新事業ボディケアデリバリーを開始!「地方こそ変化を受け入れた進化が必要」【株式会社Miractive 大山恭史さん】#2
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売上アップのための取り組みについてインタビュー。
前回に続き、兵庫県伊丹市で鍼灸整骨院、整体サロンの運営、パーソナルボディメンテナンス、姿勢改善講師およびサポートを行う株式会社Miractiveの代表・大山恭史さんにお話を伺います。
後編では、今年スタートした新事業であるボディケアデリバリーサービスについてを始め、さまざまなサービスを展開する理由についてお聞きします。
お話をうかがったのは…
株式会社Miractive 代表 大山恭史さん
大阪府や兵庫県の整骨院・鍼灸院にて約7年、大阪府の鍼灸整骨院グループで約7年の経験を積み、2010年8月に兵庫県伊丹市にて「みらく鍼灸整骨院」を開業。2020年に「整体サロン Wake」、2022年「ボディケア&デリバリー YONDEYA」をオープン。
今年スタートした新事業「ボディケア&デリバリー」とは
――前編でお伺いした地方で成功するための3か条に「他院にないことをしていく」というものがありました。その1つが「ボディケア&デリバリー YONDEYA」かと思います。
今年1月にスタートした「ボディケア&デリバリー YONDEYA」は、サロンにキッチンカーを呼んだ時に「こういうサービスが自分たちにはできないのか」と思ったのがきっかけで思いつきました。コロナ禍で店舗型ビジネスに人が来られなくなってしまったという背景があり、それならこちらから出向いたらいいのかなと。
車内にベッドや手洗いを設置した「ケアバス」は、ソーラーパネルと空調を取りつけ、エンジンを停止しても社内を快適に保てるようになっています。これまでは出張施術というと、うかがった先でスペースをお借りする必要がありましたが、ケアバスがあればスペースは不要なので感染リスクが減らせますし、屋外でも施術できるようになりました。
――ターゲットとしては?
最初は人がいるところに出向こうと思い企業をメインにスタートしましたが、今は店舗に誘導するための宣伝も兼ねて個人宅にもうかがえるように料金体系を見直しました。店舗から5㎞圏内の集合住宅に住んでいる30代ファミリー層を中心に考えています。
まだまだ知名度が低いので反響は少ないですが、企業への体験施術やイベント出店などを通して活動の幅が広がってきているので、これからもっと知ってもらえたらと思っています。
――さまざまなビジネスモデルを展開している理由は?
整骨院ビジネスというのは、「そもそも整骨院って何するところなの?」というくらい知名度が低い分野です。その狭い範囲でお客さんの取り合いをするかたちになってしまうので、抜きん出るには他院と違うことをすることが必要になります。
同じような業態のところばかりだから、今のままでは取り残されてしまうという危機感はありますね。世間が変わっているのに自分のサロンだけ同じことを続けていくのは怖いし、時代に合わせて新しいことを取り入れて変わっていかないといけないと思うんです。
継続してもらうことが顧客のためになり、売上にもつながっていく
――地方ではライフタイムバリューを考えたメニュー設定も大切とのことでした。
ライフタイムバリュー、生涯顧客価値ですね。昔はうちも高単価メニューなども提供していたんです。でも例えば高単価の8回コースがあったとして、8回目になると「やっと終わった!」という感じになって次には来なくなるんですよね。やっぱり「また行こうかな」と思えるものがなければ続かない。高単価で1回よりも、低価格で継続してもらったほうが、結果として売上は後者の方がよくなるんです。
だからうちの場合は、低価格のリラクゼーションや猫背矯正の低価格メンテナンスなどを設定しています。関わっていく頻度を増やすことによって、顧客をしっかり回転させていく。それが結果、売上の安定にもつながると思います。
――今後の展望として考えてらっしゃることはありますか?
まずは一般家庭向けのスクールです。整体サロンで主軸にしている子どものヘッドマッサージは、できることなら毎日した方がいい。でもサロンに通うとなると多くて週2回、子どもの気分によっては来なかったりもします。それなら親ができるようにして、サロンで定期的にチェックだけできたらいいんじゃないかと思ったんです。
ヘッドマッサージを通して親子の触れ合いが増え、親子関係を育み合ってもらう…というのが、スクールの目的ですね。
また同業ではなくエステやネイルサロン、美容室向けに、独自のヘッドマッサージの技術指導をすることも考えています。このヘッドマッサージをできる人たちが増えれば、親子の育み合いも広がるので、うちの理念でもある「未来の健康 恵顔の創造」というところに繋がるんじゃないかと思うんです。
売上も大事なんですけど、「恵顔の輪を広げる」ということが大前提。そこを大事にしながらどんどん新しいことを考えて、ゆくゆくはビジネス系のメディアに紹介されるような小さくても強い会社になっていきたいですね。働いているスタッフが誇れるような会社を作っていきたいです。
地方でヘルスケア事業を継続するための3か条
地方でヘルスケア事業を継続してきた大山さんが、これまで大切にしてきたこととは?
1.新しいことを取り入れて変化していく
2.顧客と関わる頻度を増やし、回転させていくこと
3.一番大切なのは心と体が満たされた「恵顔」の創造
「スタッフのためにも、誇れる会社を作っていきたい」と語ってくれた大山さん。「恵顔」の輪のなかにはスタッフも含まれているんですね。地方でヘルスケア事業を続けていくためには、「みんなを元気にしたい」というヘルスケア事業ならではのマインドが大切なんだと感じたインタビューでした。
取材・文/山本二季