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介護・看護・リハビリ 2019-09-19

生活相談員と介護職の兼務はできるの? 配置基準とは何? 生活相談員が兼務できる仕事の一例を紹介

施設利用者の入所の手続きや生活などの相談、指導をおこなう生活相談員は、単独の資格がない職種です。人材不足で悩んでいる介護業界では、さまざまな職種を兼務している方が多く、生活相談員が介護職や管理者などを兼務していることも珍しくありません。

介護職と生活相談員の兼務に疑問を持つ方もいるかもしれませんが、法令で定めている配置基準をクリアしていれば可能です。ただし、配置基準は都道府県や施設の種類によって異なるため、事前に確認しておかなければなりません。

この記事では介護職と生活相談員の兼務が可能なのか、配置基準と何か、そして兼務可能の職種について解説していきます。

生活相談員と介護職の兼務はできるの? 配置基準とは?

生活相談員の仕事は施設利用者の手続きや相談、指導をおこなうことで、介護職の仕事内容とは異なります。実際に生活相談員と介護職は兼務が可能なのか、可能な場合はどのような条件があるのかについて、これから解説していきます。

業務を兼務できる場合もアリ!

生活相談員は介護系の資格を持たなくても就くことができるため、介護職の他職種と兼務できないと思われがちですが、実は管理者など一部の介護職と兼務することが可能です。生活相談員とほかの職種を兼務するには、法令で定められている「人員配置基準」を満たしていること、それぞれの業務に支障がないことなどが条件となっています。

条件は人員配置基準を満たしていることなど

生活相談員と介護職が兼務できる条件は、「施設の人員配置基準を満たす」ことが条件となっています。人員配置基準は生活相談員だけでなく兼務する職種の人数も定められていて、施設の種別や、都道府県など自治体によって設置基準が異なることが多く見られます。そのため人員配置基準は施設ごとに異なるので、事前に勤務希望地域の自治体に確認しておきましょう。

たとえば特別老人ホームの場合なら、入居者数100人に対し常勤の生活相談員1人以上配置することが決められているため、利用者人数が多ければ必然的に生活相談員の人数も増えていきます。

茨城県が定めている人員配置基準では、通所介護施設の場合、生活相談員は施設でおこなっているサービス提供時間以上配置しなければなりません。たとえばサービス提供時間が7時間の場合なら、生活相談員は7時間以上配置する必要があります。

配置基準とは? 常勤で何人必要?

「配置基準」とは、デイサービスや訪問介護、居宅支援などの介護事業所で必要最低限配置しなければならない人数を定めているものです。生活相談員だけでなく、事業所で働く医師や看護職員、介護職員や機能訓練指導員などさまざまな職種で必要人数が定められています。

生活相談員の配置基準は施設の種類や自治体によって異なることがあるので、必ず確認しておかなければなりません。ここからは生活相談員の配置基準を、一例をあげて説明していきます。

特別老人ホームでの配置基準

生活相談員と介護職の兼務条件の部分でも触れましたが、特別養護老人ホームでは、利用者100人あたり、常勤の生活相談員が1人以上となっています。100人増えるごとに常勤の生活相談員の人数も1人増えます。

たとえば施設に120人の利用者がいれば、生活相談員は最低で常勤者が1人以上です。これが200人になれば生活相談員は2人以上となり、300人となれば3人以上になります。200人以上いるのに常勤者が1人しかいない場合は、条件を満たしていないので兼務することができません。

介護老人保健施設での配置基準

介護老人保健施設も特別老人ホームと同じく、100人に1人以上なので、利用者100に対して、生活相談員1の割合になります。この配置基準は支援相談員の人員基準と同じでサービス利用者100人につき1人の配置が必要です。

ショートステイでの配置基準

ショートステイ(短期入所生活介護)でも、利用者100人に対し1人以上となっていますが、そのうち1人は常勤となっています。ただしこの条件は利用定員が20人未満の、併設事業所は対象になりません。

たとえばサービス利用者が100人の場合、常勤の生活相談員1人と非常勤の生活相談員2人という形でもOKです。200人の場合は常勤が2人いるのが最低条件なので、非常勤が1人でも2人以上でも問題ありません。

