デイサービスの入浴介助はどんなことをするの? デイサービスでの仕事内容を解説!
介護施設にはさまざまな施設がありますが、デイサービスは日常生活の支援を必要とする利用者が日中、入浴や食事、レクリエーションや運動をして過ごす場所となっています。そのため、デイサービスで働くスタッフは、日常生活動作の介助に関する知識や技術が必要となるほか、さまざまなレクリエーションを企画、運営する力も求められるのです。
また、似ている施設に「デイケア」があるので、ここではデイサービスとデイケアの違いに触れながら、デイサービスの仕事内容について詳しく解説します。
サービス(通所介護)の入浴介助はどんなことをするの?
デイサービスでは入浴の時間が設けられており、周囲の援助が必要な利用者が、安全で快適に入浴できるようにスタッフがサポートしなければなりません。ここでは、デイサービスにおける入浴介助の目的や具体的な内容を詳しく解説します。
入浴を希望する利用者さんを介助するお仕事
入浴介助とは介護支援が必要で、ひとりで入浴をすることがむずかしい利用者に対して、安全に快適に入浴ができるようにサポートするのが仕事です。利用者の日常生活動作のレベルに合わせて、本人ができない動作を介助します。
また、快適に入浴ができるよう、浴室や浴槽の温度調整、保湿や爪切りなど入浴後のケアもおこなうのが特徴です。
入浴介助の目的とは|体を清潔に保つ
入浴介助の目的は、利用者の体を清潔に保つことです。汗などがそのまま皮膚に残ってしまうと、においなどといったトラブルを招く可能性があり、体の衛生状態を保つことが難しくなってしまいます。そのため、入浴によって体に付着した垢や汗などを洗い流し、清潔を保つことが大切です。
入浴介助の流れを解説
入浴中の室温やお湯の温度差によって、体に不調をきたす可能性もゼロとはいえません。そのため、デイサービスなどの利用者が入浴する際には、周囲の見守りや声かけ、介助がとても重要です。
ここでは、入浴介助の流れや押さえておきたい注意点について、入浴前・入浴中・入浴後の3つのシーン別に詳しく解説します。
入浴前|ヒートショックを防ごう
入浴介助の際は、浴室と脱衣所の急な温度差による血圧変動で起こる「ヒートショック」を防ぐことが大切です。ヒートショックを起こすと血圧が急激に変動するため、心筋梗塞などを起こす可能性があるほか、意識を失い転倒することでけがのリスクも生じます。
寒い時期にヒートショックを防ぐためには、入浴前にシャワーのお湯を出して浴室内を温める、浴室暖房を稼働させるなど、浴室と脱衣所の温度差を少なくすることが大切です。また、利用者が脱衣をする前に脱衣所を温めておくことも大切になるでしょう。
入浴中|少しずつお湯に慣れてもらおう
体を洗ったあとは、入浴をします。その際にいきなり熱めのお湯に入ってしまうと、体への負担が大きくなるため、お湯の温度は38~40度と低めに設定し、利用者に徐々にお湯に慣れてもらうことが大切です。
入浴前に掛け湯をして、湯温を確認してもらうのもひとつの方法となります。入浴中も見守りや声かけをつづけながら、利用者の体調に変化がないか観察をおこないましょう。
入浴後|爪切りや水分補給など必要なサポートをしよう
入浴後は安全に着衣ができるよう、利用者へ椅子に座るようにうながします。利用者の日常生活動作のレベルに合わせて、必要時は適宜着衣の介助をおこないましょう。また、入浴で失った水分を補うため、お茶やお水の摂取も大切です。
利用者の体調の変化を観察し、入浴後の血圧や体温測定をおこなうこともスタッフの大切な役割となります。
また入浴後は爪が柔らかくなっているため、爪切りにちょうどよいタイミングです。爪が伸びている場合にはきれいにカットし、手先の清潔を保ちましょう。
入浴介助以外にはどんなことをするの? デイサービスでの仕事内容を解説
デイサービスで働く職員は、入浴介助以外にどのような業務をおこなっているのでしょうか。ここでは、デイサービスとデイケアの違いを踏まえて詳しく解説します。
デイサービスとデイケアはどこが違うの?
デイサービスとデイケアは同じ通所サービスではあるものの、目的やサービス内容が異なります。ここでは、両者の違いについて詳しく解説します。
デイサービス|日常生活での自立支援サービス
デイサービスは通所介護に位置づけられ、利用者自身が自立して生き生きと過ごせるようサポートをおこなうことを目的とした介護施設です。
利用者同士、あるいはスタッフとの交流を通して、社会的な孤立を防ぐことや介護をする家族の負担を減らす目的で利用するケースも見受けられます。介護職や看護師などのスタッフのもとで、必要な介助やサポートを受けながら、安全に快適に日中の時間を過ごすことが可能です。
デイケア|身体機能の維持を目指したリハビリなど
デイケアとは「通所リハビリテーション」のことで、おもにリハビリを目的としておこなわれるサービスです。リハビリは医師の指示のもとでおこなわれるため、デイケアには医師が常駐しているという点が、デイサービスとの大きな違いとなります。
運営、母体は老人保健施設や病院などの医療機関となっているところが多く見受けられるのも特徴です。
またデイサービスでは、おもにスタッフが企画したレクリエーションなどをおこないます。その一方で、デイケアでは医師の指示にもとづいたリハビリをおこなったり、集団プログラムで体を動かしたりして、心身の機能回復を目指すところに違いがあります。
デイサービスの仕事内容を詳しく解説!
