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ヘルスケア 2021-09-04

【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか? vol.7】感染対策だけでなく楽しく安心して入居できる環境づくりも強化 #2

る連載企画。前回に引き続き、介護付き有料老人ホームと短期入所生活介護、訪問介護の3つの事業を展開している『ジョイステージ八王子』ケアサービス部・部長の清水理恵さんと施設管理部部長の髙橋章裕さんにインタビュー。前編・後編の2回に分けてお届けします。

コロナウイルス流行前から感染症対策に力を入れ、現在に至るまで改良を繰り返してきた

ジョイステージ八王子。前編では感染対策と制度面の取り組みや、物資をどのように揃えたかについて、入居者とその家族の面会に関する施策などをお聞きしました。

この後半では、コロナ禍で不安を感じている入居者、そしてスタッフに対してのケアについてもより詳細に伺い、同施設の離職率の低さにもつながっている、居心地の良い環境がどのように作られているかをお聞きしました。

お話を伺ったのは…

株式会社エヌエムライフ
ジョイステージ八王子

主に介護棟の業務を担うケアサービス部・部長 清水理恵さん(右)、営繕関連業務や送迎・清掃などを手がける施設管理部・部長 髙橋章裕さん(左)

コロナによる行動制限のストレス解消に配慮

声を使ってトントン相撲ができる
「トントンボイス相撲」は利用者にも好評。
喉の機能も鍛えられます

──環境・制度・物資いずれも万全といえるほど備えていますが、その他に注力している取り組みはありますか?

髙橋さん:外出の制限が入居者のストレスになっているのは見過ごせない問題なので、対策は必須です。もともとインフルエンザの流行期にはご家族の面会を中止にしていましたが、代わりに写真と手紙でやりとりを行っていました。しかし現在は面会できない期間が長引いているため、新たにパソコンやスマートフォンを使ったリモート面会を導入しています。ご家族にも好評ですね。

──入居者のストレス解消というと、レクリエーションやイベントも重要ですね?

清水さん:そうですね。その点でも入居者が楽しめるよう工夫しています。最近導入したのが「トントンボイス相撲」で、その名のとおり声でトントン相撲ができるというもの。運動の機会が減るなか、嚥下機能の維持・回復に役立つので重宝しています。景品として施設内で使える商品券を用意するなど、楽しんでイベントに参加できるよう工夫しています。

密を回避するために大規模なレクリエーションは行えないので、小人数でも楽しめるプログラムも増やしています。他にも訪問販売の回数を増やす、各都道府県の郷土料理を献立に入れるなど、施設内にいながらも楽しめる様々な取り組みを進めています。

接触を避けつつ、スタッフへのケアも欠かさない

「15年以上勤務する方も珍しくない」という
ジョイステージ八王子。
その数字が働きやすさを示しています。

──コロナ禍でスタッフの方の働き方にも変化はありましたか?

高橋さん:業者の出入りを止めているため、これまで業者が各部の事務所や入居者の部屋へと運んでくれていた食材や紙おむつ、リネン類などを、現在は職員が正面玄関まで取りに行き、必要な部者や各部屋へと運んでいます。施設が広いためどうしても負担が大きくなっています。

清水さん:スタッフ間の感染対策として休憩室に入るのは二人までとし、食事中もしゃべらないようにしています。ただ、休憩中のおしゃべりはスタッフにとって貴重な息抜きの時間だったので、談笑できないのは寂しいですね。利用者のためにもここは我慢し、乗り越えたらみんなで食事に行きたいねと話しています。

また、スタッフ一人一人の責任感が強い分、メンタルケアにも心を配っています。実際に、コロナに関する感染規定でお休みしたことを申し訳ないと感じていたスタッフがいたので、我々部長のほうから施設長にお願いして、施設長からその方へ「大丈夫なので、安心して休んでください」とメッセージを送りました。

──コロナ禍によってスタッフの結束が固まったのでしょうか?

清水さん:コロナで、というよりは以前からですね。だからこそ休憩や食事でコミュニケーションを取れないのがつらいです。一方でチーム内でのメールのやりとりや、SNSを介したミーティングなどを定期的に行い、常に交流を絶やさないようにしています。

充実した設備があるからこそ、常に油断せず対策を

広々とした屋上庭園では入居者がガーデニングに興じ、
敷地内に広がる約7000m²の森では広散策も楽しめます

──施設の敷地内にクリニックが併設されているのも強みですね?

髙橋さん:非常に心強いですね。さらに近隣の病院とも日ごろから連携を取っているので、薬が入手できない、緊急搬送ができないということもほとんどありません。ケアマネージャーも在籍していますし、最大限に感染対策をしたうえで、何かあった時に頼れる専門家が身近にいるのは安心ですね。

──これだけの設備やシステムに負けない、スタッフ皆さんの志の高さも感じます。

髙橋さん:私たちはやはり命を預かる立場。コロナ禍ですべきことは増えましたが、油断せず一つ一つの仕事を徹底していくことが何よりの対策だと考えています。今回の取材で思いましたが、他の部署の仕事を理解したうえでさらなる連携を取っていきたいですね。

清水さん:ぜひご協力お願いします! こんな状況下でも入居者の皆さんには楽しんで生活してもらいたいので、もっとイベントも実施していきたいですね。そのうえで、職員も楽しんで働き続けられる環境を整えていこうと思います。

ジョイステージ八王子
清水さんと高橋さんがコロナ禍の現場で意識すること

1. 行動が制限される分、入居者が楽しめる施策を考える

2. 充実した設備やシステムに頼り過ぎず、日々の対策を怠らない

3. スタッフ同士で連絡を取りモチベーションを高め合う

コロナによって入居者・スタッフに様々な制限がかかるなか、それでも前向きなマインドを保てるよう試行錯誤する姿勢は、介護・福祉の枠を超えて重要だと感じました。前編・後編を通して貴重なお話をありがとうございました!

▽前編はこちら▽
【福祉現場のコロナ対策、どうしてますか? vol.7】充実した感染体制のもとでも気を引き締めて基礎徹底を呼びかけ #1>>

取材・文/杉本 陸
撮影/高橋 進

Information

終の住処 ジョイステージ八王子

住所:東京都八王子市横川町924−2
TEL:0120-38-0161

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