「エレコア」をもっと多くの人へ! 経営者として一歩一歩進んでいく【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.132 バレエ×パーソナルジム プリマ 隅田咲さん】#2
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回は、自身のバレエ経験から考案した独自のメソッド「エレコア」を打ち出したバレエ×パーソナルジム プリマ経営者の隅田咲さんにインタビュー。隅田さんは現在、経営をメインに「エレコア」を広める活動を行っています。
前編では、トレーナーになるまでの経緯や「エレコア」について詳しくお話を伺いました。後編では、「プリマ」立ち上げ時に大変だった点やこだわった点、経営者として取り組んでいること、今後の目標をお聞きします。
今回お話を伺ったのは…
トレーナー 隅田咲さん
高校卒業後、バレエを学ぶためにイタリアに1年間ほど留学。その後、各国を飛び回って20歳で日本に帰国し、長年のバレエ歴を活かしてトレーナーデビューを果たす。3年後、愛知県名古屋市にてバレエ×パーソナルジム プリマを開業し、運動が苦手な人々のサポートを行う。
「プリマ」を発展させるために力を入れていること
――立ち上げの際に大変だったことは?
値段も場所も、とにかく自分で一から決めなければいけないのが大変でした。もともと優柔不断な性格なうえに、妥協点を見つけるのにも時間がかかりました。
――どのようにして乗り越えたのでしょうか?
とにかく周りの人たちに相談してアドバイスをいただいて。同業者で経営をしている知り合いや、広告系の仕事をしていた父親にコンセプトなどマーケティング周りについては力を借りました。
――時間をかけた中で、特にこだわったところをお聞かせください。
トレーニングに改良を重ねることはもちろんなのですが、内装には力を入れました。
やっぱり通いたくなる空間づくりって大事だと思っていて。私がトレーニングジムで運動が続けられない理由の一つが、その環境でした。無骨で逞しいジムではなく、落ち着いてリラックスできる、通いたくなるような空間にしたいと思ったんです。加えて、バレエ要素も取り入れようと、海外のバレエスタジオをイメージしました。留学時に見てきたたくさんの素敵なバレエスタジオが見本です。
――現在、特に力を入れている取り組みは?
自分で考案したメソッド「エレコア」を広く知ってもらうために、スタッフやメソッドに興味がある人へ向けた育成に力を入れています。
――育成の内容について詳しく教えてください。
働いているスタッフと個人で学ぶ方とでカリキュラムを分けて展開しています。
両者で違う点は、学ぶ期間や内容の濃さ。やはり所属しているスタッフは看板を背負っていますから、座学はもちろんのこと、実技にもシミュレーションにも余念なく取り組んでもらっています。もちろん、個人で学ぶコースでもすぐ仕事に活かせるくらいの濃いカリキュラムをご用意しています。
個人で受ける方には、4ヶ月間の完全オンライン制で学んでいただきます。コンテンツごとに解説した動画を見たあと、月に2回はリモートで実技を理解しているか確認し、試験をクリアしたら証書を発行します。受けた方の多くは、「エレコア」のメソッドを指導に取り入れたり、ご自身のためのトレーニング方法として活用いただいているようです。
――どんなところに気をつけながら指導していますか?
人の理解度とか学びの姿勢はそれぞれ違いますが、みんなが理解できるように指導しなければなりません。それをクリアするためには、どうしたら伝わりやすいのか相手の視点に立って考えて指導しています。
あとは、学び続けることの大切さを伝えるようにしていますね。トレーナーは、人の身体を扱うことが仕事です。その責任を持つ意味でも、勉強することの重要性を分かってほしい想いのもと伝えています。
粘り強く継続させて「諦めない」心を大事にしていきたい
――指導のほか、スタッフとの関係性を築くためにしていることは?
全面的にサポートをしたいと考えているので、一人ひとりの話や意見をしっかり聞くことを心がけています。全てのリクエストに「イエス」は出せませんが、できるだけ叶えたいなと。一緒に働いているスタッフは家族だと思っていますから、頻繁に話し合いの場を設けて意見や情報を交換しているんです。
――仕事をするうえで大事にしているモットーを教えてください。
諦めないことです。何事も粘り強く続けていれば時間はかかりますが、何かしらの結果が出ます。どうしても続けることが難しい・向いていない人でも、取り組む期間を最初から決めておくと続けやすいのではないでしょうか。私自身がそうやって取り組んできた結果、今があると思うんです。
YouTubeもその例の一つ。最初にチャンネル登録者数が増えなくても、週2回の動画投稿をすると決めて始めたところ、徐々に見てくれる方も増えました。
――目標を決めて取り組むことで先が見えてくるのですね。では、トレーナーを目指す人が大事にすべきことは何でしょう?
トレーナーとして最低限の基礎知識を持っておくことは絶対です。
今って、SNS上で自由に自分流のトレーニング方法を発信できますし、それをバズらせて有名になれる時代じゃないですか。昔と比べてしまうと、トレーナーになるためのハードルが下がっているように感じちゃって。もし、トレーナーの仕事を真剣に本業として取り組もうと考えているなら、自己流を生み出すよりも先に基礎知識を吸収するところから。人の身体を変える責任感に対して、覚悟を持つ意味でもしっかりとした基盤を作っておくべきだと思いますね。
――今後の目標をお聞かせください。
もっと多くの人にバレエを取り入れた「エレコア」を知ってもらいたいので、今の活動を引き続き継続していくつもりです。
私以外にも「エレコア」を教える人が必要になりますから、「エレコア」を広める人を増やしていけたら良いなと。講座やセミナーを通して、達成できるようにがんばりたいです。
独自のメソッド「エレコア」を広められた秘訣
1.自身で最も自信が持てるバレエをトレーニングに落とし込む
2.届けたい層に分かりやすく噛み砕いた情報を提供し、興味をひく
3.常に更新される情報をキャッチし、反映させて改良を重ねる
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)