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ヘルスケア 2021-09-03

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか? vol.7】充実した感染体制のもとでも気を引き締めて基礎徹底を呼びかけ #1

Withコロナ時代の今、介護現場に求められている感染対策と働き方を深掘りしてお届けする連載企画。今回お話を伺ったのは、介護付き有料老人ホームと短期入所生活介護、訪問介護の3つの事業を展開している『ジョイステージ八王子』ケアサービス部・部長の清水理恵さんと施設管理部・部長の髙橋章裕さん。

自立可能な利用者の居室を178室、介護が必要な利用者の居室を54室備えているジョイステージ八王子。コロナ禍以前から感染症対策には特に気を遣っており、施設の敷地内にクリニックを併設するなど医療体制も整っています。それでも新型コロナウイルス流行によって入居者の暮らしやスタッフの働き方に大きな変化があったそう。

規模の大きい施設であるがゆえに、細心の注意を払いながらコロナ禍への対策を進めているとのこと。前編では、ジョイステージ八王子の感染対策と制度面の取り組みや、物資をどのように揃えたかについて紹介します。

お話を伺ったのは…

株式会社エヌエムライフ
ジョイステージ八王子

主に介護棟の業務を担うケアサービス部・部長 清水理恵さん(左)、営繕関連業務や送迎・清掃などを手がける施設管理部・部長 髙橋章裕さん(右)

感染症対策の基礎をさらに徹底・強化

ジョイステージ八王子は奥多摩の山々を眺められる食堂や
広々とした多目的ホールといった施設面の充実はもちろん、
クリニックも併設されている安心の空間

──新型コロナウイルスの流行に際して、こちらではどのように対策を強化したのでしょうか?

清水さん:以前より、手洗い・うがい・手指消毒といった感染症対策には特に力を入れてきました。コロナ禍になってからは介助を終えるたびに消毒を行い、スタッフは入浴中も含め常にマスクを着用するなど、対策をより徹底しています。

当施設では要介護レベルに合わせて自立棟と介護棟がありますが、入居者の方にも共用スペースを使用する時は常時マスク着用をお願いしています。また人の流れをコントロールすることも重要な感染対策なので、例えばお風呂の時間などに自立棟と介護棟の人流が最小限になるようにしています。

髙橋さん:人流に関していえば、以前からインフルエンザの流行期には医療関係者以外の入館の制限を行い、コロナ禍ではそれがずっと続いている状況です。

──これだけの規模の施設では、施設内の換気や消毒も大変ですね?

髙橋さん:はい、自立棟だけでも1~6階まで170室以上あり、端から端まで250メートルぐらいあるので、各階の廊下を消毒するだけでもかなりの労力を要します。当然換気にも気を配っていますが、急な降雨で各所の窓を閉めたり、認知症の方が誤って閉めてしまった窓を開けなおしたりするにも各棟をくまなく見て回るため、その都度、手間と時間がかかってしまいます。

医療機関への送迎に使う車両の消毒も怠りません。やはり慣れてくると消毒・換気がおざなりになってくるので、日々の心がけを忘れないようスタッフそれぞれの業務を確認するのが重要ですね。

──施設内のどなたかに発症の傾向があった場合はどのように動いていますか?

清水さん:発熱した方がいたら、施設に併設するクリニックで利用者・職員とその家族全員に抗原検査を行います。万が一スタッフが発症した場合は2週間休みを取得できるようにしています。またスタッフの家族が医療関係者で、勤めている病院内でクラスターが発生した際は2か月近く休んでもらったケースもありました。しかしだれもが感染しうるわけですから、特別休暇扱いとして給与を全額支給しています。感染によって負い目を感じることがないよう、また生活面の不安も極力減らせるように会社として対応しています。

先を見通した準備・行動で感染を抑制

コロナ以降、外出がままならない入居者の方のために、
より居心地のいいラウンジにしたいという思いで
新たにアクアリウムを設置

──ほかの施設では物資が足りずに困ったという話も多くありましたが、こちらではいかがでしょうか?

清水さん:コロナが中国で猛威を振るっていると報道され始めた2020年春に、「これは日本でも流行してしまうのでは」と先を案じて多めに物資を確保しました。業界では必需品とされるN95マスクはもちろん、防護服も揃えてくれたので、○○がない! と困った経験はないですね。むしろ近隣の保育園が困っていたので消毒用アルコールを20リットル寄付したほどです。

ここ最近でもスタッフ・入居者へのワクチン接種も当施設を会場として実施しており、希望者全員のワクチン接種は既に完了しています。併設のクリニックがあるのも心強いですね。

向かい合わせにならないよう、
同じ方向を向いて着席する形式に。
テーブルの間隔をしっかり取り、
テーブル中央にはアクリル板を設置しています

髙橋さん:各部屋や食堂、事務室などで使うアクリルの仕切り板は我々の部署で用意しました。コロナ流行初期は近隣のホームセンターに行っても素材のアクリル板が在庫切れで困ることもありました。しかし加工に関しては幸いにも技術に長けたスタッフが部内にいたので、用途に合わせて使いやすい仕切りを作ることができました。

ジョイステージ八王子が実施している感染対策

1. 施設内の消毒・換気、人流の抑制を徹底

2. 抗原検査や特別休暇など感染が発生した際の備えも整備

3. 国内での流行に先駆けた物資の確保

コロナ禍前からインフルエンザ対策などで培ったノウハウをもとに、スタッフ一人一人が消毒や換気といった感染症対策の基本を徹底しています。さらに、会社として感染した際の検査体制や休暇制度もしっかり整備し、不安の払しょくにも気が配られています。「コロナ禍だから」というよりも常に入居者の健康を考え、危機に備えるという施設の方針が伝わってきます。

次回はコロナ禍における入居者・スタッフへのケアに関する話をお届けします!

▽後編はこちら▽
【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか? vol.7】感染対策だけでなく楽しく安心して入居できる環境づくりも強化 #2>>

取材・文/杉本 陸
撮影/高橋 進

Information

終の住処 ジョイステージ八王子

住所:東京都八王子市横川町924−2
TEL:0120-38-0161

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