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ヘルスケア 2022-06-06

宅トレ動画で人気YouTuberに! 夫婦二人三脚で掲げる目標は「宅トレをブームから文化へ」【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.59 竹脇まりなさん&ダーウィンさん】#1

「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。

今回お話を伺ったのは、宅トレブームの火付け役、YouTubeチャンネル「Marina Takewaki」を運営する竹脇まりなさんと夫・ダーウィンさん。
昨今、宅トレブランド「MARINESS」も立ち上げ、その人気はますます加速中!
「宅トレ」という新しい市場を開拓したきっかけや思い、目標とは?

前編では、宅トレ動画を始めたきっかけや、活動の変化、宅トレに込めた思いを伺いました。

アメリカ移住で始めたYouTube。
夫・ダーウィンのアドバイスで宅トレ動画の投稿スタート!

――Youtube動画を始めたきっかけを教えてください。

竹脇まりなさん:3年ぐらい前、ダーウィンの仕事の関係でアメリカに住むことになったんです。そこで始めたのがYouTubeでした。はじめは私一人でスタートさせて、日常的な自炊の様子とか、スーパーに買い物をしに行く様子とか、アメリカの生活Vlogみたいな感じでしたね。その時はまだ宅トレチャンネルというわけではなかったです。

――宅トレ動画に特化し始めたきっかけは?

竹脇まりなさん:動画投稿を始めて1年くらい経ったころ、夫のダーウィンに「まりなはトレーニング動画に特化したほうがいいよ」って言われて。

ダーウィンさん:僕自身、初めはYouTubeについてあんまり詳しく知らなくて。でも、まりなのYouTubeでハンドクラップの動画の視聴数がすごく伸びた時があったんです。それを見て興味を持つようになりました。それから市場分析をするようになって、まりなはトレーニング動画に向いているんじゃないか、と。正直、方向転換するのは大きな勇気が必要ですが、もしかしたら宅トレ動画に集中したほうが、よりいいコンテンツになるかもって。それ以来二人三脚やっています。

――当初の役割分担はどんな感じでしたか?

竹脇まりなさん:最初は特に役割分担は決めていなかったんです。でも、夫は市場分析がすごく得意なので、少しずつ企画、運営、分析っていうのを任せるようになりました。

クリエイターとして、企画者として。
それぞれの強みを活かした活動で「宅トレを当たり前の世界にする」

 

――当初、ダーウィンさんは顔出しされていませんでしたよね。その理由は?

ダーウィンさん:宅トレチャンネルとしてやっていこうって決めた時、「宅トレ」だから見ようって思ってくれた人に、夫婦チャンネルやカップルチャンネルだと勘違いされたくないなって思ったんです。

竹脇まりなさん:第一印象で夫婦チャンネルって思われるより、まずは宅トレチャンネルとしてしっかり認知されたかったんですよね。

――顔出しをすることにした理由やきっかけは?

ダーウィンさん:ありがたいことにたくさんの人に見ていただくようになって、どんどんチャンネルの規模が大きくなりました。今では動画にとどまらず、いろんなお話をいただけるようになったんです。

少し話が逸れますが、そもそも我々は「宅トレを当たり前の世界にする」っていうミッションのもとにすべての活動をしていて、宅トレブームを文化にしたいと思っているんです。「ブームを文化に」ってどういうことかというと、例えば15〜20年前に「あなたの趣味は何ですか?」って聞かれた時、ヨガって答えている人はまだ少なかったと思います。当時のヨガは、運動意識の高い一部の人がやるイメージで、まだまだ一般的にはブーム止まりだった。でも今では、「趣味がヨガ」っていうのは当たり前の世界になっていますよね。それこそ、ブームが文化になった象徴だと思います。宅トレもそこまで持っていきたい。そのためには、いろんな企業さんや自治体さんにロビイングすることが大切。しかも今なら、いろんなお話をいただいていて、その機会がある。それなのに、僕の顔を出せないのはもったいないな、と。

竹脇まりなさん:私たちは「MARINESS」という宅トレブランドを立ち上げていて、夫はそこの代表もしているんですよ。

ダーウィンさん:なので、ほかの企業さんや自治体さんとお会いした時に、堂々と「みんなで宅トレ市場を作らないか」って話を進めるために、顔出しすることにしたんです。

ちなみに今、経済産業省が出しているデータによると、日本でジムに加入している人が260万人ぐらい。人口の3%以下なんです。でも、宅トレ人口は我々のチャンネルの登録者数だけで300万人以上。ほかのインフルエンサーさんを全部含めると、重複を除いたとしても、ざっくり500万人はいると思うんです。マーケットとしてもこれだけのポテンシャルがあるのに、まだまだ市場が追いついていないのはもったいないですよね。もっと宅トレグッズやサービスが増えたら、「文化」にもグッと近づくはず。それもあって、「MARINESS」というブランドが生まれました。宅トレを代表するブランドにしていきたいと思っています。

――そんな経緯があったんですね。

竹脇まりなさん:宅トレの「クリエイター」として前に出るのは私なんですが、自治体さんとか企業さんとかと手を取り合って、「みんなで宅トレ市場を盛り上げよう」と行動を起こすのは、私じゃできない。夫だからできることだと思っています。なので、私は宅トレを伝える人、夫はその宅トレの市場を作る人。その2軸を極めて「宅トレを当たり前の世界にしよう」という決意をしたんです。

コロナ禍も相まって、チャンネル登録者が急増!
視聴者数が増えた今、改めて考える「宅トレ」の可能性

 

――チャンネル登録者数が急増して、生活や活動に変化はありましたか?

