看護師と介護士の違いとは? 仕事内容や資格・お給料の違いを解説!
医療施設や介護施設で、患者や利用者のケアやサポートをするのが「看護師」と「介護士」です。どちらも患者や利用者に対して支援をおこなうという点では共通していますが、実際は仕事内容や年収などが異なります。
また、看護師でなければ患者に提供できないケアや、介護士だからこそ利用者に提供できるサポートもあるのです。ここでは、看護師と介護士、両者の仕事内容や給料、医療施設と介護施設での役割の違いなどについてご紹介します。
看護師と介護士はどこが違うの? 仕事内容や資格などの違いを解説!
看護師と介護士では、患者や利用者に提供できるサポートやケアの内容が異なります。ここでは、このふたつの仕事内容や資格、給料の違いについて見ていきましょう。
看護師と介護士の仕事内容を比較!
看護師はおもに、病院やクリニックなどの医療機関において、治療を目的とする患者に対してケアをおこないます。一方で介護士の仕事内容は、介護施設で介護が必要な利用者に対する日常生活のサポートなどが中心です。ここでは、看護師と介護士がどのような仕事をしているのかを比較しながらご紹介します。
看護師のお仕事とは|病院などで医療行為の補助をおこなう
看護師の仕事は、病院やクリニックなどで医療行為の補助をおこなうことで、「診療の補助」は保健師助産師看護師法に定められた看護師の業務です。外来や病棟、手術室、処置室などさまざまな場面で、医師がおこなう医療行為がスムーズに進められるようにサポートします。
具体的には心電図測定やバイタルサイン測定、点滴の一部投与、採血、問診など。補助業務するうえで、患者の様子で気になることや心配なことがあった際には、医師に報告・連絡・相談をおこなうことも大切な役割です。
介護士の仕事とは|介護施設などで介護・介助をおこなう
介護士は、特別養護老人ホームやグループホーム、デイサービスなど「介護施設」で勤務する職種で、それぞれの施設の特徴によって介護士の業務もさまざまです。
一般的には入浴介助、衣服の着脱の介助、トイレ介助、おむつ交換、配膳、おやつの準備、口腔ケアのサポートや洗濯などの家事サポートをおこないます。通所施設の場合には、送迎やレクレーションといった業務内容も加わり、利用者の気分転換をかねて散歩の付き添いをおこなうことも。
看護師と同様に利用者(患者)のお世話をすることは共通していますが、看護師が医療的なケアを中心におこなう一方で、介護士は利用者の日常生活介助がおもな仕事です。介護士は資格がなくても働くことができ、介護福祉士のように資格を取得すれば、専門的な知識や技術を得て働くことも可能で、スキルアップも目指せます。
介護職員についてはこちら:介護職員の定義とは? どんな資格があるの? 仕事内容を紹介します!
看護師と介護士の資格を比較!
看護師と介護士は、資格や給料が異なります。ここでは、看護師と介護士の資格にどのような違いがあるのかを比較してみましょう。
看護師の資格とは|国家資格「看護師」
国家資格である看護師の資格は、看護系の専門学校や四年制大学を卒業することで受験資格を取得でき、年に一度おこなわれる国家試験に合格すれば看護師免許を取得できます。就職先が事前に決まっていても、看護師免許がなければ働くことはできません。
また、専門学校や大学では、国が定める授業を履修する必要があります。座学だけではなく、臨床現場におもむいて病棟や介護施設などで実習をおこない、実践的能力を習得する必要があります。実習では、患者や利用者とのコミュニケーション能力や洞察力、思考力などを総合的に得ることが可能です。
介護士の資格とは|介護福祉士など
介護士は、特別な資格がなくとも働くことができます。そのため社会人を経験してから、あるいは主婦で子育てがひと段落してからなど、働きたいと思ったときにすぐに働けるのがメリットです。
また、より専門的な知識や技術を身につけたいという場合やスキルアップを目指したいという場合には、介護福祉士のような国家資格を取得することもできます。介護福祉士は、指定の養成施設を卒業するルートや福祉系の高校で必要な単位をとり卒業するルート、一定の実務経験によって受験資格を得られるルートなど、さまざまな方法で資格取得を目指すことが可能です。
介護福祉士についてはこちら:介護福祉士とは
看護師と介護士のお給料を比較!
看護師と介護士のお給料は、どの程度なのでしょうか。就職先によっても異なりますが、ここでは看護師と介護士のお給料の違いをご紹介します。
看護師の給料はどれくらい?
