普及推進事業」のウェブサイトより転載
「はい、自立歩行支援をするHALや、排泄介助ロボット、睡眠を管理するロボットなど、いろんなジャンルの介護ロボットを導入してきました」
「いろんな介護ロボットがありますが、『介護ロボットの定義』というのはあるんですか?」
「介護に役に立つシステムやモノの総称として介護ロボットという言葉を使っていますが、はっきりした定義って、実はないんです。パロだって、人によってはただのぬいぐるみですしね」
「確かにそうかもしれませんね」
「今、国でも介護ロボットの基準を作ろうとはしているようですが、近年、介護ロボットはいろんな機能を組み合わせた複合ロボットになっているので、定義づけをしても、すぐに時代にそぐわなくなってしまうかもしれませんね」
「ピィ……」
「2025年には249万人の介護従事者が必要だって言われていますが、介助のロボットや自立支援のロボットが進化することにより、必要な介護従事者を減らせると思いますか?」
「うーん、残念ですが介護ロボットは産業用ロボットのように作業人数を減らすという考え方の上に成り立っているわけではないんですよ。介護作業をロボットにやらせて介護に要する人数を減らすという発想は、どこにもないと思いますよ」
「そうなんですね」
「介護業界の人手不足は、大きな要因として仕事がキツイというのがあると思うんです。介護ロボットを入れることによって、職場環境の改善になるし介護従事者の負担軽減になるので、介護ロボットが人手不足を解消できるきっかけにはなるかもしれませんね」
「介護ロボットが介護業界の人手不足に一石を投じてくれることを期待しています」
「ピィィィィ♪」
「今後、介護ロボットに期待していることを教えていただけますか?」
「今の段階で思っていることは、ロボットの技術はいろいろ進んでいるのに使う側は介護ロボットを介護経営に上手く活用させることができない。そのギャップが大きいと考えているんです」
「使いこなせない原因というのはありますか?」
「ええ、でも開発技術者が良くて使う人が悪いっていうわけではないんです。原因はどちらにもあるという感じですかね。例えば有名大学の有名研究室が介護ロボットを開発して、大学の名前は立派だし、ロボットを作り上げた手法も技術もすごいんですが、使う側はそんな手法や技術には興味がないんです」
「確かにそうですね」
「はい。実際の介護の現場で活用できるかが大事なんです。そして使う側にも問題があって、今はただ受け身なんです。メーカー側に期待をしているだけなんですよ。良いものを生み出すには、使う側も『どうしたらうまく使えるか』『どうすれば介護ロボットをうまく運用できるか』を考える必要があるんです」
「介護ロボットの発展のためにはメーカーと利用者、お互いの協力が必要不可欠ということですね」
「ええ、近い将来、介護従事者と介護ロボット、そして施設利用者が共存できる世の中になることを期待しています」
「そのためにも、関口さんをはじめとする『介護ロボット推進本部』の今後の活動に期待しております」
2010年より介護ロボット推進事業に関わり、これまで国や神奈川県の事業を通じて約20機種の介護ロボット導入支援に関わる。介護ロボット関連で訪問した介護施設は数百以上。介護ロボット市場への参入検討をしている一般企業や団体からの相談にも数多く対応している。
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