竹脇まりなさん:そうですね、それこそ3年前ぐらいまでは「宅トレって何?」って。自宅でトレーニングするっていう概念自体あまりなかったと思うのですが、これだけの登録者数になってくると、街でも「宅トレの人だ!」って声を掛けていただいたり、「MARINESSのウエア使っています」「マット使っています」と言っていただいて、世の中に「宅トレ」っていう言葉が認知され始めたなっていう実感があります。

ダーウィンさん:あと、我々の活動を通じて社会貢献できているなっていう実感も湧くようになりました。いち運営責任者としては、最初の100万人までは「どうすればより多くの人に見てもらえるか」っていう分析重視だったんですが、それを超えてくると、「どうすれば宅トレの認知が広がるだろう」っていう仕組みづくりを考えるようになって。というのも、視聴者さんから「生活習慣病の数値がよくなりました」とか、「病院に行く回数が減りました」と、コメントをいただくようになって、やりがいが変わったんです。社会的なインパクトを与えているんだ、医療費を下げるっていう社会貢献にも近づいているんだって。

今、登録者数が300万人いるんですけど、大多数が運動初心者なんですよね。ジムに行った事がなければ、腕立てや腹筋もほとんどしたことがないっていう人たちが大半なんです。コメント欄を見ると、「昔、運動音痴っていわれて、それ以来運動と縁がないんです」っていう人も結構いて。でも宅トレのいいところは、自分のペースで誰にも見られずにできること。そこにハマったっていう方も、結構多いんですよ。それに、運動するとドーパミンが出てやる気も出るし、セロトニンっていう幸せホルモンも出る。人生に「活力」が出るっていうのが根本にあるんです。なので、メンタル面でもサポートできているんじゃないかな、と思ったりします。

――たしかに、運動が苦手な人って、ジムなどに行って、人前で運動することがひとつのハードルだったりしますもんね。

竹脇まりなさん:そうなんです! たとえば夫はもともと運動が好きで、ジムに行くのも大好きだったんですが、私は運動自体は好きけど、ジムはちょっと抵抗があった時期もありました。「私が来てよかったのかな?」とか「マシンの使い方、合っているのかな?」とか勝手に圧迫感や緊張感を感じて、運動に集中できないことがあったんですね。でも、宅トレだったらやり方を間違ってようが、どんな格好をしてようが、自分がやりたいと思った時にできる。そう考えると、すごく気持ちが楽になりました。ありのままの自分と向き合えるのが宅トレの魅力ですよね。

ダーウィンさん:英語で「Gateway to Fitness」。「フィットネスの入り口」って意味なんですが、運動初心者の方たちが宅トレで運動の魅力に気づいて、ランニングを始めたり、ヨガを始めたり、運動を始めるきっかけになると嬉しいですね。

――視聴者数が増えて、お二人自身のなかでも「宅トレ」に対する意識の変化はありましたか?

ダーウィンさん:「MARINESS」ブランドもそうですが、このスケールになったからこそできることも増えていって、そこに対する責任感や、ひとつひとつの行動の重みっていうのを感じるようになりました。「我々は宅トレをブームから文化に引き上げる力を持っているかもしれない」と思った時、今まで以上に丁寧に向き合って考えるようになりました。

竹脇まりなさん:私は、改めて「宅トレってなんなんだろう?」って、深掘りして考えるようになりましたね。家の中で運動することももちろん宅トレだけど、メンタルのケアだったり、食事だったり、そういった総合的な体づくりも大切。そうなると、「宅トレ」ってどういう要素で構成されているんだろう、と。そもそも、「宅トレをする」という根底には「もっと自分を好きになって欲しい」というメッセージがあるので、宅トレはその目標に向かうための手段でもある。体という面でも、心という面でも、健康のあり方をより深く考える必要があるなって感じています。

夫婦二人三脚で活動する竹脇まりなさんと夫・ダーウィンさん。お話を聞いていると、お互いリスペクトし合っていて、とてもステキな関係だなと感じました。宅トレへの思いも「トレーニング」という枠に収まらず、その先にある「もっと自分を好きになってほしい」というメッセージに、多くの人に愛されるチャンネルである理由が垣間見えた気がします。

後編では、現在の活動内容やこの仕事のやりがい、宅トレトレーナーを目指す人へのアドバイスを伺います。

取材・文/児玉知子
撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)

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