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ヘルスケア 2022-03-28

鍼灸師になりたいと思った最初の気持ちを大切に【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.54 はりきゅうルーム岳 竹内岳登さん #2】

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

前回に続き、日本で唯一の“耳鼻科専門”鍼灸院「はりきゅうルーム岳」の総院長・竹内岳登さんにインタビュー。竹内さんは、耳鼻科症状の深いお悩みに気づき、多くの人の助けになればと耳鼻科専門鍼灸院を開業しました。

中編となる今回は、竹内さんがお仕事に感じる魅力や苦労、これから鍼灸師を目指す人へのアドバイスをお聞きします。

お話を伺ったのは…
耳鼻科専門鍼灸院「はりきゅうルーム岳」総院長 竹内岳登さん

はり師・きゅう師、JSメソッド認定鍼灸師、Re Voiceメソッド認定鍼灸師。鍼灸専門学校卒業後、デイサービスでの機能訓練指導、鍼灸整体院や鍼灸院での施術などで経験を積み、2017年「はりきゅうルーム岳」をオープン。現在、大塚院と代々木上原院の2店舗を経営しながら、企業研修や経営コンサルタント業も行う。「耳鼻科専門鍼灸師GAKU先生」としてYouTubeチャンネルも運営中。

竹内さんのYouTubeチャンネル:耳鼻科専門鍼灸師GAKU先生

鍼灸師いう仕事を誇れる人を増やしたい

耳鼻科専門の鍼灸院を都内2店舗経営している竹内さん

――竹内さんが感じるお仕事の魅力を教えてください。

ベタなんですが、一番はやはり患者さんから直接「ありがとう」と言ってもらえること。あとは、患者さんの体調が改善されていくのも、時には悪くなる時も、いつも寄り添っていけるところです。マラソンの並走者のように、患者さんに近い位置で寄り添えるのは、医者ではない鍼灸師ならではだと思います。

それは、自分自身が満たされるというか、存在意義を確かめられるという面にもつながります。人の役に立つことで「自分が必要とされている」という感覚を得られ、満たされる。施術技術があるからこそだと思うので、他の仕事にはない魅力なんじゃないでしょうか。

――逆に、この仕事の大変さ、苦労を感じることは?

鍼灸はまだまだ世間の認知度も低く、それと同時に社会的地位や賃金面も低いんです。勤めているころは、そこでとても苦労しました。これだけ働いているのに賃金が低い、こんなにすごいことをしているのに社会で認められない。そのギャップに苦しんだこともありました。とくに鍼灸師として働き始めてすぐのころは厳しいですよね。それで挫折していく人も多いと思います。

――そういった面に対して取り組んでいることはありますか?

大切なのは、自分の仕事が誇れるか。例えば同窓会に行って仕事を聞かれたとき、鍼灸師の人って胸を張って「鍼灸師をしてるよ」と言えない人が多い。その気持ちの部分が、すごくもったいないなと感じるので、うちの会社ではまず自分の仕事に誇りを持てるように教育をしています。また賃金面も同業よりも高いレベルで設定し、できるだけ一流企業に近づけていくことに取り組んでいるところです。それがみんなの誇りにつながるし、自分の仕事に誇りを持てる鍼灸師が増えたら、世の中の認知度も高まっていくのかなと思うんです。

鍼灸師を続けるには、初期衝動を大切に、誠実に向き合い続けること

竹内さんが鍼灸師になったのは
鍼灸の施術を見て「魔法使いみたい」と思ったから

――竹内さんが鍼灸師として働き続けるために大切している心得3か条を教えてください。

1、睡眠をよくとること

来院されるのは体に不調のある方なので、その方と同じように自分も調子が悪いと頼りないですよね。鍼灸師側は患者さんの支持点でなければいけません。エネルギー的に患者さんよりも高い状態でいるためには、自分の健康管理はとても大切。だから睡眠をしっかりとることをとても大事にしています。

2、目的を見失わない

目的とは、自分が最初に「鍼灸師になろう」と決めたときの、自分自身の欲求のこと。働き続けるなかで、その目的を忘れてしまう人は多いんです。それを持ち続けることが、自分を支える軸になると思います。僕の場合は「魔法使いになりたい」でしたけど、それはずっと僕のなかで大切にしている気持ちです。

3、自分に対してウソをつかない

よく患者さんから「治りますか?」と聞かれて、その場をしのぐために「治りますよ」と言ってしまう人がいます。でも実際僕たちがしている施術は、やってみないと治るかどうかはわからないんです。そこでウソをついてしまうと、ウソをつき続けなくてはならなくなり、仕事が楽しくなくなってしまう。だから自分にウソをつかず、患者さんにも正直にお伝えすることが大切だと思います。

――これから鍼灸師を目指す人にアドバイスをお願いします。

鍼灸師になる前に持っておく心構えや学んでおくことって、正直そんなにないと思うんです。もちろん鍼灸学校で安全に鍼を打つ方法は学びますが、実際は働き出してから学ぶことの方が多いんですよね。

IT業界でも、少しはプログラミングができないと入れないと思っている人は多いけど、実際は入ってから学べば全然やっていけたりします。鍼灸も同じ。だからこそ、純粋な欲求がとても大切になるんです。その欲求があるからこそ、働き続ける推進力になる。

あまり気負わずに。純粋にかっこいいからとか、すごいなとか、そういう直感的なものを持っていたら、それでいいと僕は思います。その気持ちを大切に、頑張って欲しいです。
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はりきゅうルーム岳では、鍼灸師として誇りを持って働けるように、さまざまな施策をしています。昨年の賞与実績はなんと基本給の5カ月分とのこと。専門性の高い技術が身につくのも、鍼灸師の誇りにつながるポイントなのだとか。次回後編では、そんな技術面にくわえ、昨年から取り組んでいるというYouTubeの動画配信についてお聞きします。

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

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Information

はりきゅうルーム岳 大塚院
住所:東京都豊島区北大塚1-17-3 第20 SYビル8F
TEL:03-5567-0688

はりきゅうルーム岳 代々木上原院
住所:東京都渋谷区西原3-24-10 PDビル2F
TEL:03-6804-7450

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