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介護・看護・リハビリ 2021-06-11

利用者の「ありがとう」のために施設をよくしていきたい 介護リレーインタビュー Vol.14【デイホーム施設長 高野 誠さん】#1

介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。今回は、デイホームや配食サービスなどの高齢者在宅支援事業を行う「社会福祉法人ふきのとうの会」が運営する「ふきのとうデイホーム」で、施設長を務めている高野 誠さんにインタビュー。

前編では、介護業界に進んだきっかけや、施設長としての高野さんのお仕事と、その魅力についてご紹介。後編では、介護業界のお仕事の楽しさや苦労、今後の展望などをお伝えします。

《プロフィール》

社会福祉法人ふきのとうの会 高野 誠さん…大学では教育学を専攻。社会教育主事の資格取得のため、老人福祉について学ぶ。大学卒業後、社会福祉協議会でのアルバイトを経て「社会福祉法人ふきのとうの会」に入職。2018年2月より「高齢者在宅サービスセンターふきのとうデイホーム」の施設長として勤務。

介護業界に入ったきっかけ

「高齢化社会を担うのは君たち」大学時代の恩師の言葉から福祉に興味を持つ

「ふきのとうデイホーム」で施設長を務める高野さん

―まず、介護業界に入ったきっかけを教えてください。

大学在学中、社会教育主事の資格を取るにあたって、老人福祉についての科目を受講していました。その時の先生が「これからの高齢化社会を担うのは君たちなんだよ」ということを、常々おっしゃっていたんです。その言葉に感化され、福祉の道に興味を持つようになりました。

私、おばあちゃんに育てられたみたいなところがあって。実家が商売をしていたので、祖母が私の面倒をみてくれていたんです。そんな背景もあり、老人福祉という仕事が、自分に合っているんじゃないかと思ったんです。

兄の友人が社会福祉協議会に勤めていたこともあり、大学卒業後はそこでアルバイトとして働かせてもらいました。

―デイホームで働き出したのは、どういった経緯だったんですか?

アルバイトをしている時、「ふきのとうの会」の広報誌が定期的に届いていたんです。そこに職員募集の記事が載っていて、周りから「いいところだから受けてみなよ」と言われたんですよね。

正直、その時は介護の資格も持っていませんでしたし、そもそもどんな仕事なのかもわからなかったんです。でも、「福祉の仕事がしたい」という気持ちはあったので、受けてみたら、採用になりました。

採用されたものの、やっぱり不安でしたね。まったくの未経験ですから。「とりあえず3年やってみて、ダメならやめよう」と思って入って…それからもう24年くらい経ちます(笑)。

―不安を抱えて入職され、お仕事としての第一印象はいかがでしたか?

最初は、「デイホーム赤堤」で介護職員として勤め始めました。私、けっこう人見知りなので、初めての人と自分から話すということができなくて、当時はちょっと大変でした。大勢の前に立って体操したり、ゲームをしたりするのも、本当に緊張しました。先輩職員に助けてもらいながら、場数を踏んで慣れていきましたね。

デイホーム施設長の仕事内容

施設長として、現場と運営の両方に携わる

長年勤務した「デイホーム赤堤」から、
5年前に「ふきのとうデイホーム」に異動。
その2年後、施設長を引き継ぐことに

―施設長になった経緯と、お仕事の内容を教えてください。

「ふきのとうデイホーム」で施設長だった職員が定年をむかえるにあたり、役職を引き継ぐことになりました。5年前に「ふきのとうデイホーム」に異動してきて、相談員として勤めながら2年かけて前任の施設長から業務の引継ぎをしました。

業務内容としては、介護職員や相談員としての現場業務を行いつつ、施設長としては施設運営に関する研修会の参加や、現場スタッフのシフト調整などを行っています。あとは、スタッフからの相談や悩みを聞くというのも業務のひとつです。

その日によって業務内容は変わります。11:00~12:00と14:00~15:00は体操やゲーム、さまざまな活動を行う時間なので、そちらに参加することもあります。

―施設長として職員の指導などもされるのでしょうか?

業務マニュアルがあるので、新しい方が入れば、基本的にはそれに基づいて指導を行います。ただマニュアルがすべてではありませんので、なるべく自分で考えて行動できるような指導も行っています。

―「上から」の指導はしないんですね。

事故が起きたとか、不測の事態が生じた時は施設長としての役割を果たしますが、現場にいる時にあまり上下は考えていないです。私がわからないことがあれば、新人さんやパートさんに聞くこともあります。

福祉の現場って、どこもそうだと思うんですが、どうしても職員の人数が少ないんです。少ない人数で大勢の利用者さんをみなきゃいけないので、スタッフ間で連携が取れていないといけないんです。そういう意味でも、ワンチームというか、上も下も関係なくやっていきたいなと思っています。

デイホーム施設長のお仕事の魅力

施設全体が良い方向に進むことが嬉しい

「利用者もスタッフも楽しく過ごせる場所にしたいので、
上下は関係ないんです」

―お仕事にやりがいを感じるのは、どんな時ですか?

一番は、利用者さんに「ありがとう」と言っていただけた時です。高齢者を相手にする仕事なので、なかには意思疎通が難しい方もいらっしゃいます。そういう方が、こちらの問いかけに対して、言葉は発せないながらも笑顔で答えてくださると、「わかってくださっているんだな」と嬉しくなります。

また、最初は家族に言われて仕方なく来ていた利用者さんが、「もっと早く来たらよかった」と言ってくださったり、ここに来ることで明るくなったり、楽しんでいるのを見ると、やっていてよかったなと思います。

―施設長になってから感じるようになった「やりがい」はありますか?

経営的な部分ですが、新しい利用者さんが増えて、売り上げが上がるのも、やりがいのひとつだと思います。

また、施設長になって、「ふきのとうの会」の中枢として、いろいろなことが提案できるようになりました。それが実になって、いい方向にいくのも、やりがいになります。

あとは、施設が褒められるのも嬉しいですね。利用者さんに「評判がいいのよ」と言ってもらえたり、「知り合いに紹介するわ」と言ってもらえたりすると、すごく嬉しいです。

―「褒められる施設」でいるために心がけていることはありますか?

基本ですけど、「挨拶をしっかりしよう」というのは、会全体で心がけていることです。利用者さんに対してはもちろん、訪ねて来られた方には必ず声をかけて、しっかり挨拶をする。明るく元気に「こんにちは」を言えると、施設全体がいい雰囲気になりますから。

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施設長として、現場業務と運営業務を担っている高野さん。穏やかで明るい人柄が、施設全体の良い雰囲気につながっているんだなと感じられました。次回は、高野さんが感じる、お仕事の楽しさと苦労などを深掘りしていきます。

▽後編はこちら▽
自分も楽しむことが仕事を続けていくコツ 介護リレーインタビュー Vol14【デイホーム施設長 高野 誠さん】#2>>

取材・文/山本二季
撮影/柴田大地(fort)

Information

社会福祉法人ふきのとうの会

住所:東京都世田谷区上用賀6-19-21
TEL:03-3706-2545

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