経験を積み重ねて生まれた「自信」がコンテスト連覇のカギ!【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.50 整体師/スポーツトレーナー 正木享輝さん #2】
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
前回に続き、「カラダファクトリー」でエグゼクティブボディトレーナーとして、整体師兼スポーツトレーナーして活動している正木享輝さんにインタビュー。社内技術コンテスト「匠の技コンテスト」のストレッチ部門において、2019年度に続き2020年度も連続で1 位に輝く実力派。社内ランク上位の「エグゼ クティブボティトレーナー」の称号をもつトレー ナーとして高い技術を提供しています。
中編となる今回は、そんな正木さんが感じるお仕事の魅力、社内コンテスト出場の経緯とメリット、そして整体師を目指す人へのアドバイスをお伺いします。
お話を伺ったのは…
整体師/スポーツトレーナー 正木享輝さん
大学卒業後、東京リゾート&スポーツ専門学校でスポーツトレーナーとしての基礎を学ぶ。2014年、株式会社ファクトリージャパングループに入社。店舗勤務で整体技術を学び、2018年より同社にてスポーツトレーナーとしても活動をスタート。社内技術コンテスト 「匠の技コンテス ト」のストレッチ部門において、2019年度に続き2020年度も連続で1位に輝く実力派。社内ランク上位の「エグゼクティブボ ティトレーナー」の称号をもつトレー ナーとして高い技術を提供している。
お客様からの「ありがとう」は自分の技術が認められた証
——正木さんが整体師、トレーナーのお仕事に感じる魅力ややりがいを教えてください。
整体師もトレーナーも変わらないのは、「ありがとう」と言っていただけること。それもテンプレートのような感謝の言葉ではなく、すごく心のこもった言葉がいただけることは、すごく嬉しいことだと思います。自分の技術がお客様に認められた瞬間でもあるので、「ありがとう」の言葉をいただけることが自分の自信にもつながるんです。
あとは自分のしたことが、結果として相手に表れる仕事でもあるので、そこもすごく楽しいなと思います。整体師なら、仕事の疲れがスッキリしたとか、日々 の身体の悩みが楽になったとか。トレーナーで言うと、選手がすごくいい成績を残せたとか、パフォーマンスが上がって実力が発揮できたとか…。どちらにしても「お客様の生活や運動機能のクオリティを上げる」というのが僕の仕事ですから、それが目に見えてわかると嬉しいですよね。
——逆に大変さ、難しさを感じたことは?
僕個人の話になってしまいますが、もともとコミュニケーションが得意なタイプではなくて…。全然しゃべれなかったこともあり、入社して1・2年は「技術さえあればお客様は分かってくれるだろう」と思っていたんです。でも、そこで躓きました。
接客もうまくいかなかったし、施術も自分本位になっていました。振り返ると恥ずかしいくらい…。先輩からも叱られましたし、お客様から厳しいお言葉をいただくことも多かったですね。
——変わろうと思ったきっかけは?
失敗が続くのは何故なのかを考えたとき、相手とコミュニケーションをとらず自分本位な施術をしていることが原因だと気づいたんです。僕はトレーナーを目指していたので、今の自分をトレーナーに置きかえたら、すごく傲慢で選手に信頼されないだろうな、トレーナー失格だなと思って。上司からも「人に好かれるような人間にならないといけない」と教えをいただきました。そこから変わる努力をし始めたんです。
——どんなことをして克服したんですか?
まずは鏡を見て笑顔の練習をしましたね。あと当時すごく声が小さかったので、発声の練習をするためにカラオケによく行っていました。1人だったり、スタッフと一緒だったり、当時は週1回必ず行っていましたね。本来の自分を出す練習をしたことで、自然と大きな声が出るようになりました。
施術の引き出しを増やして自信をつけ、コンテスト2連覇を達成!
