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介護・看護・リハビリ 2021-11-14

[福祉現場のコロナ対策、どうしてますか? vol.10] ここに来るのが楽しみ!と子どもたちが思える場所に #2

Withコロナ時代の今、介護現場に求められている感染対策と働き方を深掘りしてお届けする連載企画。前回に引き続き、様々なケアサービスを手がける有限会社ライフケアで、発達が気になる就学前~学齢期のお子さんを対象に、運動療育を主軸とした発達支援を行う「児童発達支援 放課後等デイサービス こどもプラス1 北区教室」の内田ひとみさんにインタビュー。

前編では教室で行っている感染対策や、就学児向けの発達支援事業で見られるコロナの影響についてお聞きしました。後編ではコロナ以降の放課後等デイサービスの様子と内田さんが実感した仕事の意義について伺います。

お話を伺ったのは

児童発達支援 放課後等デイサービス こどもプラス1 北区教室
内田ひとみさん

有限会社ライフケアが運営する「児童発達支援 放課後等デイサービス こどもプラス1 北区教室」勤務。発達に気になるところがある子どもたちへの療育支援に20年近くのキャリアを持つ、ベテラン指導員

行動に制限が求められる今こそあり余る元気を発散してほしい

──放課後等デイサービスでも、コロナ以降に変化はありましたか?

小学生以上を対象とした放課後等デイサービスでは、もともと室内での活動などを充実させていたので、外出自粛によるカリキュラムの変化などはほぼありませんでした。それでも週末に外の施設を訪問するイベントなどはできなくなったので、やはり残念です。

また、以前は私たち指導員も運動会などの学校行事へ行って、教室外の子どもたちの様子を見るのを楽しみにしていました。今は学校行事も減っていますし、入場制限があるので、それができないのが寂しいですね。

──行動が制限されがちなので、子どもたちもストレスがたまっていそうですね?

そうなんですよ! 学校でも休み時間の遊び方に制限があるようなので、子どもたちの体力があり余っているなと感じます(笑)。その分ここに来て、みんなで遊ぶことを楽しみにしてくれているようで、最近のドッジボールは一段と白熱していますよ!

──この状況下でも、楽しんでくれているのは嬉しいですね

そうなのですが、マスクを着けたままドッジボールなどの運動に熱中しすぎると、熱中症の恐れもあります。「危ないからいったん外そうね」と言っても、小学生以上の子どもは家庭と学校でマスク着用についてしっかり学んでいるので、「お母さんからダメって習ったよ」と拒まれることも(笑)。日々ルールを守ってくれるのはありがたいのですが、こういう時は上手に説得しなければならないですね。

子どもたちの感情を動かす療育を目指しています

──特に子どもたちの反応がいいカリキュラムはありますか?

小学生以上の子どもには、ドッジボールなど体を動かす遊びが人気ですね。うちに通う子どもたちは、言葉や表情、身振りなどで自分の思いを伝えるのが苦手。相手の気持ちを推し量ったり、自分の気持ちと調整したりはもっと苦手。だから、好きな遊びをたくさん経験することで、まずは感動や興奮を「周りに伝えたい」「共感し合いたい」という気持ちを持ってくれるように後押ししています。

コロナ禍で人と会うことや表情を見て話す機会が減ってしまい、子どもたちが日常生活で感情を伸ばすチャンスも必然的に少なくなっています。その分、保護者の方がうちのカリキュラムに期待する部分も多くなっているので、そこは意識してカリキュラムに反映しています。

──子どもたちの様子はスタッフ同士で共有しているのでしょうか?

はい、些細なことでも、子供たちの変化は逐一みんなで共有しています。迷った時は、スタッフみんなと話してこれからどう接するか、方針を決めています。

お世話の内容によっては担当スタッフを割り当てる場合もありますが、通常はスタッフ全員で子どもたち一人一人にしっかり目を配ることを原則としています。何か一つ「〇〇ちゃんが最近こうで…」と切り出すと、「あの時はこうだったから、こうするといいよ」と各スタッフから様々な意見をもらえるのは本当に助かりますね。

毎年の感染症対策がコロナ禍の迅速な対応に成果

子どもたちの検温結果はチェックシートに記録してファイルで保管

──会社から社員側へのコロナ対策もあったのでしょうか?

感染が拡大してすぐ、時差出勤の許可が出ました。たまたま混まない通勤経路だったり、自転車で通うスタッフも多かったりで現在は利用していませんが、すぐに検討してくれたのは働く上での安心につながりました。

会社では毎年、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症対策を徹底して行ってきましたし、感染症対策研修も数多く実施してきました。これがコロナ対策を進める上でかなり役立っていると思います。

熱を測るタイミングやどう記録するかなど、細かいルールが感染拡大初期の頃からかなり明確に体系化されていたので、現場が迷うことなく動けて、とても助かっています。特に記録の徹底は、いざ何かあった時に対策をきちんと実行していた証明になるので、全社をあげたルール化が重要だと思います。

──あらためて、内田さんにとってこの仕事の魅力とは何でしょうか?

感情表現が苦手な子どもたちが、どう働きかければ感情を出してくれるかは一人一人異なります。遊びや会話を通じて、子どもたちそれぞれの感情のツボを見つけ出すのは試行錯誤の繰り返しなのですが、その分見つけた時の嬉しさも大きいです。その瞬間こそ、療育支援や発達支援の醍醐味ですし、長く続けられている理由だなと思います。

療育支援と発達支援に20年以上取り組んできた内田さんからは、子どもたちが抱える発達の課題に向き合いつつ、子どもたちの楽しみと感染対策を両立しようと模索する姿勢を伺うことができました。前編・後編を通して貴重なお話をありがとうございました!

取材・文/杉本 陸
写真提供/ライフケア

Information

有限会社ライフケア

児童発達支援 放課後等デイサービス こどもプラス1 北区教室

住所:東京都北区田端新町3-34-1広瀬ビル1階
電話:03-3800-7774

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