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ヘルスケア 2021-12-31

ヨガとタイ古式マッサージが融合した「オリエンタルアジャストメント」とは【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.46 ヨガ講師/パーソナルトレーナー木村 匠さん #3】

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

これまで2回に渡り、ヨガ講師/パーソナルトレーナーの木村 匠さんにお話を聞いてきました。ヨガ講師になると決めたときから、本格的に働き方を考え始めたという木村さん。知識のインプットとアウトプット、フィードバックというサイクルの中で、自分主催の講座によって収益を増やす方法を確立していきました。

後編となる今回は、そんな木村さんが行っているヨガレッスンやパーソナルセッションについてインタビュー。レッスンのなかで大切にしていることや、ヨガインストラクターにもセラピストにも知って欲しいという「オリエンタルアジャストメント」についてお聞きします。

お話を伺ったのは…
ヨガ講師/パーソナルトレーナー 木村 匠さん

全米ヨガアライアンスE-RYT200、YACEP認定講師。NESTA認定パーソナルフィットネストレーナーやタイ古式マッサージセラピストなど、さまざまな資格を持つ。解剖学や運動力学など幅広い知識を元にしたレッスンと講義で、初心者から現役インストラクターまで幅広く指導を行う。
Instagram:@takumichris

グループレッスンでのインストラクターの役割は「オーケストラの指揮者」

ヨガやセラピストのティーチャートレーニングや
パーソナルセッションなど、
さまざまなクラスを持つ木村さん

——木村さんが行っているレッスンについてお聞きします。

レッスンはヨガ&オリエンタルアジャストメントのグループレッスンと、ヨガやトレーニングや施術をするパーソナルセッションの2種。講座はヨガインストラクター養成講座、オリエンタルアジャストメントの養成講座、タイ古式マッサージの養成講座の3種を行っています。

レッスンの割合的にはヨガのグループレッスンが多いですね。目の前の人に集中したいので、10人前後で行うことが多いです。

——人に教えるときに大切にしていることは?

一番は、相手の成長を促すということです。ただレッスンに来て「気持ちよかった」で帰らせたくないなと思っているので、必ずひとつ課題を持ち帰らせるようにしています。それを自分の家でもやっていただくように促し、取り組んだ人には次に来たときに必ずみんなの前で評価する。すると「私も頑張ろう」と思えて、クラスみんなが成長していくんです。

グループレッスンは、バラバラの生徒さんがいて初めてクラスが育っていくんです。グループレッスンのインストラクターの仕事は、それぞれの個性を尊重しながら束ねていく、オーケストラの指揮者のイメージ。バラバラのものがひとつにまとまるから調和が生まれるんですよね。

「グループレッスンでは、それぞれの居場所を作ることが大切です」

——そのために生徒さんとのコミュニケーションで大切にしていることは?

みんなで作品を作っていく、その先頭に僕がいるだけ。向き合うんじゃなく、同じ方向を見る。そういうコミュニケーション感覚でレッスンをしています。

その上で、ひとりひとりの違いを尊重しながら、それぞれに役割を与える。上級者ならクラスを引っ張ってもらったり、初めての人なら「この人の真似をしてみて」と伝えるんです。そうするだけで、それぞれに居場所が生まれます。それが、その人がレッスンに来るべき理由になって、続けやすくなるんです。

最初にそういう環境を作っておけば、途中で新しい人が入ってきても、クラスで自然と仲良くやってくれるようになります。僕はただそんな仲間とヨガを楽しむ。

とくにグループレッスンでは、全員でヨガをする一体感を心地いいと思ってやって欲しいと思っているので、そういったクラス作りにも役立っています。

——ヨガレッスンに来る方は体を改善したいというより、ヨガを楽しみに来ているんですね。

そうですね。正直なところ、動きがよくなりたい、痛いところを改善したいという方は、できるだけパーソナルセッションに誘導しています。その方が確実ですから。

——パーソナルセッションで大切にしていることは何ですか?

