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特集・コラム 2024-01-25

介護事務に向いているのはどんな人?必要なスキルとあわせて大変なことや魅力を紹介

介護保険サービスを提供している事業所において、事務業務などを任される「介護事務」。介護報酬の請求をしたり、受付業務をしたりと仕事内容はさまざまで、介護報酬や介護保険制度に関する専門知識を持った事務のスペシャリストです。

この記事では、介護事務の仕事内容とあわせて、平均月収・介護事務に向いている人・必要なスキルなどをまとめて紹介します。介護事務として働くにあたって大変なことや魅力もお伝えしますので、参考にしてくださいね。

介護事務の仕事内容とは?

介護事務は一般的な事務業務だけでなく、レセプト作成・窓口業務・労務管理業務・職員のサポート業務などもおこなうのが仕事です。

介護事務の代表的な仕事として、レセプト作成があります。レセプトとは、各市町村へ介護報酬と呼ばれるサービス利用料を請求するための書類です。

介護保険サービスにおける利用者の負担額は1~3割で、残りは各市町村が負担する仕組みとなっています。介護報酬は施設のおもな収入となるため、とても重要な業務です。

また、利用者や来客と直接対応したり、電話・メールで対応したりなど、窓口業務全般も介護事務の仕事。必要に応じてほかのスタッフに取り次いだり、お客様からの質問に答えたりする役割を担っているため、施設やサービスの情報把握と対応力が必要です。

さらに、職員の給与計算や勤怠管理などの労務管理業務もあります。施設によって異なりますが、備品の発注や管理など職員の労働環境に関わる管理業務全般が任されることもあるようです。

施設によっては、ケアプランの作成などをする介護支援専門員(ケアマネジャー)や介護職員の、サポート業務をおこなうこともあります。

介護事務の仕事について、以下の記事で詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
介護事務の仕事内容とは? どんな場所で活躍できる? 持っていると役立つ資格とは

どんなところで活躍するの?

介護事務のおもな活躍場所は、介護保険サービスを提供している事業所です。施設型サービス事業所や、訪問介護サービス事務所などがあります。

具体的には、以下のようなところです。

・介護付有料老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・デイサービス
・グループホーム
・訪問介護ステーション
など

介護事務の平均月収

介護事務として働くにあたって、月収はどれくらいなのか気になる人もいることでしょう。就職先や雇用形態によって異なりますが、ここでは常勤・非常勤に分けて介護事務の平均月収を紹介します。

令和4年の平均月収は約31万円

厚生労働省の「令和4年介護従事者処遇状況等調査結果」によると、常勤で働く介護事務の平均月収は約31万円、非常勤で働く場合の平均月収は約19万円です。詳しくは次表をご覧ください。

常勤 非常勤
介護職員処遇改善支援補助金を

取得している事業所

30万7,960円 17万8,870円
介護職員等ベースアップ等支援加算を

取得している事業所

30万8,430円 18万4,700円
介護職員等特定処遇改善加算および

介護職員等ベースアップ等支援加算を

取得している事業所

30万9,380円 20万6,880円

 

常勤か非常勤かによる違いや、「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を取得している事業所とそうでない事業所で多少の違いがあります。

介護職員の平均月収は約32万円であるため、介護事務とそれほど大きな違いはありません。

引用元
厚生労働省:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果

介護事務のお仕事に向いている人とは?

介護事務に興味がある方は、介護事務の仕事がどんな人に向いているのか気になるでしょう。実際にどんな人が向いているのかについて細かく解説していきます。

向いている人を知ることで仕事の内容も想像しやすくなります。自分自身と照らし合わせて確認し、介護事務に向いているかどうかを判断していきましょう。

1. 介護・福祉に興味関心が高い人

介護業界での仕事であるため、介護や福祉に興味があり関心が高い人が向いているといえるでしょう。介護事務の仕事は、過去に介護や福祉の職歴がなくても挑戦することができる仕事です。

そのため、介護に興味や関心があるかなどの気持ち的な面が大切なポイントになることも。介護事務の働きによって事業所全体を支えることになるため、それに対してやりがいを感じられるかどうかが重要です。