——それらを乗り越えて、社内コンテストで2連覇を果たされるほどになったんですね。社内コンテストでは接客面なども考慮されるのかなと思うのですが…
そうですね。2020年度のコンテストは、上司からの推薦によるエントリーだったので、その段階で店舗業務をある程度しっかりできているかという判断はあったと思います。
——ではコンテスト出場のきっかけは上司の方の推薦?
以前の選考基準は、まずは施術件数がベース (その後技術や接客力の総合審査に)となっていました。 私が初めて出場した年もそうでした。私も全体のTOP50には入っていたので、少し意識するようになって…。そこからグーッと順位が上がったんですが、最終的には11位だったんです。
そこで「自分の施術技術はこんなものなのか?」という感覚になり、くやしさをすごく感じました。そこから、もっと上を目指そうという気持ちになったんです。上司とも話をして、そこからいろいろ試行錯誤を繰り返し、翌年には2位までいけて…。
そういった流れもあり、2020年は上司の推薦で出場できました。
——1位になるためにしたことはありますか?
1位になるための練習というわけではありませんが、ふだんの施術で意識して取り組んだこととして、ひとつは説明をわかりやすくお客様に伝えること。もうひとつは、お客様に「変わった!」という感覚を与えることです。
体の知識を持たないお客様にどう説明したらわかりやすいか考えたり、さまざまな施術パターンを身につけて引き出しをたくさん作り、それをいろんなお客様に当てはめていったり。経験をしっかり積むことで、自信を持って施術に当たれるベースを固めていきました。
——社内コンテストに出場してよかったことは?
会社のサイトや情報サイトの記事を見たお客様から労いの言葉をいただいたり、施術のお問い合わせをいただいたりしたのは嬉しかったですね。
あとは、出場に当たって取り組んだことのおかげで、普段の施術がバージョンアップしたと思います。そこで培った経験や、1位を頂けたということは自信になります。自身を持って施術していると、お客様も安心して施術を受けられるし、説明にも納得してくださるんです。
私を頼って来店いただける方もすごく増えたので良かったです。
全力で施術にあたり結果を出すためのスタートラインは「笑顔」
——正木さんがお仕事で大切にしていることは?
僕の中で一番大切にしていることは「常に朗らかであれ」ということです。初めてお店にいらっしゃるお客様は「カラダファクトリーってどんなところなんだろう」と少し不安を持っています。そういった方の不安を一瞬で溶かしたいので、最初の挨拶の朗らかさはすごく重要だと思うんです。少しでもお客様の不安を解いてあげるところが施術のスタートと思いながら、いつも仕事をしています。
あとは、施術中はどれだけお客様に尽くせるか。「人事尽くして天命を待つ」が、私の座右の銘です。自分のできる限りのことを提供し尽くせば、絶対にいいことが待っていると思っているんですよね。お客様から感謝の言葉をいただくためには、そのくらい自分でしていかないといけないと思うんです。
——整体師やトレーナーを目指す方に、アドバイスをお願いします。
すごく入り口が広いので、ヘルスケア業界に進もうと思ったときに「整体」は入りやすいんじゃないかと思います。
結果が出るまでに時間がかかるかもしれないけど努力は絶対に実る。お客様を変えられるし、自分も成長できる。整体師は、私のように スポーツをやっていた方や 健康産業に興味がある方にとって とてもやりがいがある職業だと思うので、興味があるなら是非チャレンジして欲しいです。
アドバイスするとしたら、自分に合った整体のジャンルを精査しておくこと。入り口が広い分、自分が何をしたかったのか見失いやすい面もあります。いろんなジャンルを見て体験して、何が自分に合っているか考えて、この道に来ていただけたらいいなと思います。
苦手なコミュニケーションを克服し、社内コンテストで1位に輝くまでになった正木さん。自分の施術を確かなものにするには、努力を重ねたことで自信を得ることが大切なんですね。次回後編では、正木さんのトレーナー経験を活かした整体&ストレッチ術についてお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/米玉利朋子(G.P.FRAG)