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特集・コラム 2020-08-03

独立型社会福祉士とは? どんな仕事をするの?|社会福祉士として独立するメリット・デメリット

社会福祉士としての働き方は、人によってさまざまです。組織に属して、社会福祉士のスペシャリストを目指したいという人もいれば、独立して、より自由な立場で仕事がしたいという人もいるでしょう。独立開業して仕事をしていく社会福祉士は、「独立型社会福祉士」と呼ばれます。しかし、独立型社会福祉士とは一体どのような職業なのでしょうか。

そこで今回は、仕事内容や資格の必要性、また社会福祉士として独立するメリットとデメリットについて解説します。社会福祉士として独立したいと考えている人、社会福祉士としての働き方に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

独立型社会福祉士とは? どんな仕事をするの?

そもそも独立型社会福祉士とは、一体どのような職業なのでしょうか。まずは独立型社会福祉士がどのような仕事をするのか、その基本的な知識について解説します。

個人で事務所などを設立して活動する社会福祉士のこと

独立型社会福祉士とは、特定の施設や組織に属さず、独立して事務所などを開業してソーシャルワークの活動(社会福祉士としての活動)をおこなう人のことです。形としては、個人事業主、企業(株式会社)、NPO法人などがありますが、割合としては半数以上が個人事業主として活動しています。

どんな仕事をするの?|個人や法人と契約しての生活相談・支援業務など

独立型社会福祉士は、個人・家族、企業・法人・学校、公的機関・行政などと、それぞれ個別に契約を結んで仕事を請け負います。契約先の違いによって仕事内容も大きく異なるのが特徴です。

1. 個人と契約する場合の仕事
任意代理人、任意後見人、見守り、移送サービス、個別相談、個別援助、家族支援など

2. 企業・法人・学校と契約する場合の仕事
福祉サービス、福祉に関する企画・立案・調査、コンサルタント、アドバイザー、苦情解決のための委員、教育機関における講師、講演会・講話など

3. 公的機関・行政と契約する場合の仕事
ケアプラン作成、各種認定調査、各種審査委託、福祉関係の委員・援助事業、介護スタッフ育成、成年後見、自立支援サービス法に基づいた各種サービスの提供、研修の実施など

4. そのほかの仕事
地域ボランティアとして、ホームレスの支援活動、地域の啓発活動、地域ネットワークづくり、社会資源開発など

独立型社会福祉士になるには?

独立型社会福祉士になるためにはどうすればよいのでしょうか。また、資格は必要なのかどうかについて解説します。

社会福祉士の資格以外にはとくに必要ナシ!

どこかの施設に勤める場合であれ、独立して会社を立ち上げる場合であれ、社会福祉士の資格は絶対に必要な資格です。しかし、それ以外の資格はとくに保持する必要はありません。

社会福祉士になるためには、国が定める社会福祉士の国家試験に合格する必要があります。社会福祉士の国家試験は、誰でも無条件に受験できるというわけではなく、専門学校における指定のカリキュラムの修了や数年の実務経験といった一定の条件を満たさなければならないのです。

独立型社会福祉士になった場合、一定の要件をクリアすると日本社会福祉士会の独立型社会福祉士名簿に登録することができます。日本社会福祉士会の公式ホームページによると、以下が名簿登録要件です。

1.都道府県社会福祉士会の会員であるもの
2.認定社会福祉士認証・認定機構により認定された「認定社会福祉士」であるもの
3.本会へ事業の届出をしたもの
4.本会独立型社会福祉士委員会主催の独立型社会福祉士に関する研修を修了したもの
5.毎年の事業報告書の提出を確約したもの
6.社会福祉士賠償責任保険等への加入を確約したもの
7.独立型社会福祉士名簿の公開に同意したもの

なお、名簿登録は必須ではありませんが、以下の条件においては名簿登録が必須となります。

1.社会福祉士養成課程における相談援助実習をおこなう実習施設として実習生の受入れをおこなう場合
2.日本社会福祉士会の社会福祉士賠償責保険(独立型)Bプランへ加入する場合

独立型社会福祉士の給料・年収は?