2. デスクワークが好きな人

介護事務の仕事は、基本的にはデスクワークです。そのため、デスクワークが苦にならない人は向いているといえるでしょう。反対にデスクワークのみの働き方が苦手な方は、介護業務を兼務する事業所もあるのでそのような場所を探してみるとよいでしょう。

就職活動をおこなうときは、募集要項をよく読んで、自分自身の望む働き方ができるのかどうかを判断していきましょう。

3. 経理の知識や経験がある人|計算が得意な人

経理の知識や経験がある人や、計算が得意な人も向いている仕事といえるでしょう。なぜなら、数字を正確に扱わなければならない業務が多いため、数字に苦手意識がある人は苦に感じてしまう可能性があるからです。

経理の知識といっても、介護事務では基本的には足し算や引き算ができれば問題ないのですが、1円でも差額があると再提出になってしまうことがあります。細かく計算し、まちがいのないように資料を作ることが好きな方に向いています。

4. コミュニケーションスキルが高い人

介護事務では、窓口や電話対応など人との関わりもある仕事です。スタッフ同士のコミュニケーションはもちろん、利用者やその親族とも円滑にコミュニケーションがとれるようなスキルが高い人にも向いています。

ときには、電話で業者とやりとりするような場面も想定されるので、聞いたことをしっかりと覚えたり、メモをとったりして、的確に人に伝えていくようなスキルが必要です。

5. 管理能力があり計画的に仕事ができる人

介護事務では、介護報酬を作成するときに必要な書類を期限内にまとめて提出しなければなりません。コツコツと計画的に仕事を続けられる人が向いています。また、仕事の締め切りをきちんと守れるスキルも必要です。

提出する書類自体も先ほども説明したように、ミスがないようにきちんとした内容のものを提出する必要があります。このような細かい作業も根気を持っておこなえる人が向いているでしょう。

介護事務として働くために必要なスキルとは?

介護事務として働くにあたって、事務業務のスキルは欠かせません。さらに、次の3つのスキルも必要とされます。

1. 介護保険・介護報酬などの知識
2. パソコンスキル
3. ビジネスマナー

この3つのスキルについて詳しく紹介しますので、介護事務を目指す方は必要なスキルを少しずつ身につけていきましょう。

1. 介護保険・介護報酬などの知識

介護事務をおこなうにあたって、介護保険や介護報酬などの知識が必要になります。介護保険に関しては、介護にまつわるお金のことを市町村と介護施設とやりとりしたり、制度を理解して申請したりしなければなりません。また、そのお金を受け取る方法などを理解して実行するスキルが必要です。

介護報酬に関しては、請求のときの流れや計算する方法を少しでも理解しておくことで、働き出してからの負担が減るでしょう。

2. パソコンスキル

上で紹介した、介護事務に向いている人でも紹介しましたが、基本的にパソコンをつかって仕事をおこなうため、パソコンスキルが必要となります。

基本的な使い方がわかっていれば問題ないですが、まったくパソコンの知識がない状態ではなかなか業務をスムーズに進めることが難しいでしょう。逆に、パソコンの知識が十分にある場合は、より仕事を効率的に進めるのに役立てることができるはずです。

3. ビジネスマナー

電話対応や窓口対応もおこなうため、言葉遣いなど最低限のビジネスマナーも必要です。介護事務員の電話や窓口での対応があまりよくないとその事業所全体のイメージが悪くなってしまうことも。

いろいろな人と関わり、忙しい業務の間でも、しっかりとした対応をおこなっていけるようなコミュニケーション能力やビジネスマナースキルが必要な仕事です。

介護事務として働くには?

介護事務の仕事を理解していくなかで、介護事務を自分自身の仕事として働くにはどうすればいいのか興味を持った方もいることでしょう。ここからは、介護事務として働くには資格や条件がいるのかについて解説していきます。

資格の有無や条件を知って、自分自身の今のスキルと照らし合わせてすぐに働けるのかどうかなどを検討してみましょう。

必須の資格はナシ!