デイサービスでの配置基準|提供時間以上の配置が必要

デイサービス(通所介護)での生活相談員の配置基準は、ほかの施設と比べると少し複雑になります。デイサービスの場合は、利用者の人数ではなく、「サービス提供時間」を基準にしているからです。このサービス提供時間は事業所ごと、かつ営業日ごとで計算されます。

たとえばサービスの提供時間が午前9時~16時の7時間だった場合、生活相談員は7時間以上配置しなければならず、1人以上の常勤者が必要になります。午前10時から午後6時まででサービス提供時間が8時間なら、生活相談員は8時間以上の配置が必須で、8時間以下の配置の場合は兼務することができません。

生活相談員はどの仕事と兼務できるの?

生活相談員は介護職と兼務可能の仕事ではありますが、すべての介護職と兼務可能というわけではありません。ここからは姫路市の通所介護事業所を例に、生活相談員が兼務可能な介護職について説明していきます。

自治体や施設ごとに兼務可能の職種が変わることがあるので、生活相談員としてほかの職種と兼務して働くことを考えているのであれば、施設に問い合わせて事前に確認しておくとよいでしょう。生活相談員として働こうと思っていても、施設によっては兼務を希望している場合もあるので、求人の応募前に兼務の可能性をしっかりと確認しておく必要があります。

管理者

管理者は介護施設の施設長のことで、スタッフのマネジメントや管理、施設管理や経営などに携わっています。管理者になる条件は施設の種類によって異なりますが、兼務できる職種のなかでは一番ランクが高く、介護以外に経営などの知識も必要です。

管理者と生活相談員を兼務する場合、まず管理業務に支障がないと認められる範囲内というのが大前提です。そのため、当該通所介護事業所の従業者の場合にのみ兼務可能となっています。通所介護事業所などでは、管理者が生活相談員を兼務することも少なくありません。

介護職員

介護職員と生活相談員の兼務も可能となっていますが、それぞれの勤務を切り分ける必要があり、「常勤」の判断が異なることもしばしばみられます。当該通所介護事業所内での兼務では、それぞれの勤務時間を合計して、常勤かどうかを判断します。

常勤の基準は当該事業所での勤務時間が、その事業所で定めている常勤従業者が勤務しなければならない時間(32時間を基準とする)に達していなければなりません。その通所介護事業所のほか、同一敷地内や隣接するほかの事業所での兼務が可能です。

看護職員|資格必要

看護師の資格を持っている看護職員も生活相談員と兼務可能ですが、生活相談員になるために必要な資格を持っていることが第一条件となります。兼務する場合は、看護職と生活相談員の勤務の切り分けをおこなう必要があり、その通所介護事業所か、同一敷地内か隣接する他事業所で兼務可能です。

機能訓練指導員|資格必要

機能訓練指導員は資格が必要な職種です。機能訓練員の資格と生活相談員に必要な資格を持っているのであれば、兼務は可能ですが、加算の有無でOKかどうかが変わってきます。

個別機能訓練加算(Ⅰ)の加算がある場合は兼務できませんが、個別機能訓練加算(Ⅱ)の場合は勤務を切り分けが必要です。加算がまったくない場合は兼務可能となっています。

生活相談員の兼務は自治体や施設によって扱いに違いアリ!

利用者やその家族と施設の橋渡し的な役割を担い、相談や指導をおこなう生活相談員は介護職との兼務が可能です。しかしその条件は自治体や施設の種類によって異なるので、兼務を希望する場合は事前に確認しておく必要があります。

生活相談員の仕事1本でやっていきたいと思っていても、施設側から兼務を希望される場合もあるので、求人欄のチェックなど求人応募前にもしっかりと確認しておきましょう。

出典元

厚生労働省
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080887.pdf

通所介護及び療養通所介護 (参考資料)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168705.pdf

茨城県 通所介護の人員配置について
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/chofuku/jigyo/kaigo/jigyosha/documents/06-2h30tuusyokaigo-2haitikijunn.pdf

姫路市 人員・運営に関する 基準 等について
http://www.city.himeji.lg.jp/var/rev0/0092/5467/2016831103834.pdf

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