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ヘルスケア 2022-12-02

「日本産精油を広めたい」多様な働き方を続けるにはブレない軸が重要【アロマセラピスト 古山順子さん】#2

1つのフィールドにとらわれずに活躍する方へのインタビューを通して、ヘルスケア事業者の多様な働き方を模索する本企画。前編に続き、大阪府でアロマセラピストとして活動しながら、自身のアロマブランドを立ち上げた古山順子さんにお話をお聞きします。

後編では、古山さんが多様な働き方をして感じたメリットや、成功するために大切なことを教えていただきます。

お話を伺ったのは…
アロマセラピスト 古山順子さん

語学スクールでの店舗マネージャー、人材業界での営業・採用コンサルティングを担当。アロマに興味を持ち、スクールで学んだ後に2サロン勤務を経て独立。2012年、大阪府豊中市にて自宅併設リラクゼーションサロン「アロマ&ホットストーンlahella(ラヘラ)」をオープン。2015年よりスクール、2018年より日本産精油を専門的に学ぶ「ひのもとアロマ講座」を開講。同年、日本産精油ブランド「かおりと」をスタートする。

プロから支持される日本産精油の講座も本格スタート

日本産精油の魅力と効能を伝え、
技術の向上に役立ててもらっているという講座

――前編でブランド展開についてお聞きしました。次に、もう一つ取り組んでいる「ひのもとアロマ講座」について教えてください。

もともと商品ブランド「かおりと」を立ち上げる際、講座ありきでスタートする予定でした。でも日本のアロマの情報は少なかったし、私もなかなか情報収集する時間が取れず、あまりクオリティのいいものではなくて…。そうこうしているうちにブランドが走り出してしまったので、そちらに注力するしかなかったんですね。だからブランドと講座も、明確に分けて進めていくことにしたんです。

やっと最近になって納得するかたちで講座が組み立てられるようになり、この秋から本格的に「ひのもとアロマ講座」をスタートしました。

――講座の反響はいかがですか?

「かおりと」がアロマセラピーをしている方や日本産精油を扱われる方の中で認知されるようになったので、「かおりとの古山さんの講座」として認識してもらっていると感じます。思いがけず、アロマの講師をされている方が、たくさん講座を受けてくださっていますね。他の日本産精油の講座を受講された方が、より深く知りたいと「ひのもとアロマ講座」を受講してくださることも多いです。

その分、講座の内容がどんどんプロ向けになっているんですが、それを聞いたプロの方がさらに「私も受けたい」と来てくださったりして。いい循環ができているなと思っています。

だから、講座はインストラクター養成を主とした資格ビジネスではなく、私から日本産精油についての話を聞きたいという方向け。「かおりと」をはじめとする日本産精油を、ご自身の施術で使いこなせるようになるための講座という位置づけで取り組んでいます。

主軸はブラさず、自分も関わる人もみんな幸せになる活動を

提携施設での蒸留風景。「かおりと」は、古山さん自らが訪れ、 良いと思った産地の精油だけを使って作られています。

――これまでお伺いした様々な活動について、共通して持たれている思いは?

アロマセラピストになると決めた時に、「自分も幸せになって、関わってくれた人も幸せになって欲しい」という気持ちがありました。そのときの気持ちは、変わらず持っていますね。自分がしっかり仕事をして稼いでいきたいと同時に、関わってくれた人たちに、やってよかったな、ここがあってよかったなって思ってもらいたいという気持ちがすごくあります。

サロンもお客様の居場所であると同時に、私が必要とされる私の居場所でもありました。また自分が好きだから始めた精油の製造販売という仕事も、私から買ってくれる人だけでなく、仕入れさせていただいている人まで、私が精油を売ることで幸せが循環していくような仕組みを考えて展開しています。

また「自分の幸せ」もベースにあるので、「自分がイヤだと思うことはやらない」というのも大切にしていることです。たとえ表面的に魅力的なものでも、どこかに違和感があるお仕事はしない。でないと、たぶん幸せ度が下がると思うんです。本当にやりたいことかどうかは、活動を決める際に見極めるようにしています

――多様な働き方をしてみて良かったことはありますか?

いろんなことをしてきましたけど、全然違うカテゴリに手を出すのではなくて、ひとつの軸として「日本産精油」があり、それがサロンや商品や講座などに展開しているんですよね。日本の精油って香りにまつわるものの中でもすごくニッチなんですけど、そこに特化してブレずにずっとやってきて良かったなと思います

その中でも、自社ブランドを作ったことは大きかったです。サロンや講座でサービスを提供するときよりも、「物」が広がるスピードってすごいなというのは感じました。最初は物ありきにしたくなかったんですが、思いがけずプロダクトが展開してくれたことで、他の活動にもすごく相乗効果が生まれています

「かおりと」の精油が知られることで、どんな人が作っているの?どんな想いでやっているの?どんな知識を持っているの?というところまで見てもらえるようになり、私自身のことや想いまで知ってもらえるようになりましたから。

――多様な展開が相乗効果を生んで、より大きな成果につながったんですね。

本当にやりたいと思ってやってきたからこそ、実ったことなのかなと思います。何かひとつ自分の軸になるものがあって、そこから枝葉を張っていくと、つながって大きな木になるようなイメージですね。

周りの理解と協力を得るためには、自分の熱量を伝えること

これからも日本産精油への愛情をベースに
発動の幅をひろげていきたいという古山さん。

――多様な働き方を成功させるために大切なことは何だと思いますか?

家族や周りの理解と協力は欠かせないと思います。そのためには、自分がどれだけ本気でやっているかだと思うんです。

サロンで十分潤っているのに、その利益をつぎ込んで商品開発をするというのは、理解できない人もいますよね。同じ仕事をしている人たちから「何になりたいの」と言われたこともあるし、同じ女性たちから「女性がそこまでガツガツやらなくても」ということを言われたこともありました。

でも何を言われても「私はこういう気持ちでやっているんだ」というのを言い続けていると、いろいろ関係のないことをしているように見えても、ひとつの軸があるということがちゃんと伝わる。「このゴールに向かうための道筋に必要なことなんだ」というのが明言化できて、且つその熱量が伝われば、きっと周りも応援してくれますから。

――最後に今後の展望を教えてください。

講座をやっと本格的にスタートしたところなので、まずはそこをしっかり展開して、受講生のコミュニティみたいなものを作りたいです。また、日本の精油を広めるという志は変わらず持ちつつ、日本産精油と言えば「かおりと」というブランディングをしていきたいですね。

それと同時に、私自身も今は余裕がないのでビジネスの領域で活動していますが、ゆくゆくは香りを必要としているけれど金銭面で難しいという方たちにも裾野を広げる活動ができたらと思っています。

また、製品づくりのプロセスにおいて雇用を生み出せるような活動もしたいです。障碍者施設に仕事を依頼するなど、アロマテラピーとは一見関係のない方たちに仕事をお願いしていけるような展開ができたら。みんなで「かおりとがあってよかったね」と言えるような活動を、今後も考えていきたいと思っています。


日本産精油を広めるという志を主軸に、多様な展開を続けている古山さん。ブレない軸を持つことが、多様な働き方を成功させるためには大切なんですね。今後さらに広がりを見せそうな古山さんの活動に注目です!

取材・文/山本二季

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