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特集・コラム 2021-02-28

訪問介護の生活援助とは? 生活援助以外にはどんな仕事をするの?

高齢化社会になり、年々介護の需要は高まっています。それにともない、介護サービスの内容も利用者のニーズに応え、利用者やその家族の生活を支える大切な役割を担っており、介護サービスのなかでも、とくに人気なのが「訪問介護」です。

訪問介護には「生活支援」と「身体介護」の2種類があります。生活支援はサービス利用者の日常生活を支援する仕事で、身体介護は利用者の身体に直接触れて介護をおこなうのが仕事です。そこで今回は、訪問介護の生活援助について解説します。

訪問介護の生活援助とは?

介護の仕事に興味があるけれど、訪問介護とは具体的にどのような仕事をするのかわからないという方も少なくありません。介護施設での仕事内容との違いには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは訪問介護の仕事内容、利用者に提供するサービス内容について解説します。

そもそも訪問介護とは?|介護保険制度による指定居宅サービス

厚生労働省によると「訪問介護」とは、「訪問介護員等が利用者(要介護者等)の居宅を訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供するものという」と定義づけされていいます。訪問介護とは、介護保険制度による指定居宅サービスのことです。

訪問介護の利用対象者は、要支援1~2、要介護1~5と認定された方に限られます。介護福祉士(ケアワーカー)や訪問介護員(ホームヘルパー)が要介護者や要支援者の自宅を直接訪問し、食事や入浴、排せつなど利用者の身体に直接触れる介助や掃除、洗濯といった家事などのサービス提供をするのです。

ケアプランに沿ったサービス提供をおこなう

利用者はまず、居住地域の市区町村で要介護の認定申請をおこない、「要介護度・要支援度」の通知を受けます。その後、居宅介護支援事務所や地域包括支援センターのケアマネジャーなどが「ケアプラン」を作成するという流れです。

要支援1~2の場合は、地域包括支援センターに相談しながら「介護予防サービス計画」を作成。要介護1~5の場合、居宅介護支援事業者に依頼し、利用者本人またはその家族から要望などを聞き、利用者の状況を確認・考慮したうえで、最適なサービス提供するためのケアプランを作成します。

生活支援とは?|要支援や要介護の利用者の日常生活をサポート

訪問介護の仕事内容は大きくわけて、「生活支援」と「身体介護」のふたつにわけられます。どちらも、利用者の日常生活を支援するお仕事です。

生活支援とは、利用者がひとり暮らしだったり、同居する家族や利用者本人がなんらかの理由で家事などをおこなったりすることができない場合、ホームヘルパーがそれらを代行します。あくまでも、利用者の生活を支援することを目的とするので、家事代行専門業者ではありません。家族全員分の食事を作ったり、子守りなどをしたりすることは訪問介護の仕事には含まれないのです。続いては、具体的にホームヘルパーがどのような生活支援をするかを解説します。

調理や洗濯、掃除など家事のサポート

ホームヘルパーは、利用者の身の回りのお世話をします。サポートする内容は、利用者の部屋や居間の掃除、ゴミ出し、洗濯(干す、たたむ、収納する、も含まれる)、アイロンがけ、ベッドメイク、調理食材の買い出し、料理、食器の後片付けなどです。

買い物の代行や薬の受け取り

家のなかの仕事だけではなく、利用者が外出できないような場合は、必要最低限の日用品などを利用者宅の近所で買い物代行もおこないます。また、定期的な薬の受け取りを利用者に代わって薬局や病院へ出向いて受け取ることも支援のひとつです。

生活援助以外にはどんな仕事をするの?

訪問介護の仕事は「生活支援」のほかに、「身体介護」というお仕事があります。身体介護とは食事の介助、入浴、排せつ、着替えなど、利用者の身体に直接触れておこなう介護のことです。そのため、だれでも身体介護ができるというわけではありません。訪問介護員(ホームヘルパー)として身体介護をおこなうには、資格を取得している必要があります。

最初に取得すべきは、「介護職員初任者研修」という介護をするにあたり必要な基本的な資格です。この資格をえてはじめて、身体介護のお仕事につくことが可能となります。さらにより深い知識を身につけるためには「介護職員実務者研修」や「介護福祉士」という国家資格がるのです。ここからは身体介護とは具体的に、どのような仕事をするのか解説します。

