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介護・看護・リハビリ 2019-12-08

福祉用具専門相談員として働くために

福祉用具専門相談員とは、介護に必要な用具について相談できる専門職、またはその資格のことを言います。

福祉用具とは障害者や高齢者に対して介護の際に使う用具の総称で、車椅子・トイレ用の手すり・介護ベッド・入浴用リフトなどがあります。

介護保険制度では福祉用具のレンタル・販売が保険給付の対象となっており、福祉用具レンタル事業を行う際、各事業所に必ず2名以上の福祉用具専門相談員の配置が義務づけられています。

仕事内容

福祉用具専門相談員は、福祉用具の選び方や使い方のアドバイスをする専門の指導員です。そのため仕事は、利用者の身体の状態(疾病など)、住居環境、希望する使用用具などを把握することから始まります。

利用者や利用者の家族に介護保険内容と福祉用具の説明をし、ケアマネジャーと相談した上で利用者の希望に合う福祉用具を導入します。導入後に利用者の福祉用具使用状況や効果の調査も大切な仕事です。介護保険対象の福祉用具はレンタルできるものと販売できるものに分かれております。

<レンタルできるもの>
車椅子・車椅子付属品・体位変換器・特殊ベッド・特殊ベッド付属品・徘徊探知機・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖・立ち上がり補助いす・移動用のリフトなど

<販売できるもの>
腰掛け便座・入浴補助用具・特殊尿器・簡易浴槽・移動用リフトのつり具部分など

勤務先・就職先

主な就職先は福祉用具レンタル・販売店や、介護施設です。しかし、近年高齢者の増加に従って、福祉用具の必要性が高くなってきたことを受け、福祉用具を扱う店が増えてきました。そのため、福祉用具専門相談員の活躍できる場は増えています。

例えば、ホームセンターやスーパーの介護福祉用品売り場、生活用品販売店、ドラッグストア、福祉用具メーカーなどでも働く場所はあります。
また、福祉用具専門相談員は自宅で介護を受けるために必要な『住宅のリフォーム』や『改修工事』に対しても、相談やアドバイス、機器の選定なども行わなければなりません。そのため、住宅リフォーム関連の仕事に就くことも可能です。これから、福祉用具専門相談員の活躍の場はどんどん広がっていきそうです。

福祉用具専門相談員になるには

都道府県が指定した「福祉用具専門相談員指定講習」を受けて、所定の課程を修了することにより、資格を得ることができます。講習時間は50時間であり、講習の最後にある1時間の修了試験(終了評価)に合格する必要があるため、7日間程度を要しますが、他の介護関連資格と比較すると短時間での資格取得が可能です。

指定講習は講座を開講している専門学校などのスクールで受講可能です。受講費用はスクールにより3~6万円と幅があります。どのスクールが良いかきちんと調べた上で選びましょう。

受講資格

受講の資格は特にありません。
指定講習を修了し、修了試験に合格すれば誰でも資格を取得できます。

試験

福祉用具専門相談員は国家資格ではありませんが、民間の認定資格でもありません。
厚生労働省指導の下で行われる講習であり、介護保険法に基づく資格ですので、安心して受講できます。

福祉用具専門相談員の代替申請

福祉用具専門相談員指定講習を修了していない人でも、福祉用具の知識がある国家資格保持者(介護福祉士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・義肢装具士・保健師・看護師・准看護師)は、指定福祉用具のレンタル・販売事業所で福祉用具専門相談員の業務を行うことができます。
※2015年3月までは、以下に該当する人も上記の要件に該当していましたが、法改正により2015年4月からは要件から外れました。

A.ホームヘルパー2級・1級
B.介護職員基礎研修課程・1級課程・2級課程の修了者
C.介護職員初任者研修課程の修了者

ただし、2015年3月31日時点でA~Cのいずれかの資格を所持して働いている福祉用具専門相談員については、経過措置として2016年3月31日までは福祉用具専門相談員として働くことができます。2016年4月1日以降も福祉用具専門相談員として業務を続ける場合は、それまでに福祉用具専門相談員指定講習を受講するか、もしくは上記の国家資格を取得する必要があります。

給料・年収

「福祉用具専門相談員の給料は〇〇円です」という風に、具体的な金額で言い表すことはできません。それは、福祉用具専門相談員というのは資格に関与する仕事だけをすることは珍しく、他の介護業務との兼務で行うことが一般的だからです。

そのため、福祉用具専門相談員の資格だけしか持っていない人は給料が低く、他に介護福祉士などの国家資格を所持している人は給料が高くなります。

福祉用具専門相談員の資格のみで、正社員として働いている人の月給は15~26万円、年収は250~360万円と言われています。しかし、福祉用具専門相談員として働く人のほとんどがケアマネジャーなど他の介護資格を取得したり、反対に介護資格を持っている人が福祉用具専門相談員の資格を取得したりするので、給料に資格手当が付くことが多いようです。

福祉用具専門相談員の魅力

福祉用具専門相談員の魅力は、病気や加齢により身体の機能が低下してしまった利用者に対して、適切な福祉用具を提案し、利用者に喜ばれるところにあります。

勤務地の面でも魅力はあります。福祉用具の市場は昔とは変わり、大型スーパーやホームセンターなどでも販売しています。福祉用具専門相談員にとって働く場所は増えるということは、選択肢が増えるということです。今後、就職先の選択肢がどんどん増えていくと予想できます。

現在も、福祉用具の開発は進んでいます。ひとつひとつの用具を理解し、これから開発される用具に対しても貪欲に知識を深め、それぞれの利用者に合った用具を案内できるということが、福祉用具専門相談員の大切な役割であり、魅力であると言えます。

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