独立型社会福祉士の給料・年収は、それぞれの事業主などで開きがあり、平均的な金額を示すのは難しいといえます。各事業所・事務所ごとに基本料金や相談料が設定されているため、それらの料金をホームページなどからチェックすれば、ある程度の目安を把握できるでしょう。

社会福祉事務所の多くは、初回相談は無料で2回目以降に相談料を請求するという形がほとんどです。相談料は1回につき2,000円~、1時間につき5,000円~、という具合に各事務所によって設定が異なります。

いずれにしても独立開業後は営業力が必要になりますし、開業して間もない時期は依頼が少なく収入が安定しないという可能性もあるのです。そのため、社会福祉士としての知識だけでなく、事務所をうまく軌道にのせるための経営の手腕も求められます。ほかの国家資格も取得して多角的な事業を展開できれば、より安定した事務所経営が可能となるでしょう。

社会福祉士として独立するメリット・デメリット

独立型社会福祉士がどのような仕事をするのかがわかったところで、社会福祉士として独立するメリットとデメリットについて、詳しく解説します。

社会福祉士として独立するメリットとは?

社会福祉士として独立する大きなメリットとして、「仕事の自由度の高さ」が挙げられます。事業所や施設に勤務する場合、仕事の内容は上司(責任者)の指示で決まることが多く、自身の意向がなかなか反映されないのが現実です。しかし、独立すればそのような制限はなくなり、自身の意思にもとづいて、より自由な発想と行動で仕事ができるようになります。

社会福祉士といっても、仕事の内容はさまざまです。そのなかで、理想とする支援のあり方の実現や社会福祉士として自分が本当にしたいことを実行していくには、どこかの組織に属するのではなく、独立して自由度の高い環境を自ら作り出すのがベストといえるでしょう。社会福祉士だけでなく、ほかの資格も取得すれば、仕事内容の幅を広げることができます。

社会福祉士として独立するデメリットとは?

社会福祉士として独立するデメリットは、やはり収入の安定が保証されないということです。どこかの組織に勤務するという形であれば、毎月のお給料が保証されます。しかし、独立すれば今後収入がどうなるかというのは、すべて自分次第です。仕事を獲得するための営業が必要になりますし、事務所経費などで毎月頭を悩ませることも少なくはないでしょう。

事務所を開業したものの、最初のうちはなかなか仕事が入らずに苦労する経営者も多いようです。現状で仕事が安定して入っていても、それがいつまでも続くという保証はありません。社会福祉士としての能力がどれだけ高くても、経営者としての能力が低ければ、事務所を経営していくのは難しいといえます。

この点を考えると、「自分は経営者としての能力があるかどうか」を見極めることは重要です。もしも経営能力がないと判断できる場合は、独立して事務所を開くのではなく、組織に属したうえで社会福祉士のスペシャリストを目指すという選択肢もあります。

独立型社会福祉士は個人事業主として働くソーシャルワーカー

独立型社会福祉士になるとは、個人で新たな事務所を開くなどして社会福祉士として独立することを意味します。仕事の仕方が自由になったり、仕事の幅が広がったりといったメリットがある一方、事務所代表者または個人事業主として経営を切り盛りしなければならない、難しい立場になるのです。

施設や事業所に勤務する形であれば、毎月の給料が固定されるので収入は安定しますが、仕事の自由度は低くなります。独立型社会福祉士として仕事をしていくのであれば、収入の保証はありませんが、より自由度の高い仕事ができるようになるでしょう。自身にとってどちらの働き方が合っているかを慎重に考え、ベストな選択をするようにしましょう。

出典元:
公益社団法人日本社会福祉士会 独立型社会福祉士
公益社団法人日本社会福祉士会 独立型社会福祉士の新名簿登録制度に関するQ&A 2020年4月版
社会福祉士事務所 アプカス 基本料金

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