広告事業で得た資金と知識で、ジムの開業&運営に成功!【メルメイク 栗坂泰輝さん】#1
地方でヘルスケア事業に携わっている方に、集客や売り上げアップのための取り組みについてインタビューする本企画。今回は愛知県名古屋市を中心に展開しているパーソナルトレーニングジム「メルメイク」の代表、栗坂泰輝さんにお話をお聞きしました。
前編では、栗坂さんが「メルメイク」を作った理由と、その展開についてお聞きしました。
お話を伺ったのは…
「メルメイク」代表 栗坂泰輝さん
愛知県名古屋市を拠点に、2014年より広告事業を展開。2019年4月、パーソナルトレーニングジム「メルメイク」をオープン。以降、愛知県内に5店舗、横浜、福岡に各1店舗を展開。
やりがいが感じられる新事業としてトレーニングジムを開業
――まずはジム開業の経緯を教えてください。
私は以前から広告の仕事をしており、独立して広告会社も立ち上げました。ありがたいことに収益も出ているので生活のためには助かっています。ただ、広告事業というのは目に見えないお客様を相手にする部分が多いので、少しやりがいを感じにくい面があり、また長年やっているということもあって、ちょっとモチベーションが下がっていたんですよね。そのタイミングで、違う事業にも取り組んでみようという話が出てきて、トレーニングジムの運営を考え始めました。
その2年ほど前から、私自身トレーニングジムに通い始めていました。広告の仕事は接待などお酒の席が多いこともあり、健康診断で運動するように言われて(笑)。それがきっかけで筋トレをするようになり、2年もすると周りからも体つきが前と全然違うと言われるようになったんです。その経験から筋トレの大切さを知ったことが、ジム開業のひとつのポイントになりました。
また、広告事業の知り合いのなかにパーソナルジムをクライアントに持つ人がいて、収益が見込めるという話を聞いたのも、ジムをスタートする後押しになりました。対人という接客の業態なので、やりがいを感じられそうだなというのも大きかったですね。そういったいろいろな要素が重なって、パーソナルトレーニングジムを開くことにしたんです。
――1店舗目を2019年4月にオープンされたそうですが、準備期間はどれくらいでしたか?
動き出したのは2018年の12月頭くらいからです。4月のオープンまでの期間は、ほとんどインターネットでのマーケティングや広告ページの準備に使いました。また自分でもトレーナーとして動けるように、スクールに通ってトレーニングについて学びました。
――一般的なジム開業よりもスピーディに感じます。
そうですね。元々、自分で会社をしていたことも大きいと思います。広告業は、やると決めたらスピーディな人の多い業界ですから。
でも単に忙しいというより、すごく楽しんでできていたので、全く苦ではありませんでした。ちょっと下がっていた仕事へのモチベーションの熱を、一気にそちらに向けられた感じで。
広告会社と併行して運営できるように同じ名古屋市内で開業
――名古屋でスタートした理由は?
広告の会社も名古屋に事務所がありますし、スタート当初は私自身もトレーナーとして入るかたちで運営していたので、何かあったときに動きやすいようにというのが一番の理由です。2019年4月に伏見店をオープン後、8月に栄店、12月に名駅店をオープンしました。
――近めの地域に連続してオープンしたのは、何か戦略があったのでしょうか。
出店自体は、当初から資金があればどんどん出していこうという考えでした。ただコロナ禍が始まったことで、2020年は動きが鈍りましたね。
その地域に出店した理由は近いからというより、ネットマーケティングの戦略として名古屋近辺での主要な地域を押さえた感じです。名駅前、栄、伏見は、名古屋だと人も多く栄えている地域なので。
ジムを探すときって「ジム 地名」で検索しますよね。そこで検索に入れる確立の高い地域、マーケティング的にトレーニングジムの需要の高い地域というのを選びました。
――その後、2021年以降は豊田、福岡、新横浜にオープンしています。この3店舗はフランチャイズだそうですね。
はい。本当はできるなら2店舗目からFCでいきたかったんです。でもやはり実績がないと募集できないなということで、まずは人気エリアを押さえて実績を作ることにしたんです。
その後、コロナ禍で展開が遅れてしまいましたが、少し落ち着いた2021年からFCの募集もスタートしました。
――このタイミングで愛知県外にも展開されたんですね。
FCに関しては、オーナーさんの要望を聞きながら出店しました。住んでいる場所や基盤のある場所などもありますから。出店したい地域をヒアリングし、そこにトレーニングジムの検索需要があるのか、競合がどのくらいいるのかなどをリサーチした上で判断しています。
物件選びとネット広告の準備はとくに重要
――地方でのジム開業で特に大変だったことは何ですか?
強いて言うなら、パーソナルジムは物件を借りるときの審査がとても厳しいので、人気エリアで条件に合う物件を探すのは大変でしたね。トレーニング器具を使用する際の音の問題もありますし、建物の構造上しっかりしていないとダメ。でも人気の高いエリアに、その条件に合うところが少なく、あったとしても家賃がとても高かったり。
資金がなければ、一店舗目の伏見店もおそらく借りられませんでした。そこは別事業を元々していて、資金面での苦労がなかったのは大きかったと思います。1月から物件を借りて、4月のオープンまでは準備期間として営業はしていませんでしたから。そこはリスクではありましたね。
――借りてすぐに営業せず、準備期間をとられたんですね。準備期間では広告面に力を入れていたとのことでした。
独立してすぐに営業する方もいらっしゃいますが、やはり広報面の準備をしっかり固めてからスタートする必要はあると思います。集客ができなければ、何もできませんから。
しかし、ただ広告に力を入れるといっても、広告費ばかり嵩んで集客につながらなければ意味がありません。広告を適当にすると、広告費の無駄打ちになってしまいます。
ネット広告を見て、そこから問い合わせにつながるかが重要。そのためには広告ページの精度を上げないといけない。精度が上がれば上がるほど、広告費の単価に対して問い合わせ数が増える。そうすれば広告のコストも低くなります。
地方ジム運営で大切なこと3か条
栗坂さんが考える、地方でジムを運営するために大切なこと3か条を教えていただきました。
1.立地選び
2.集客力
3.トレーナーの質
後編では、この3か条について深掘りします。
取材・文/山本二季