身体介護|入浴や食事などの介助

身体介護は、利用者の身体に直接触れます。たとえば、食事や入浴、排せつなどひとりでおこなえない方の介助をするのです。ひとりで食事ができない方のために、スプーンなどで食事を口に運んだりするなど、利用者の食事全般を援助します。

また、自力で入浴することが困難な利用者のために、ホームヘルパーが介助をおこなうのも仕事のひとつです。洗髪や身体の洗浄をサポートしたり、入浴ができない方には清拭をおこなったりします。排せつ介助は、ひとりでトイレまで行けない(歩けない)方のサポートをしたり、おむつ交換をしたりするのが仕事です。

そのほか、床ずれ予防・防止のために、寝たきりの方の体位を変える体位交換、衣類の脱着をサポートする、ひとりでお薬を服用できない方のために、服薬の介助や薬の確認などをおこないます。

乗車介助|通院時のサポート

訪問介護における身体介護のお仕事には、利用者の居宅ではありませんが、通院時のサポート、乗車介助も含まれます。まずはベッドから起き上がる、車いすに乗るなど、自力でおこなえない方のサポートをするのです。

車の乗降場への移動、車への乗り降り、移動中に具合が悪くなったりしないか、病院へ到着し、受診等の手続き、薬の受け取りなどのサポート業務まで含まれます。利用者の体調などを見守ることも、訪問介護の大切なお仕事なのです。

生活援助に含まれない仕事とは?

生活援助は基本、利用者(サービス利用者)の生活を援助することであり、利用者の家族の援助は含まれません。あくまでも、利用者がおこなえない日常生活の家事などをホームヘルパーが代行します。ここからは具体的に、生活援助には含まれない仕事の例をあげてみましょう。

利用者本人を対象としない支援|家族のための家事など

利用者(サービス利用者)の居住スペース(寝室、居間、風呂場、台所など)を掃除する、利用者のために調理をするなどは、生活援助に含まれます。しかし、利用者の家族のために、家事を代行することは、生活援助には含まれません。

たとえば、利用者以外の家族の寝室を掃除したり、ベッドメイクしたりする、さらに利用者のための調理ではなく、家族や小さなお子さんのために調理をしたり、生活必需品ではないものを買いに行ったりすることなども、生活援助には含まれないのです。

利用者のために調理をするのだから、家族全員分も作ってほしい、利用者の衣類を洗濯するのなら、ついでに家族全員分の衣類も洗濯してほしい、というような依頼を受けるかもしれませんが、これはルール違反となります。

日常生活を超える支援|庭の草むしりやペットの散歩など

利用者のための生活支援とはいえ、一般的な日常生活を超える仕事は生活援助の仕事ではありません。たとえば、部屋の模様替えをしたい(家具を動かしたい)、カーテンを洗ってほしい、家中の窓を拭いてほしいなど、まるで一般家庭の大掃除のような仕事は生活支援に含まれないからです。

また、掃除洗濯以外でも、庭の草むしり、草木への水まき、自宅周辺の掃除など、直接利用者の生活にかかわらない仕事も、生活支援には含まれません。なかには、ペットの散歩を頼みたいとか、お子さんの送り迎えを頼みたいというケースもあるようですが、これは利用者の日常生活には含まれないのです。

訪問介護、生活支援はあくまでも利用者のサポートであり、サービスを提供するご家庭の家事全般を代行するわけではありません。基本的に、利用者の生活を支援するのがお仕事です。

生活援助は利用者さんの状況に合わせて家事などの支援をおこなうお仕事

訪問介護のスタッフはけっしてらくなお仕事ではありませんが、利用者の生活を支援するという、とてもやり甲斐のあるお仕事といえます。サービス内容は利用者の生活状況や身体の具合によってまちまちです。サービス提供を受ける利用者にとって、最善な支援をおこなうことが重要となります。

生活支援は、住み慣れたわが家で日常生活を送れるように支援をおこない、ご自宅で不自由のない送っていただけるように利用者をサポートする大切なお仕事なのです。

参照元:
厚生労働省 各介護サービスについて
厚生労働省 どんなサービスがあるの? – 訪問介護(ホームヘルプ)

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