さて、こんな話はご存知でしょうか? 現在、介護問題の解決方法のひとつとして「高齢者の地方移住」が掲げられているのです。 高齢者が地方に移住することが、なぜ介護問題の解決に繋がるのかという話の前に「高齢者の地域別人口」についてお話します。 以下の表は「国立社会保障・人口問題研究所」が公表した「都道府県別人口予測データ」をもとに算出した、2025年(平成37年)の都道府県別予想高齢者人口の上位10都道府県です。
順位 | 都道府県名 | 総人口 | 65歳以上の人口 | 人口比 |
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1位 | 東京都 | 13,184,440人 | 3,322,479人 | 25.2% |
2位 | 大阪府 | 8,415,188人 | 2,457,235人 | 29.2% |
3位 | 神奈川県 | 8,999,647人 | 2,447,904人 | 27.2% |
4位 | 埼玉県 | 6,980,620人 | 1,982,496人 | 28.4% |
5位 | 愛知県 | 7,333,317人 | 1,943,329人 | 26.5% |
6位 | 千葉県 | 5,992,550人 | 1,797,765人 | 30.0% |
7位 | 北海道 | 4,960,101人 | 1,716,195人 | 34.6% |
8位 | 兵庫県 | 5,262,049人 | 1,599,663人 | 30.4% |
9位 | 福岡県 | 4,857,098人 | 1,481,415人 | 30.5% |
10位 | 静岡県 | 3,485,076人 | 1,101,284人 | 31.6% |
当然、人口が多い都道府県ほど、65歳以上の人口も多くなるわけですが、中でも注目すべきは2025年には75歳以上の後期高齢者が175万人増えるとされる、東京・千葉・埼玉・神奈川の“東京圏”と言われる地域です。事実、東京圏すべての都道府県が上位10県に入っており、全国でも特に医療・介護施設の不足が深刻化する地域と言われています。
民間有識者でつくる日本創成会議は、2025年には東京圏の1都3県だけで介護施設が13万人分不足すると推計結果をまとめた上で、施設や人材面で医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を高齢者移住先の候補地として示しました。
地域区分 | 医療・介護ともに受け入れ能力のある地方 |
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大都市型 | 北九州市(福岡県) |
地方都市型 | 室蘭市・函館市・旭川市・帯広市・釧路市(北海道)、青森市・弘前市(青森県)、秋田市(秋田県)、山形市(山形県)、上越市(新潟県)、富山市・高岡市(富山県)、福井市(福井県)、福知山市(京都府)、和歌山市(和歌山県)、岡山市(岡山県)、鳥取市・米子市(鳥取県)、松江市(島根県)、宇部市(山口県)、高松市・坂出市・三豊市(香川県)、徳島市(徳島県)、新居浜市・松山市(愛媛県)、高知市(高知県)、大牟田市(福岡県)、鳥栖市(佐賀県)、別府市(大分県)、八代市(熊本県)、宮古島市(沖縄県) |
地方都市型準地域 | 北見市(北海道)、盛岡市(岩手県)、金沢市(石川県)、山口市・下関市(山口県)、熊本市(熊本県)、長崎市(長崎県)、鹿児島市(鹿児島県) |
1都3県に住む高齢者が、医療・介護の受け入れ能力がある地方に移住することにより、介護の負担を分散させようというわけです。
さて、大都市に集中している高齢者が地方に移住することにより、その地方にとって何かメリット、もしくはデメリットはあるのでしょうか。
人口が減少し続けている市の担当者は、「高齢者の移住に伴い人口減少に歯止めがかかり、更には介護職員の雇用が拡充し、地域経済の活性化につながることに期待している」と言います。しかし、このように高齢者を迎え入れることに歓迎ムードな地域だけではありません。 高齢者が移住してくることにより、当然介護サービスにかかる費用は大きくなり、自治体の財政を圧迫することになります。
介護施設数や介護従事者数に余裕があったとしても、自治体の財源には余裕がないため、結局は国からの援助が必要になるという地域が多いようです。
高齢者地方移住に賛否両論なのは、各自治体だけではありません。実際に移住を迫られることになる高齢者にとっても意見は様々です。
反対派 「高齢者を分散させるなんて、すごく安易な考え方だと思います。私は東京生まれの東京育ちなのに、簡単に『地方に行け』と言われて『はい、そうですか』と言えるわけがありません」
賛成派 「都心にいても特養に入れるとは思わない。移住することで入れるなら喜んで地方に移住します」
いろんな意見が交錯していますが、当然、高齢者が地方に移住するだけで、介護問題のすべてが解決するわけではありません。
あなたが介護を必要とする年代になるのはまだまだ先かもしれませんが、早急に様々な介護問題を解決しなければならない年代には既に突入しているのです。
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