「こうしたほうがいい」という正論をすぐに押し付けることはしません。まずは相手が望んでいることにコミットしてから、信頼関係を作りながら徐々に本当に必要なものを提供していきます。

最初から正論をぶつけても拒否されてしまうんです。だから、まずは相手の需要に親身に応える。例えば、「筋力トレーニングがしたい」と言っているけど筋肉が張りすぎている場合は、まずはトレーニングをする。そして最後に長めに時間を取り、「パーソナルストレッチ」という名目でマッサージをする、という感じですね。

ヨガとタイ古式マッサージが融合した「オリエンタルアジャストメント」

木村さんは「オリエンタルアジャストメント」の講師を担当しています

——講師をされているという「オリエンタルアジャストメント」とは?

「オリエンタルアジャストメント」は、日本タイ古式マッサージ協会トップの木内先生と、ヨガ業界トップのケン・ハラクマ先生が作ったセルフトリートメントメソッド。ヨガとタイ古式マッサージ、それぞれの良さを取り入れた、自分で自分を調整していく手法です。

タイ古式マッサージのように自分で自分を圧迫しながらストレッチを行い、動作の流れのなかでヨガのポーズを行います。

——タイ古式マッサージでは、セラピストがお客さんの筋肉を圧迫して固定したままストレッチをかけますよね。それを自分で自分に行う?

そうです。一般的なストレッチは筋繊維しかのびません。でもタイ古式マッサージは世界最古の筋膜リリースと呼ばれ、筋膜のストレッチもできます。

筋肉とは筋繊維+筋膜のこと。筋繊維は横方向(一般的なストレッチ)、筋膜は縦方向にアプローチしないと伸びず、縦方向にアプローチするには圧迫する必要があります。筋肉に対して縦横どちらにもアプローチすることで初めて「筋肉のストレッチ」になるんです。

——自分で自分を圧迫する方法とは?

基本的には自重を使います。圧迫したい部位にかかとなどを置いたら、完全に脱力して自重をかけて固定。圧迫する部分は、筋膜連結を元に考えられています。

筋膜連結の片方を圧迫したまま、片方を筋トレ&ストレッチ。一方を固定することでストレッチ効果が高まります。自分で自分の体を圧迫したままストレッチをかけると、初めて筋膜がゆるんだ状態になるんです。

木村さんオススメ「オリエンタルアジャストメント」をチラ見せ!

自分で自分を調整する「オリエンタルアジャストメント」は、体を傷めがちなセラピストなら是非知って欲しいメソッド。業界2トップが作り出したこの手技は、ヨガをしている人も、タイ古式マッサージをしている人も「なるほど」と思う構成です。

セラピスト界の第2の心臓「足裏」からアジャスト!

圧迫するのは足裏の拇趾球、かかとと土踏まずの境目の2点。まずは、かかとと土踏まずの境目から。右足のかかとを乗せたら完全脱力。左足でお尻を持ち上げ、その重みで圧迫していきます。

かかとで圧迫したまま徐々に体を起こしたら、脱力して背中のストレッチ。右に体をねじって腰のストレッチ。

そのまま「半魚王のポーズ(アルダマッチェンドラーサナ)」へ。同様に母指球の圧迫を行い、足を替えて同じ流れを行います。

——流れるようにタイ古式マッサージとヨガの動作が組み込まれていますね!

タイ古式マッサージではエネルギーラインを施術していきますが、「オリエンタルアジャストメント」も途中ヨガポーズを挟みながらエネルギーラインに沿って圧迫やストレッチを行っていきます。タイ古式マッサージの流れを知っていると「なるほどな」と思うはず。

また「オリエンタルアジャストメント」のヨガパートは8割ツイストポーズ。上の「半魚王のポーズ」には、人が健康的に生きるためには体をねじることが必要だと伝える逸話があります。人の体を調整するためには、ねじる動作はとても大切なんですよね。

そんなヨガやタイ古式マッサージのルーツから、筋膜連結などの解剖学知識までギュッと詰め込まれて構成されているのが「オリエンタルアジャストメント」です。おもしろいし、しっかり体が調整できるので、ぜひ試して欲しいです!

取材・文/山本二季
撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)

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Information

木村 匠(Lit.Link)
オンラインスタジオや予約はこちら

https://lit.link/takumikimura

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