単純作業だけの介護施設は淘汰される

渡邉 仁(わたなべ じん)さん

渡邉仁さん

お勤め先:ベストリハ株式会社

役職又は職種:社長

所持資格:理学療法士

経歴
医療系の専門学校卒業後、大手デイサービス施設に勤務。
2006年に理学療法士資格を取得
2011年9月にベストリハ株式会社 設立

■なぜ、経営者になろうと思ったのですか?

元々、デイサービスの現場で従業員として働いていたんですが、「自分が経営すれば、もっとご利用者様を満足させられるんじゃないか」と思ったんです。
『なんでデイサービスを利用するのか』と考えた時、施設でお風呂に入る、施設で食事をするなどの「家族の介護負担軽減」、リハビリによる「機能低下の防止」が重要だということに辿り着き、リハビリに特化したベストリハを設立することにしました。

前の会社に不満があったわけではないんですよ。そこでは所長だったこともあり、結構自由にさせてもらっていました。でも僕が多店舗の所長になったり、エリアマネージャーになったりすると、自分が作ってきたサービスを継続できないんですよね。リハビリをするなんてスタッフにとっては手間ですし、外出するのもリスクが伴いますから、誰も進んでやりたいなんて思わないんです。
だったら自分の会社でやれば、僕が施設からいなくなったとしても、僕の方針は会社の方針として継続できますからね。ご利用者様だけではなく、「スタッフも満足させたい」とも思いました。“新しい制度”や“社内資格”、“納得できる給料”によってスタッフを満足させられると考えました。

介護業界って「売上を上げろ!」って言いにくいんですよね。でも、それだと給料が増えないし、ボーナスも払えない。だから、「なんで僕たちは売上を求めないといけないのか」という教育を通して、スタッフに理解してもらい、ご利用者様とスタッフどちらにも満足してもらえるデイサービス施設を作ることに決めました。

■経営者になって苦労したことを教えてください。

店舗が増えて5店舗くらいになった頃から現場に出なくなったんです。そのあたりからスタッフとの間に意識の差が生まれて、楽しくなくなってしまいました。

■スタッフとの意思の疎通ができなくなったということですか?

それもあります。スタッフの「あんたは現場に出ていないからそんなこと言えるんだよ」っていう雰囲気が伝わってきて、すごく距離を感じてしまいました。ずっと一緒に働いてくれているスタッフからも「社長は変わった」って思われていたようです。

■どうやって問題を解決したのですか?

渡邉仁さん

自分は「何をしたいのか」「何のためにやっているのか」を真剣に考え直すことで、自分が他責にしていたことに気づきました。
それまでは「なんでわかってくれないんだ!」「みんなのためにやってるのに!」っていう、押しつけのような感じがあったんです。それを、初心に返ることで、自分にも責任があったことに気づきました。今でも現場には出ていません。ですが、月に1回「リーダー育成会」という飲み会を催しています。

当初、現場に出なくなって会議にもあんまり出なくなって、話す場所がなくなったんです。その同時期にエリアマネージャーという役職を作ったんですが、そのエリアマネージャーたちの「ちょっと話、聞いてほしいんですよぉ」から始まったんです。エリアマネージャーと飲みの場で話して、僕の考え方を話しているうちに、「お! これはリーダー育成になるな」と思い、結局今の「リーダー育成会」になったんです。

考え方を話していくうちに、スタッフも僕もその中で成長して、徐々に一致団結できるようになってきました。

■現在、当初の理想通りに進んでいますか?

これまでいろんな困難がありましたが、思った通りには来ているかな。ただ、前の会社の売上が25億くらいあったんですよ。なので、ベストリハが同じくらいの売上にならないと、わからないですね。今はそこまで行っていないからできているだけかもしれません。
その答えに辿り着くのが楽しみですね。

■休日のリフレッシュ方法を教えてください。

毎週末に、千葉の一宮にサーフィンに行っています。もう10年くらいやっていますね。知り合い3人で、一宮にシェアハウスを借りていて、サーフィンの荷物もそこに置いてあるんです。家賃は安いし、そういうサーファーは結構多いらしいですよ。

■介護業界に向いている人って、どんな人だと思いますか?

渡邊仁さん

ホスピタリティがある人ですね。ご利用者様はお客様なので。
ただ、ホテルの様なサービスでは、ご利用者様はスタッフに対して親しみを持てないので、もう一歩踏み込んでご利用者様との距離を近くしないといけません。うちのスタッフには「素直さと謙虚さがあればいい」って言っています。

ベストリハのスタッフは、7割が未経験スタートなんです。ご利用者様は、「経験が多いスタッフだから言う事を聞く」というようなことはなく、「好きか嫌いか」が大きいと思うんです。
そして、ご利用者様が好きになるのは大概、素直で謙虚なスタッフなんですよね。

■資格も経験もなくても、人間性が良ければベストリハで働けますか?

