地域の人々の健康をサポートするため全店舗直営で企業理念を浸透!【あい・グループ 中井良祐さん】#1
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。
今回は大阪、京都、兵庫で27店舗を展開している「あい・グループ」のマネージャーであり、「あい鍼灸院・接骨院 阪急高槻市駅院」の院長としても活躍している中井良祐さんにお話をうかがいました。
前編となる今回は、直営店にこだわる「あい・グループ」の店舗戦略についてインタビュー。全27店舗が直営という運営のメリットについて教えていただきます。
お話をうかがったのは…
「あい鍼灸院・接骨院 阪急高槻市駅院」院長 中井良祐さん
大学卒業後、2016年新卒で「あい・グループ」に入社。2018年5月、院長に就任し、新人育成にも力を注いでいる。2022年4月、マネージャーとして3店舗を管轄し、店舗運営のサポートも行う。
直営27店舗すべてが1つのチームという認識が土台
――「あい・グループ」はすべて直営で27店舗を展開しています。直営にこだわる理由は?
「あい・グループ」の経営理念は、「喜びと笑顔」です。院に来た人の痛みや症状を改善するのは当たり前で、その方の生活背景まで加味して、改善した先に、その方のやりたかったことができるのか、まで考えて対応する、一人でも多くの人に喜んでいただく、その理念をスタッフ全員に浸透するために、直営店にこだわっているんです。
また、鍼灸院・接骨院なので、企業目的は「地域の人々の健康をサポートする」こと。どれだけ多くの人々をサポートできるかは、店舗のある地域の数で変わってきます。
1つの院なら商業範囲半径1~2km程度。でも各駅に直営店が1つあれば、半径1~2kmの円がどんどんつながって大きな円になります。そうできるように27店舗全てでチームだという認識を持つためにも、直営店というかたちで展開しているんです。
――店舗同士の交流も盛んなんですか?
僕の管轄しているブロックの中で言うと、院長たちは毎朝の朝礼がありますし、主任会議や勉強会、院をまたいでの練習など、スタッフ同士でも他院との交流はあります。
また役職別の交流も盛んです。新人、一般スタッフ、副院長、院長、マネージャー以上と階層があるんですが、週ごとに各階層の研修が行われます。そこで院をまたいで、同じ階層の人同士での交流をしましょうという取り組みをしているんです。
店舗の垣根を超えた役職別の交流で、つながりと理解度がアップ
――役職別に交流をするメリットは?
階層ごとに必要な情報は違いますし、視野も変わってきます。新人は目の前のこと、一般スタッフなら今日1日、できて3日を考えるのが精一杯。副院長なら1週間、院長であれば今月、マネージャーであれば3カ月~半年を視野に入れて計画を立てる必要がある。
例えばマネージャーが半年後の計画をもとに話をしても、一般スタッフにすべては伝わらなかったりします。だから視野の違いによる伝わる幅の誤差がないように、階層別の研修が必要なんです。
――直営店での展開が、売上アップにつながっていると感じることはありますか?
他店舗で上手くいった事例が、すぐにシェアしてもらえるのはいいところだと思います。それを素直に受け入れて試してみると、結果全店舗の売上がアップするんですよね。
また本社のサポートがあることも大きいと思います。社長もそうですが、広報の方や事務処理をしてくれる方がいることで、支えられている部分は大きいです。とくに売上面で言うと、業界の流れや最新情報などを逐一チェックして伝えてくれるのは助かりますね。古いことをしていると、やはりお客さんは離れてしまいますから。またWEBを通した広告や集客にも力を入れてくれているので、そこからの新しいお客さんも増えました。
実は、昔は「あそこより良い成績を」みたいな、個々の戦いをしていた時期もあったんです。でも社長が「院は違っても同じ会社で仲間なんだよ」ということをちゃんと伝え続けてくれて、そういう認識が浸透しました。直営だからこそ、その考えが広まったし、そのベースがあるから売上アップにもつながるのだと思います。
必要な施術をした結果が売上だということを忘れない
――他にもグループ全体として売上アップのためにしていることはありますか?
考え方として「その人に必要な施術をした結果が売上」というのが前提にあります。だから必要な施術のために、会社としてはいろんな商材や治療機器などを探して準備する。それは、その方を今よりも良くするための武器を手に入れるということであって、売上のためにセールスマンになっては絶対にダメだというのは常に言われているし、部下にも伝えています。
だから大切なのは、その人に必要な施術をするためには何が必要かということ。それを、それこそ階層別の研修などで伝えていくのが、一番の売上アップのための取り組みだと思います。一般スタッフであれば信頼される対応の仕方であったり、院長以上であれば部下育成についてなど、各々に必要な研修を毎月続けたことが実って、売り上げも上がってきています。
――「地域の人々の健康をサポート」が目的とのことでしたが、会社として地域との交流などはありますか?
そこは各院長が、考えて取り組んでいます。どうしたら地域の方々と密に関われるか、貢献できるかと考えて、例えば近所のお寺への参拝や地域の清掃活動に参加している店舗もありますね。
自分たちのことを知ってもらうために多くの店舗で取り組んでいるのは、近隣店舗への挨拶回り。ふつうにご飯を食べに行ったときに、どこの誰かというのを軽く挨拶する程度ですが、まずは知ってもらうという認識で。
僕もそうですが、人って何も知らないところに行くのは勇気がいるじゃないですか。でも知っている人のところなら、第一歩を踏み出しやすいと思うんです。最初の不安要素を取り除くためにも、こちらから挨拶に行くことはとても大切だなと思います。
ヘルスケア事業を地方で展開して成功するための3か条
ヘルスケアのお仕事を地方で展開するために大切だと思うことを、中井さんに教えていただきました。
1.自分本位にならず相手に寄り添ってニーズのズレをなくす
2.決めつけず伝えなければいけないことは全部伝える
3.一緒に働いてくれるスタッフを大切にする
例えば自分がいいと思った治療をするのと、お客さんがこうなりたいという想いを叶えるためにする治療では認識が変わってきます。自己満足ではなく、いかに相手に寄り添えるかというところは大前提。
そしてお客さんのことを決めつけないこと。言ってもやらないだろうとか、来なきゃいけない日を伝えても忙しいと言って来ないだろうと勝手に判断して伝えないのはダメで、伝えなければいけないことはすべて伝える。その人がよくなるためには、それが大きな一歩になります。
また経営について言えば、やっぱり人材が一番大事。一緒に働いてくれるスタッフをいかに大切にできるかが、店舗の成果や院長としての自己成長にもつながると思います。
直営だからこそできた、「人を大切にする」という経営理念をスタッフ全員に浸透させること。それが地域の健康をサポートするヘルスケア事業において、とても大きな成果を生み出したんですね。そしてこの「人を大切にする」という理念は、スタッフ教育にも浸透しているそう。「地方での院運営は人が一番大事!」と中井さんが言う、「あい・グループ」の教育について、後編でお聞きします。
取材・文/山本二季