生活相談員におすすめの本を紹介!【業務・医療・コミュニケーション・リスクマネジメント】
介護・医療における知識や技術、利用者・家族・職員とのコミュニケーションなど、生活相談員が学ばなければならないことはたくさんあります。生活相談員としていかに自己を高められるか、どうすればトラブルや事故を起こさないかを知るためにも、より詳しい知識と有益な情報が掲載された介護・医療関係の本を読んでおくことはとても大切なことです。
今回の記事では、生活相談員に読んでもらいたいおすすめの本を、業務・医療・コミュニケーション術・リスクマネジメントの4つに分けてご紹介していきます。
生活相談員におすすめの本を紹介!
4つのテーマごとに、生活相談員におすすめの本を厳選してご紹介します。今の自分に合ったもの、抱えている問題の解決になりそうなものを選んでみてください。
生活相談員の業務内容に関する本
まずは生活相談員の基本的な仕事・業務に関する本を3冊紹介します。
『よくわかる! 介護施設での生活相談員の仕事』(ナツメ社)
生活相談員としての基本と準備、相談業務の考え方と実践、運営に関する業務など、大きな項目で分けながら相談員の仕事について詳しく書かれています。
生活における単なる「何でも屋」にならないよう、生活相談員としての本来のやるべき業務や効率的な仕事の進め方、具体的な実践例が書かれており、「生活相談員の仕事とは何なのか」ということを明確に知ることができます。週、月、年ごとに分けて仕事の仕方を丁寧に解説しているのも本書の良いところです。
「考え方と実践」の項目では、コミュニケーション、面接、介護、アセスメント力など、対人関係における実践本法が特に詳しく記載されています。
『現場で使えるデイサービス生活相談員便利帖』(翔泳社)
この本の特徴は、実際に生活相談員として働いている人たちの生の声(現場の声)を元にして、生活相談員の仕事を丁寧に解説している点にあります。単なるマニュアルではなく、リアルな現場で働いている人々の声を参考にすることで、生活相談員の仕事をより詳しく知ることができます。
日々の業務と役割やスキルアップの仕方、提出書類の書き方、さらに高齢者の介護と医療・看護に関する専門用語集も掲載されています。文章と一緒にイラストや図表も載っているので、新人からベテラン、またこれから生活相談員を目指そうとしている人まで、どんな層でも読みやすい内容となっています。
『デイサービス生活相談員“できる”仕事術』(メディカ出版)
2015年の介護報酬改定によるデイサービスと生活相談員の役割の変化を中心に、生活相談員の日常業務から、生活相談員の必須スキル、マネジメント能力などが詳しく書かれています。介護報酬改定によって“仕事内容が変わった”といわれるデイサービスですが、どこがどのように変わったのかを知るためには最適の本と言えるでしょう。
日常的な業務、コミュニケーション方法、ケアマネ対処法、記録・文書の取り方、PDCAサイクルの理解、リスクマネジメントなど、プロフェッショナルな生活相談員として求められることが丁寧に説明されています。法令についても分かりやすく書かれているので、「法令関係は苦手…」という人にもおすすめです。
介護と医療についておすすめの本
介護で迷いがちな医療行為についての本を2冊紹介します。
『看護・介護現場のための 高齢者の飲んでいる薬がわかる本』(医学書院)
この本では高齢者が飲む薬にポイントを当てて、医療行為の悩みや疑問が詳しく述べられています。高齢者が飲む薬はひとつ間違うと命の危険にもなりかねます。そんな投薬における「なぜこんなことに+どうすればいいか+これだけは知っておきたい」をテーマに、薬のスペシャリストがやさしく解説しています。
ポリファーマシー(多剤服用による害)、鎮痛薬、睡眠薬、抗コリン作用のある薬、循環器疾患に使われる薬、腎排泄の薬、漢方薬など、13の項目で投薬におけるポイントや注意点が書かれています。薬剤の効果や投薬での注意点だけでなく、薬剤評価、医療チーム全体での薬の見直しや整理の重要さについても述べられており、実際に現場で働いている人ほどおすすめできる本です。
『早引き介護のための医学知識ハンドブック』(ナツメ社)
医療と介護に関わる基本的な知識が網羅されたハンドブックとして人気の本書。前版から改定されて112ページ増え、さらに充実した内容で販売されています。取り扱う疾患・病態数が127種類に増えている点もポイントです。
医学の基本知識、人体の構造と機能、バイタルサインの読み方、各器官における疾患・病態、がん(悪性腫瘍)、精神の疾患・病態、感染症など、医療と病における基礎知識を網羅。ほかにも、医療的ケア、検査方法と検査値など実践的な情報も掲載されています。介護現場でよく聞かれる医学用語集もあるので便利です。
コミュニケーションについておすすめの本
介護現場におけるコミュニケーションをメインに据えた本を2冊紹介します。
『すぐに使える介護のための接遇講座』(出版元:中央法規)
介護サービスの利用者とその家族によい印象を与えるコミュニケーションの取り方=「接遇」のスキルが詳しく解説されている本です。利用者とその家族への“接し方” “心の触れ合い方” の重要性とそのスキルが説かれています。
