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特集・コラム 2022-12-09

ケアマネジャー試験の合格率はなぜ低い?試験制度の変更や合格のためにするべきことをご紹介

ケアマネジャー試験は、他の福祉系の資格と比較すると合格率が低い傾向があります。これから試験に挑む方は不安に思うかもしれません。

そこで今回の記事では、ケアマネジャー試験の合格率が低い理由と合格のためにするべきことをメインにご紹介します。

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーは、介護を必要とする方のケアプランを作成する職業です。ケアマネジャーの正式名称は、「介護支援専門員」で介護支援専門員証の交付を受けている者のことをいいます。

介護保険のスペシャリストとして、ケアプランを作成する他に要介護者や要支援者の相談を受けたり、市町村・サービス事業者等へケアプランの交付・調整を行います。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)について

ケアマネジャー試験の正式名称は、「介護支援専門員実務研修受講試験」です。この試験は、各都道府県が管轄している公的資格です。ケアマネジャーという国家資格は無いため、誤解がないように覚えておきましょう。

介護支援専門員実務研修受講試験の試験内容と受験資格についてご紹介します。

試験内容

介護支援専門員実務研修受講試験では、介護支援分野25問・保健医療福祉サービス分野35問の合計60問が出題されます。試験時間は120分、出題は五肢選択方式でマークシート方式で解答します。

受験資格

試験を受験するには、要件を満たさなければいけません。

指定された国家資格に基づき業務に従事している者、もしくは相談援助業務に従事している必要があります。さらに、それらの実務経験が5年以上かつ従事した日数が900日以上でなければいけません。対象の国家資格と相談援助支援業務の詳細は、厚生労働省の「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」の一部改正についてから確認できます。

試験を申し込む都道府県によって、算定目安が異なるため必ず確認するようにしましょう。各都道府県の介護支援専門員実務研修受講試験担当課は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの公式ページからご確認できます。

受験には実務経験見込証明書が必要

受験資格で紹介したように、試験を受けるためには規定された実務経験が必要です。実務経験を証明するために実務経験見込証明書を申し込みの際に提出します。実務経験見込証明書は受験者本人が勤務している先へ依頼して記入してもらいます。

実務経験見込証明書の用紙または注意事項は、各都道府県の試験担当課のホームページから印刷、確認しましょう。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の難易度

ケアマネジャー試験を受ける方にとって、合格率は気になるポイントだと思います。そこで、最新のケアマネジャーの合格率と過去の結果・他の資格との比較・ケアマネジャーについてご紹介します。

【最新】第24回ケアマネジャー試験の合格率は23.3%

厚生労働省が公表した介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数・合格者数・合格率は以下の通りです。
公表されている中で、最新のものは令和3年度の第24回試験です。上記の表から分かるように、第24回は合格率が20%を超えていますが、それ以外は20%以下の合格率になっています。第21回に至っては、第24回の半分以下の合格率です。

ケアマネジャー試験は難しい?他の資格と比較

ケアマネジャー試験の合格率のみでは、資格の難易度を判断しづらいでしょう。そこで他の試験の合格率と比較をして、ケアマネジャー試験の難易度を考えていきたいと思います。
上記の表の数字は、厚生労働省が公表したもので、2022年に開催された試験結果を基に作成しました。

介護福祉士・理学療法士・作業療法士・看護師試験は合格率が70%から90%であるのに対して、社会福祉士試験はは31.1%の合格率です。さらにケアマネジャー試験は23.3%で介護系の資格の中では最も低い合格率です。

なぜケアマネジャーの合格率は低い?

なぜ、ケアマネジャー試験の合格率が低いのでしょうか。考えられる理由を3つ挙げます。

1.試験対策の勉強時間が不十分

実務経験が必須であるケアマネジャーの試験では、学生の受験生はおらず、働きながら試験対策をおこなっている人がほとんどです。

そのため、試験対策のための時間を確保するのがむずかしい人が多いという状況も、合格率の低さにつながる要因のひとつとして考えられています。

2.試験制度の見直し・問題の複雑さ

2015年度実施の試験では、基礎資格による免除科目が廃止となる大幅な変更がありました。2018年度試験においても受験資格の変更があり、試験制度の見直しが頻繁におこなわれています。

試験内容の面でも、出題が広範囲におよび、現場で関わる業務と直結しない分野の知識も求められることがあるにも関わらず、合格するために必要な正答率は70%という高い基準です。あいつぐ試験制度の見直しや試験問題の複雑さも、受験者を苦しめる要因となっていると考えられています。