介護事務として働くうえで、あったほうがよいスキルなどは紹介してきましたが、必須の資格は実はありません。スキルや適性があれば資格を取得しなくても働くことのできる仕事です。

上で紹介した、向いている人に当てはまる人は自分自身の特性やスキルを活かして働くことができるでしょう。

介護経験が活きることも

介護事務の仕事は基本的に事務職ではありますが、もともと介護業界にいた人はその経験が活かせる仕事でもあります。

介護全般の知識がある程度あることで、介護事務の作業をおこなう上でわからないことが減り、仕事をスムーズにおこないやすくなるでしょう。

介護業界未経験者は資格取得もおすすめ!

介護業界でまったく働いたことがない方は、事前に資格をとるのもおすすめです。資格取得に向けての勉強で知識が得られるため、その知識を活かして働くことができます。まったく知識がない状態よりも、やはり知識を身につけた状態の方が働きはじめてからの大変さが異なるでしょう。

介護事務で役立つ資格とは?

介護事務に必須の資格はありませんが、介護報酬や介護保険に関するしくみを知識として持っておく必要があります。そこで役立つのが次の3つの資格です。

介護事務管理士 介護報酬請求に関するスキルや受付・会計などの事務スキルを証明できる資格。

合格率は70%程度。

誰でも受験することが可能。

ケアクラーク 社会福祉制度や介護報酬請求に関する知識や技術を証明する資格。

誰でも受験することが可能。

介護報酬請求事務技能検定 介護報酬請求に関する知識や技能を証明する資格。

介護事務講座(通学/通信コース)を受講することで受験が可能。

 

こちらの記事では、上記の3つ以外にも役立つ資格を紹介しています。
介護事務の仕事に資格は必須?おすすめの資格7選や役立つシチュエーションについて紹介

引用元
JSMA技能認定振興協会:介護事務管理士®技能認定試験
日本医療教育財団:ケアクラーク技能認定試験(ケアクラーク®)
日本医療事務協会:介護報酬請求事務技能検定試験とは

介護事務の仕事で苦労すること

事務作業をはじめ、レセプト作成や受付業務、介護職員のサポートなど仕事内容が多岐にわたる介護事務。介護保険制度などの知識が必要なだけでなく、介護支援専門員や介護職員のサポートをするなど、一般的な事務とは違います。

その分やりがいや魅力もあり人から必要とされる職種ですが、仕事内容が多岐に渡ることにより、苦労することも。

ここでは、介護事務の仕事で苦労することを紹介します。

さまざまな仕事を任せられることが多い

世間一般で言われている事務のイメージは、デスクに向かいパソコンをカチャカチャと操作して、電話対応をしているイメージがあるかもしれません。しかし、介護事務はパソコンでの事務作業をすることはもちろんのこと、身体を使ってする仕事もたくさんあります。

基本の仕事は事務作業であるため、請求書の作成や介護報酬の計算といった、事務作業がメインにはなるものの、なかには介護支援専門員のサポートについたり、外部の人と話をして問い合わせに答えたりする機会が多くあります。また、実際の介護の現場に出向いて、介護の手伝いをお願いされることも。

とくに、介護業界では人手不足が深刻な問題とされており、介護事務として働き始めたものの、気付けば介護の現場に携わっているということもあるかもしれません。

そのため、一般的な事務のように華やかな格好をすることは難しく、動きやすい格好で働いている人がほとんどです。

介護施設では常に人手不足であるため、施設全体のことを知っている介護事務の人は、さまざまな質問を受けたり雑用を頼まれたりすることがあるなど、まるで「なんでも屋」のような形で仕事を任されることもあります。

給料がなかなか上がらない

介護業界の需要が高まってきているため、介護事務はとても重要な職種であり、どの施設でも介護事務を欠かすことはできません。大きな施設ではなおさらその存在意義が強くなります。しかし、ほかの介護に従事している職種に比べると、給料が高いとは言えないのが現実です。

経験を積んだり、勤続年数を増やしたりすることによって、基本の給料を少しずつ上げることができるものの、社会福祉士や介護支援専門員とは違い、大きな昇給を望むことは難しいでしょう。たくさん稼ぎたいと思っているような人には向いていないかもしれません。

もし少しでも多く稼ぎたいのであれば、夜勤手当・資格手当が付与される職場に移るのもよいでしょう。残業手当や夜勤手当によって少し手当が増されるため、稼げる額も大きくなります。