政府統計ポータルサイト「e-Stat」をみると、2019年の看護師の給料は、ひと月に約33万4,000円となっています。厚生労働省がおこなう賃金構造基本統計調査によると、2020年の看護師の給料は約34万円です。これは医師、歯科医師、獣医師、薬剤師に次ぐ金額で、准看護師や看護補助など看護職員のなかでは、もっとも高い金額となっています。
また、残業手当や夜勤手当がつくと給料も高くなり、ボーナスの回数や金額によって年収は異なるでしょう。さらに管理職等につくと役職手当がつき、給料がアップします。
介護士(福祉施設介護員)の給料はどれくらい?
政府統計ポータルサイト「e-Stat」によると、2019年の介護士の給料は、企業規模が10人以上のところで約24万円となっています。賃金構造基本統計調査では、2020年の介護士の給料は社会福祉専門職業従事者としてまとめられており、約27万円です。
介護士の給料は看護師に比べると、低い金額になっているのがわかります。なお、介護士の給料は介護支援専門員(ケアマネジャー)やホームヘルパーに次ぐ金額です。介護福祉士などの資格があると資格手当がつき、給料がアップします。看護師と同様に、残業や夜勤手当がつくのも特徴です。
看護師は介護施設でも働ける? 介護施設での役割とは
看護師は、病院やクリニックだけではなく、特別養護老人ホームやデイサービス、老人保健施設、グループホームなどでも働くことが可能です。ここでは、介護施設での看護師はどのような役割を果たすのかをご紹介します。
利用者の健康管理|バイタルチェックなど
介護施設において看護師は、利用者の健康管理がおもな業務です。体温や血圧、脈拍測定や呼吸状態の観察を中心に、入浴やレクレーションの参加が可能かどうかの判断をおこないます。
バイタルチェックの結果は記録に残して、勤務交代の際に利用者の状態を申し送りし、いつもと違う症状や心配な症状があった際には、医師に報告・連絡・相談をして指示をあおぎましょう。
療養に関する業務|軟膏の塗布など
介護施設は利用者が生活を送る場のため、看護師は快適に過ごせるようなケアやサポートをおこないます。療養に関する業務としては、軟膏の塗布や湿布の装着、打撲など軽度なケガに対する応急処置など。
また、褥瘡(じょくそう)の有無や皮膚の観察、同一部位への圧迫を避けるための体位変換、転倒対策なども業務の一環です。特別養護老人ホームのように終末を過ごす施設などでは、看取りのケアも含まれます。
医師の指示の下で医療業務|投薬など
看護師は医師の指示にもとづいて、医療業務をおこないます。具体的には投薬や点滴ルートの確保、実施、採血、血糖測定やインシュリン投与、痰の吸引などです。
医療業務の前後では、利用者の状態をこまめに観察する必要があります。利用者の状態で気になることや心配なことがあるときには、医師に報告・連絡・相談をおこない、ほかの介護スタッフなどに申し送りをすることも重要な役割です。
介護士は医療施設でも働ける? 医療施設での役割とは
介護士は介護施設だけではなく、病院などの医療施設にも就職することが可能です。ここでは、介護士の医療施設における役割について解説します。
入院患者さんのお世話|食事や入浴の介助など
入院している人は治療に来ており、事故で手足のリハビリが必要である、手術後で思うように体が動かないなど、人によって日常生活動作(ADL)の段階が異なるのが特徴です。介護士は要介護状態である患者のADLの段階にあわせて、食事や入浴の介助、清拭や足浴、トイレ介助、口腔ケアのサポートなどをおこないます。
要介護度の高い患者の場合は、看護師やほかのスタッフと協力してケアやサポートをします。また、入院中、快適に過ごせるように環境整備をおこなうのも介護士の大切な役割です。
看護師のサポート|カルテ整理など
看護師のサポート業務も、介護士の役割のひとつです。具体的にはカルテなどの書類を整理したり、書類をほかの部署に届けたりします。
また、医療機器の洗浄やナースコール対応、事務作業や配膳といった医療行為に該当しないものも業務のうちです。
看護師と介護士の違いを押さえて自分に合った道を選ぼう!
医療的ケア中心の看護師と、介護や生活援助を中心の介護士は、高齢化にともない、医療機関や介護施設などで協力しながら仕事をする場面も多くなってきています。また、患者や利用者に近い立場で、入院・入所生活を快適に送ることができるサポートができるように求められている仕事です。
両者は仕事内容や資格、給料なども異なります。将来、医療や介護の分野に進みたいと考えている人は、それぞれの違いを知って自分に合った職種を選ぶことが大切です。
引用元:
厚生労働省 職業情報提供サイト 看護師
厚生労働省 看護師国家試験の施行
厚生労働省 介護福祉士の概要
日本看護協会 看護職とは
e-Start 政府統計の総合窓口 賃金構造基本統計調査