そうですね。所長をやっている人も約7割が未経験スタートです。働きながら国家資格を取得するスタッフもいますよ。

■今後、介護業界をどのように変えて行くべきだと考えますか?

まずは介護職員を増やすことです。そのためには働いている人を満足させ、介護のイメージを明るくする必要があります。
それでも人口比で見ると、少ない生産年齢が高齢者を支えるのは無理です。単純作業はロボットが行うようにならないといけませんね。
単純作業だけをやっているような介護施設は淘汰されるでしょう。

■単純作業とは、具体的にどんな作業ですか?

何が単純作業と聞かれると、介助作業のほとんどが単純作業になってしまうかもしれません。例えばロボットやスーツなどで、トイレや入浴が介助なして自分ひとりでできる機器ができた時、「それでも介助機器を使わずに人の介助をお願いするか」と言われたら、お願いしないと思うんです。そういったものは単純作業だと考えています。
そんな機器ができるのはまだまだ先の話ではありますが、私たちは「それでも人に介助してもらうことを選ぶ」と言われるサービスを提供していく必要があると思いますね。

■離職率が高い介護業界ですが、御社ならではの対策はありますか?

職場と従業員とのミスマッチをなくすことです。そのためには
【求人数を上げる】 → 【面接、現場試験の充実】 → 【教育の強化】 → 【キャリアアップ】
というフローが重要だと考えています。

多くの施設では求人数(応募数)が少ないので、よく相性も確認せずに「すぐにでも働いて欲しい」という状況なんです。ですが、面接だけではわからないことが多すぎます。
そのため、ベストリハでは面接後に現場試験を1日行います。その上で「うちはこんなサービスですよ。大丈夫ですか?」と確認を取って、お互いにギャップがない状態を確認してから採用します。
うちも最初は面接だけだったんです。ですが、入社してもすぐ辞めてしまう人が結構多く、3か月以内に辞めるスタッフが30%くらいいたんです。でも求人数が少なく、スタッフを選り好みできる状況ではなかったので、仕方なく働いてもらうと辞めてしまう。だからミスマッチを無くすには、まず求人数を上げることが必要だったんです。
そして、面接の後の現場試験、入社してからの研修を徹底しました。 この仕組みを始めてすぐ、離職率が半分(15%)に減りましたが、最近は……誰も辞めなくなりましたね。

■介護業界のマイナスイメージを払拭するために行っていることを教えてください。

渡邊仁さん

先ほどの話と重複しますが、「従業員の給料を上げる」「従業員満足度を上げる」「離職率を下げる」ということです。

業界全体の対策としては「介護甲子園」を主催しています。介護甲子園とは、日比谷公会堂で「全国の事業所が介護への取り組みを発表する」という、現在5回目になるイベントです。
介護職員にスポットライトを当てて取り組みや想いを発信する場を作ることによって、介護業界のマイナスイメージを払拭し、一般の人にも「介護業界はこんなに良いところですよ」ということを知ってもらいたいと思っています。
ご来場者の中には介護とはまったく関係ない方もいらっしゃいます。そんな方々にも「介護業界っておもしろそうだな」と、少しでも思ってもらえると嬉しいですね。
発表の方法には決まりはなく、演説やお芝居など様々です。優勝を決めるのは観客のみなさんで、最もコイン(票)を集めた事業所が優勝です。11月22日(日)に開催するので、是非お越しください。

また、介護甲子園の取り組みのひとつとして3か月に一回、雑誌を発行しています。「介護職をしているサッカー選手」など、夢を追いかけている人を取り上げて、現在2,000ほどの事業所に、合計10,000部発行しています。

■最後に、ベストリハさんの今後の展望をお聞かせください。

2025年までにデイサービスのシェアを東京ナンバー1にします。そして、介護・医療が大きく変わる流れに乗れる財務力をつけます。
近年多くの自動車メーカーが「自動運転できる車」を開発しています。その「車」まで移動できるスーツを作れば、要介護者でも車を運転できるようになるのです。その「スーツ」を開発、製造したいですね。そのためには財務力が必要なんです。

僕は、ベストリハの今後の展開っていうのは3パターンしかないと思っています。「衰退していく」か、「売る」か、「大資本に勝つ」の3つです。 大資本に勝てなかったら、衰退しかありません。なので、なるべく戦える状況にしたいと考えているのです。
もちろん財務力では大資本に勝てません。スタッフの能力って言っても、ちょっとだけ大資本の方が上かもしれません。と、なると……気合いと根性しかないんですけど(笑)、それで戦っていくしかないですね。

取材協力

ベストリハ

ベストリハ株式会社

デイサービスと訪問看護に特化した事業を展開。現在、デイサービス事業9店舗、訪問介護ステーション事業3店舗。リハビリを中心とした介護・医療を推進。

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