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ヘルスケア 2021-06-21

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか?vol.4】利用者と職員が笑って過ごせるよう、助け合いの精神を持って従事 #2

Withコロナ時代の今、介護現場に求められている感染対策と働き方を深堀りしてお届けする連載企画。前回に引き続き、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの2つの事業を展開している『ココファンメゾン四之宮』事業所長の谷村臣祐さんにインタビュー。前編・後編の2回に分けてお届けします。

新型コロナウイルスの流行を受け、利用者さんが安心して暮らせる環境をつくるためにさまざまな対策を試みているココファンメゾン四之宮。前編では施設内の対策方法、活用している感染対策アイテム、利用者さんとご家族が面会する際の対策、今後の課題などをお聞きしました。

この後半では、コロナ禍における現場の働き方をピックアップ。新型コロナウイルスの流行を受けて職員たちにはどのような心境の変化があったのか? コロナ前と比べて働き方はどのように変わったのか? などをお聞きすることで、コロナ禍の今、介護現場で求められている働き方について探っていきます。

お話を伺ったのは…

株式会社学研ココファン
ココファンメゾン四之宮
事業所長 谷村臣祐さん

2015年、前職と株式会社ココファンが経営統合したことをきっかけに現職に入職。藤沢市の住宅型有料老人ホーム『レジデンス湘南台』併設のグループホーム、小規模多機能型の兼任管理者を勤めた後、藤沢市の介護付き有料老人ホーム『ココファンメゾン大庭』の事業所長に。現職場の『ココファンメゾン四之宮』では平成28年10月〜1年半程事業所長を勤めた経験あり。その後、介護付き有料老人ホーム『レジデンス小田原』に移動し、約2年事業所長を担当した後、2020年4月から再び『ココファンメゾン四之宮』の事業所長に。現在は隣にある事業所『ココファンメディカルタウン湘南四之宮』の事業所長を兼任している。

事業所長として現場の緊張感を少しでも解けるように働きかけています

お仕事中の谷村さん

―新型コロナウイルスの影響を受け、ココファンメゾン四之宮の職員にはどのような影響がありましたか?

働くことに対しての職員の意識が、ものすごく慎重になったと感じています。

ココファンメゾン四之宮には介護度が高い方も住んでおり、各階のフロアも狭いため、仮に新型コロナウイルスの感染者を出してしまった場合は一気に感染が広がりやすく、罹患者が重症化してしまう可能性が高いです。

今でも日々警戒心を抱きながら業務に当たっていることに変わりはありませんが、新型コロナウイルス流行直後〜2020年5月に発令された緊急事態宣言時は「自分が媒体となって利用者さんにうつしてしまったらどうしよう」と心配になり、欠勤を希望する職員もいました。

―日々警戒心を抱きながらも業務に励んでくださっているんですね。そのような職員の気持ちの変化を受け、谷村さんが取り組まれたことはありますか?

職員に対してのケアをより意識して行うようになりました。僕、見た目は怖そうに見えますが(笑)、実はおちゃらけキャラで職員と一緒にワイワイするのも大好きな性分なんです。なので持ち前の明るさを活かして積極的に職員に声かけをしたり、職員の趣味の話を業務の合間に持ちかけるなどしています。現場に緊張感が走りやすい今だからこそ、少しでも職員たちの気を和らげてあげられるように努めています。

シフトに関しては、コロナ前に比べると欠勤を希望する人が増えはしましたが、本来、シフト調整などはコロナ禍に関わらず起こりうる事態ではあるので、あえて悲観的にならず、お互い様の精神で職員同士助け合って調整しています。

コロナをきっかけに社内会議や職員研修はオンラインにシフト

職員の研修は、
タブレットを使用したオンラインで実施しているそう

―コロナ前と比べて働き方が変化したことはありましたか?

僕自身、コロナ前は五反田にある本社で行われる会議に毎月出席していたのですが、今はオンラインを介しての会議にシフトしています。加えて職員の研修などには元々オンラインを導入しはじめてはいたのですが、コロナをきっかけに完全にオンラインに移行しました。

また現場では、利用者さんと利用者さんご家族の面会をオンラインで行ったり、職員に感染の疑いが出た際の濃厚接触者をなるべく減らす対策として、元々4人でやっていた仕事を3人体制にするといった取り組みを徐々に始めています。

―職員間の報告・連絡・相談などにオンラインを活用されたりはしていますか?

職員間の報告・連絡・相談などにオンラインツールやメールを使うことは基本的にNGにしています。

業務連絡や事務連絡を行う際には「業務連絡ノート」や「社内メール」を使用することもありますが、利用者さんに関わる連絡などを対面以外で行ってしまうと、人によって捉え方のニュアンスが変わってしまい、クレームや事故につながってしまうケースも。そういった事故やクレームを未然に防ぐため「利用者さんに関することは朝礼と夕方の申し送りで必ず共有する」というルール付けを社内で徹底しており、これはコロナ禍でも変えず行っていかなければならないことだと思っています。

谷村さんが参加した社内の感染症対策研修時の一枚

―コロナ禍で働くうえで谷村さんが大切にしていきたいことを教えてください。

実は新型コロナウイルスが流行する前から感染症対策の社内研修を受けていたのですが、そのときに聞いた「感染症対策において一人の怠慢は全員の悲劇を生む」という言葉の意味を、コロナ禍の今、ひしひしと感じています。感染症対策は、仮に100人中99人が頑張っていても、1人が怠ったらその1人から感染が広がり、頑張っている人の努力が無駄になってしまいます。だからこそ基本の感染対策を何よりも大切にすることを日々職員たちへ呼びかけ、全員が同じ方向を向いて頑張っていくための意識統一を図っていきたいです。

ココファンメゾン四之宮 事業所長・谷村臣祐さんのコロナ禍で働くためのコツ

1. 積極的に職員に声かけをすることで現場の緊張感を和ませる

2. 社内会議や社内研修にはオンラインを導入

3. 基本の対策を何よりも大切にするよう日々職員に呼びかける

「介護現場では利用者さんと職員が互いに笑って過ごせる環境をつくることが何よりも大切になります」とお話されていた谷村さん。その環境を守るためにどうしたら良いのかを常に考え、さまざまな対策やケアにあたってくださっている様子がインタビューを介しても伝わってきました。前編・後編を通して貴重なお話をありがとうございました!

▽前編はこちら▽
【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか?vol.4】手洗い・うがい・消毒の凡事徹底が何よりの対策に #1>>

取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)

Information

ココファンメゾン四之宮

住所:神奈川県平塚市四之宮1-3-66
TEL:0463-25-5117

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