事務の仕事だけをしたい場合には、よい待遇は用意されないかもしれないので、少しでも給料を増やすためには、さまざまなことに挑戦をしてみるのもいいかもしれません。多くの仕事をできるようにしておけば、チャンスはやってきます。

お金を扱う介護事務

介護報酬請求業務は介護事務の仕事であり、経理に近いような業務をすることがあります。煩雑な単位数のおかげで、頭を悩まされることも少なくないでしょう。お金を扱う業務なので、最初から最後まで気を抜くことができずに心労することもあるかもしれません。

大きな施設では、施設に備えられたシステムに数字を入力すると報酬介護を自動計算してくれる、なんて場所もありますが、一カ所数字を間違えると、それがさまざまなところに影響を与えることもあります。

なかには、電卓での計算作業があることも少なくありません。人間誰しもミスはするものですが、気付いた時には「時すでに遅し」になっていることも。最初は注意で済まされることもあるかもしれませんが、それが2、3回続くようなことになれば、すぐに目を付けられてしまいます。会社の信用問題にも関わることですから、なおさら注意が必要でしょう。

また、利用者に介護保険の負担分請求をする際も同様に、気を遣わなければいけません。請求内容に違いがあれば、すぐに間違いが見つけられるようになっています。もし利用者が優しければ大事にはならないかもしれませんが、利用者からの信頼は失ってしまいます。施設の信用を崩さないように注意しましょう。

介護事務という仕事は、ただデスクに向かって仕事をするだけでなく、さまざまな仕事を施設から任せられます。お金を扱う仕事も多く、たくさんのお金を扱うことになるので、少しも気を抜くことができません。

請求作業で月末が忙しい

介護事務の仕事は月末が繁忙期となります。なぜなら、介護保険の請求は1カ月ごとにおこなわれるため、月末から翌月のあたまにかけて資料の作成や提出などの業務に追われるからです。

この繁忙期を知らない状態で働きはじめた場合は、この月末の忙しさにとまどってしまうこともあるでしょう。毎月の忙しさが均一な仕事ではないので、繁忙期があるという面で苦労することもあるかもしれません。

介護事務の魅力

介護事務の大変な面を紹介しましたが、もちろんやりがいや魅力もあります。たとえば介護事務は、利用者や外部の人と接する機会が多々あることから、直接感謝されることも少なくないため、やりがいを感じたりモチベーションになったりする人も多いです。

また、ミスのない作業が求められるという責任が大きい分、自分にしかできない仕事だというやりがいを感じる人も。

介護事務の仕事としての魅力はほかにもあるので、見ていきましょう。

介護保険制度について知ることができる

介護事務として働くうえで、介護保険制度について詳しく知ることができるという魅力があります。身につけた知識は、将来家族や周りの人に介護が必要になったときにも役立てられるでしょう。

年齢や体力を問わずに働きやすい

介護職員や看護師の場合、利用者を介助するため身体に負担がかかりやすいです。一方介護事務として働く場合、基本的にはデスクワークであるため身体に大きな負担はかかりにくく、年齢や体力を問わずに働きやすいでしょう。

ただし、施設によっては介護職と兼務することもあるため、事前に確認しておくと安心です。

ライフスタイルに合わせた働き方ができる

事業所にもよりますが、介護事務は正社員・パート・派遣社員など雇用形態が多数あることが多いため、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。家事や育児などと両立したいという人でも働きやすいでしょう。

高齢化によって今後さらに需要が高まる

高齢化によって今後介護事業全体の需要がさらに高まることが予想されるため、必然的に介護事務も需要の拡大が見込まれるのも魅力のひとつです。この先も恐らく仕事はなくならないため、一度介護事務を経験しておくとその後の仕事に困ることはないでしょう。

介護事務は今後も需要が高まる仕事のひとつ!自分のスキルを見つめ直してみよう

介護事務の仕事は一般企業の事務業務だけでなく、レセプトの作成や受付・労務管理・ほかの職員のサポートなど、多岐に渡ります。必須資格はありませんが、介護保険や介護報酬についての知識や基本的なパソコンスキルが必要です。

介護事務は介護・福祉業界に関心があり、経理の経験がある人や計算が得意な人、デスクワークが好きな人などに向いています。

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