デイサービスの仕事は、利用者の自立を支援し、心身の健やかさを維持回復するために身体介助をおこなうことです。そのほか、レクリエーションなどさまざまな企画を通して、楽しみの場を提供します。ここでは、デイサービスの仕事内容について詳しく解説します。
施設までの送迎
デイサービスの利用者は自宅から施設、施設から自宅へ行く場合に送迎サービスを利用します。施設によって送迎ドライバーを雇っているところもあれば、介護職員がドライバーとして送迎車の運転をおこなうこともあるのが特徴です。
また、足腰の弱い人や車いすを使っている人がスムーズに車へ移動できるよう、介助をおこなうのもデイサービススタッフの役割といえます。さらに送迎車に介護職員が同乗し、利用者の家族への申し送りなども業務の一貫です。
バイタルチェック
デイサービスでは一日のサービスを開始する前に、利用者ひとりひとりの体温や血圧測定などをおこないます。バイタルチェックを通して利用者の体の状態を把握し、入浴や運動などを実施してよいかどうかを判断するのが目的です。
たとえば、血圧がいつもよりやや高めの場合には、入浴ではなくシャワーや清拭に留めておこなうなどといった判断が可能となります。このように、バイタルチェックは利用者が施設において一日安全に快適に過ごすために欠かせない業務です。
食事の介助
デイサービスでは昼食やおやつの提供があり、スタッフは利用者が食事できる環境を整え、介助をおこないます。また、利用者の日常生活動作の段階によって、どの程度介助したらよいかが変わってくるのです。
たとえば、食事のセッティングや声かけだけでよい利用者もいれば、スプーンを口に運んでもらい、咀嚼や飲み込みを見守る必要のある利用者もいます。さらに、飲み込みやすいように汁物やお茶にとろみをつける場合もあるでしょう。このように、デイサービスのスタッフは利用者が楽しく安全に食事ができるようサポートする役割があります。
トイレへの誘導・排泄の介助
デイサービスでは、利用者のトイレへの誘導や排せつの介助をおこないます。日常生活動作が自立しており、歩行状態が安定している利用者に対しては、トイレへの誘導や見守る必要があるのです。
一方、筋力低下などで歩行状態が不安定な人、車いすで過ごしている人などはトイレへ誘導します。手すりを握ってもらい、便座への移乗介助も実施します。本人のプライバシーに配慮しつつサポートにあたることや、安全のためにトイレのナースコールの場所を説明することも大切です。
また、おむつの場合にはベッドなどでおむつ交換やふき取りなどを適宜おこなう場合もあります。尿意の乏しい利用者に対しては定期的に声かけをおこない、トイレへ誘導することもデイサービスで働くスタッフの大切な役割です。
レクリエーション
デイサービスでは一日のスケジュールで、さまざまなレクリエーションが盛り込まれています。レクリエーションの企画を考え、実行することもデイサービスで働くスタッフの役割です。
利用者が楽しみながら、心も体も活性化できるようなアイディアを考えていきます。新しい企画を作るのが得意な人、人を楽しませたり、喜ばせたりすることが好きな人は、デイサービスで自分の強みを発揮しやすいでしょう。
季節ごとのイベントやルールを盛り込んだゲームや脳トレのほか、ボール遊びやラジオ体操などの運動を取り入れたものなど、施設によってもさまざまなレクリエーションが企画されています。
レクリエーションを通して利用者同士やスタッフとのコミュニケーションが深まるだけでなく、お互いにリフレッシュでき、ストレス解消にもつながるでしょう。
入浴介助は利用者さんの入浴を手伝うお仕事
入浴介助では、ただ利用者自身ができない動作を介助するだけでなく、本人に残った身体能力をいかに衰えさせないようにするかという視点をもってサポートすることが大切です。スタッフが介助すればスピーディーに済みますが、入浴や食事、排せつなどの動作を見守り、声をかけるという姿勢も重要となります。
また、デイサービスは利用者ひとりひとりがレクリエーションを楽しむ姿や自立して行動する姿にやりがいを見出すことができるでしょう。利用者の家族から感謝されることも多く、モチベーションアップにもつながるおすすめの仕事です。
引用元:
厚生労働省 各介護サービスについて
厚生労働省 通所介護及び療養通所介護(参考資料)
厚生労働省 通所リハビリテーション