接遇とは何か、なぜ介護に接遇が必要なのか、接遇が介護にもたらす意味は何か、といった基本的なことから、接遇の基本スキル・応用スキル、ケーススタディでのヒントなどが掲載されています。
特に第2章の「接遇の基本スキル」では、利用者への第一印象の影響度、相手の心を解きほぐすコミュニケーション方法、基本動作のポイント、正しい言葉遣いなど、接遇スキルを上げるためのポイントや介護現場で役立つ情報が充実しています。
『伝え上手、聞き上手になる! 介護職のための職場コミュニケーション術』(中央法規)
介護の現場では、介護サービスの利用者だけでなく、介護職員とのコミュニケーションも重要になります。この本は、職員同士が気持ちよく仕事をするためのコミュニケーションのポイントがまとめられています。
職員同士の心がつながる言葉遣い、チームワークが向上するコミュニケーション能力な、相手の話を「聞く」技術、こちらから「伝える」技術、ハラスメントを避けるコミュニケーション術など、さまざまな角度から有効かつ効果的な情報が掲載されています。
自身のコミュニケーション能力の向上だけでなく、チームで相互理解・他者理解の必要性を学べるので、職場教育・新人指導のポイントを身に着けるうえでも役立ちます。
リスクマネジメントについておすすめの本
介護業界のスクマネジメントに関する本を2冊紹介します。
『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』(講談社)
介護の現場では、利用者の家族とのトラブルがよく起こります。「絶対に転ばせるな」など無理な要求をする家族や事故後に訴訟をしてくる家族、あるいはスタッフとの会話や説明をICレコーダーですべて録音する家族など、「家族トラブル」が介護施設における新たな問題点となっています。この問題点と介護リスクマネジメントについて解説しているのが本書です。
介護事故におけるトラブル対応、介護現場でのクレーム対応、トラブルを起こさない工夫、施設で働く者として利用者や家族とどう向き合えばいいか、どう対応すればいいか、といったことがイラスト付きでわかりやすく解説されています。
『[新版]介護の事故・トラブルを防ぐ70のポイント』(自由国民社)
本書では、介護現場につきもののさまざまなトラブル・介護事故の具体的な事例と、その予防法・対処法が解説されています。転倒、転落、介護ミス、食中毒、感染症、認知症による事故など、より具体的な事故・病気・トラブルに焦点を当てて説明がなされているのが特徴です。
上記以外にも、火災、物損事故、入浴事故、送迎中の事故、職員の違法行為、虐待行為など、介護施設内で起こりうる幅広いトラブルが網羅されています。事前にリスクを回避する方法やトラブルが発生したあとの対処法が知りたい、事故やトラブルにつなげないシステム作りを学びたいという人におすすめです。
自分にぴったりの一冊を見つけて!
今回紹介した本は、テーマに分けて厳選したものですが、生活相談員の仕事に役立つ本はほかにもたくさんあります。生活相談員としてどんな知識や情報が必要か、自分が抱えている問題点は何か、チームリーダーや施設運営者として何を知っておくべきか。さまざまな事柄から、今自分にとって最も必要だと思える本を探してみましょう。
テーマが同じでも、本によって読みやすさや理解のしやすさという点で内容のよし悪しがあります。レビューや口コミなどを参考に、できるだけ質の高い本、信憑性があり中身も充実している本を選んでみてください。
出典元
『よくわかる! 介護施設での生活相談員の仕事』
https://www.natsume.co.jp/books/1428
『現場で使えるデイサービス生活相談員便利帖』
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798141077
『デイサービス生活相談員“できる”仕事術』
https://www.medica.co.jp/catalog/book/5852
『看護・介護現場のための 高齢者の飲んでいる薬がわかる本』
https://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=93297
『早引き介護のための医学知識ハンドブック』
https://www.natsume.co.jp/books/1226
『すぐに使える介護のための接遇講座』
https://www.chuohoki.co.jp/products/welfare/3540/
『伝え上手、聞き上手になる! 介護職のための職場コミュニケーション術』
https://www.chuohoki.co.jp/products/welfare/5531/
『完全図解 介護リスクマネジメント トラブル対策編』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000208368
『[新版]介護の事故・トラブルを防ぐ70のポイント』
https://www.jiyu.co.jp/houritsugakushu/detail.php?eid=03069&series_id=s04