3.質を重視した受験資格の変更

ケアマネジャー試験は、2018年度の試験から受験資格が変更されました。受験資格が変更される前は現在の受験資格に加えて、介護資格の保有と介護等業務経験5年・介護等業務経験10年(無資格可)の要件がありました。

介護業務等の実務経験が、受験資格の要件から除外された理由のひとつに高齢化が挙げられます。日本では今後、高齢者が増加すると予想されています。それに伴って介護の需要が増加することでしょう。

介護を必要とする方に適切なサービスを提供できるように、質を重視した人材確保を目的に受験資格が変更されたのではないかと考えられます。

ケアマネジャー試験に合格するためにするべきこと

これからケアマネジャー試験の勉強へ取り掛かるにあたり、どのように勉強を進めていけばいいのか分からない方がいるかもしれません。試験に合格するためにやっておくべきことを5つご紹介します。

1.余裕をもって早めに勉強に取りかかる

試験勉強は出来るだけ早い段階から余裕をもって取り組むべきです。特に働きながら試験合格を目指す方は勉強時間の確保が難しくなるでしょう。そういった方は、余裕を持って勉強を開始しましょう。1日の勉強時間は、数十分でも構いません。継続的に勉強することで、知識の定着やモチベーション維持に繋がります。

2.専門用語を説明できるようにする

ケアマネジャーは介護保険のスペシャリストとして、多くの専門用語を扱います。そのため専門用語を理解しておかなければいけません。専門用語を身に付けるためには、用語の意味を説明できるようにしましょう。

3.過去問を解く

過去問を解くことは、問題の傾向を把握・知識定着のために重要な取り組みです。問題傾向を把握することで、どのような問題が多く出題されるかといった傾向が分かり、試験対策ができます。

4.苦手な分野を知っておく

ケアマネジャーは、介護支援・保健医療サービス基礎・保健医療サービス総合・福祉サービスの4つの分野から出題されます。その中で、自分の苦手分野を知っておくことで費やすべき時間や対策を練ることができます。

5.講座を活用する

試験勉強をしている内にどうしても自分の力だけでは、限界がある方もいるかもしれません。そういった方は講座の活用がおすすめです。講座を活用することで、分からない箇所を解決することができる上に、試験全体の対策を教えてくれます。

ケアマネジャーの就職先

ケアマネジャーは、介護を必要とする方のケアプランの作成が主な仕事です。そのため、就職先は介護関連の施設や事業になります。ケアマネジャーの主な就職先を3つご紹介します。

入居介護施設(老人ホーム等)

老人ホームなどの入居介護施設は、施設に入居している方のケアプランを作成します。就職する介護施設によっては、ケアプランを作成以外の介護業務を行う場合があります。具体的な仕事内容は、求人を探す際によく確認するようにしましょう。

居宅介護支援事業所

居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、自宅で生活しているものの介護を必要としている高齢者に対してケアプランを作成します。自宅を訪問してヒアリング等を行うことも。

入居介護施設は、施設に入所している高齢者を対象としているのに対して、居宅介護支援事業所は自宅で生活している高齢者を対象としています。

公的機関(地域包括支援センターなど)

地域包括支援センターなどの公的機関に就職するケアマネジャーは、介護予防のケアマネジメントを行います。先述した2つは、介護が必要な高齢者のケアプランを作成しますが、公的機関の場合は、高齢者が介護を必要としない状態を目標にケアプランを作成します。

その他にも、地域の高齢者問題への取り組みや介護保険に関する相談を受けます。

計画的に効率よく勉強しよう

今回の記事では、ケアマネジャー試験の合格率が低い理由と合格にためにするべきことをメインにご紹介しました。ケアマネジャー試験は、免除科目の廃止や受験資格の変更等で大きく変化しています。

試験に合格するためには、専門用語の理解や苦手分野を知ることが大切です。さらに、過去問を解くことで試験の傾向と対策するべきことが分かります。これから、試験勉強に励まれる方は、ぜひ今回ご紹介した勉強方法に取り組んでみてください。

引用元
厚生労働省:第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
厚生労働省:第23回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
厚生労働省:第22回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
厚生労働省:第21回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
厚生労働省:第34回介護福祉士国家試験合格発表
厚生労働省:第34回社会福祉士国家試験合格発表
厚生労働省:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験及び第111回看護師国家試験の合格発表

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