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ヘルスケア 2023-01-29

17年目の決断。ファンベースを中心に据えたサロンへ カイロプラクター・本間友子さん

20歳という若さで独立し17年、麻布十番を拠点に活動するようになってから14年というカイロプラクターの本間友子さん。前編では、集客をしたことはほとんどなく、紹介とリピーターのみでカイロプラクターの仕事を続けてきたという本間さんに、なぜそのようなことが可能になったのかを伺いました。

女子柔道のオリンピック金メダリストの専属トレーナーだった、カイロプラクターの元に19歳で弟子入りしたという本間さん。その師匠から教わった高い技術の数々が、本間さんの今を支えているそうです。

後編では、現在の本間さんが行き着いたというファンベースの考え方について伺います。それまでは1人でも多くの患者さんに施術することを考え、定休日を作らずに予約を取っていたという本間さん。2年前にお子さんが生まれたこともあり、この働き方でいいのか悩んでいたそうです。そんなときに一冊の本に出会い、考え方が変わっていったといいます。

今回、お話を伺ったのは…

本間友子さん

カイロプラクター/カイロプラクティックサロン「warp」オーナー
女子柔道金メダリストの専属トレーナーだったカイロプラクターに、大学在学中の19歳で弟子入り。20歳で独立し、出張施術、自宅サロンを経て麻布十番にサロンを構える。その高い技術は評判を呼び、スポーツ選手や著名人の顧客も多数訪れる、人気サロンに成長。その一方で21歳からベストセラー作家山﨑拓巳氏のスタッフとしても働き始めており、山﨑氏からセブンポケッツ(7つの収入源)を持つことをアドバイスされた経験から、ライターやアートディレクターなどさまざまな顔も持つ。

1件でも多く予約を取りたいという思いから、ファンに愛されるサロンにしたいという思いへ

本間さんはここ数年で、サロン経営に対する考え方が変わってきたという

――患者さんへの向き合い方を変えたとのことですが、なぜ変えようと思ったのか、もう少し詳しく教えていただけますか?

それまでの私は、もっと多くの人に認知されて、お客さまの数を増やしていこうと思っていて、そのために行動をしていたところがあったんです。とくに20代前半の起業したての頃はその傾向がとても強くて。患者さんから要望があれば何時でも施術を受け付けてましたし、この患者さんの予約を今とらないともう二度と来てもらえないかもしれないという気持ちが強かったんです。その頃の私にとっては売上を上げていくこと、数字を追うことが大事なミッションでした

でも2年前には子どもが生まれたこともあり、自分の時間の使い方について真剣に考えるようになったんです。そんなときに出会ったのが和田裕美さんの『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』という本でした。

――どんな本だったのですか?

この本は売り込みやSNSのバズりによって売上をあげるのではなく、ファンに愛されることで売れる秘訣を書いた本です。本の冒頭に「ちょっとだけ『目先の利益』を求めることをやめてみませんか?」と書かれていて、それが自分の心にぐさりとささって(笑)

もちろん若いときには目先の利益を追うことが必要だった時期もあるのですが、出産による体調の変化など自分の環境や状況が変わってきたこともあり違和感が出てきていたんですね。そこから患者さんの数を増やすのではなく、今来てくださっている患者さんが定期的に、長く通ってくださるような、ファンベースを中心に据えたサロン作りを目指していこうと決めました

患者さんに向き合い、しっかりとしたフォローができるように

本間さんのサロン「warp」。2階がサロンとなっている

――具体的にはどのようなことを変えたのでしょうか?

通ってくださる方への発信方法を変えたんです。それまで私は症状がひどい方を除いて、自分からは次回予約の話はしないようにしていました。私自身が美容院やマッサージに行ったときに、次回予約の話をされるのが嫌だったので(笑)。お客さまから来てくださるまでは何もしないというスタンスだったんです。

でも来てほしいと思っていることを、発信しなければ伝わらないと気付いて。そこでそろそろメンテナンスが必要だなと思った方には、最近体の調子はどうですかとLINEをしてみるようになりました。来ていただくタイミングを100%お任せするのではなくて、定期的な発信によってここのことを思い出してもらうようになり、お越しいただく回数が増えたと思います。

あとは最近、サロン専用のインスタも開設したのですが、そのストーリーズに予約が空いている日時を発信することもあります。こちらもたまたま見た方から予約が入り、来ていただけるようになりましたね。

――施術の内容も変わりましたか?

施術そのものは変わっていませんが、患者さん1人ひとりときちんと向き合い、フォローができる体制になったのかなと思っています。若い頃は1日にマックス12人くらい施術していたこともあって、予約時間内に施術を終わらなきゃ!と時間に追われていました。

でも今はゆったりとその方に向き合い、その方が今求めていることや悩んでいることなどをしっかり覚えていられるようになりました。その方の悩みを解決する本があればおすすめできるようになったり、アドバイスできることも増え、これまで以上にお客さまとの関係性が強くなっていると思います。私も患者さんのファンになり、心から応援できる関係性を作りたいと思って接しています。

自分が面白いと思うことを、面白いと思える形で続けていきたい

これからも仕事のジャンルにとらわれず、面白いと思うことにチャレンジしていきたいと本間さん

――カイロプラクター以外にもさまざまなお仕事をされている本間さんですが、その根本にあるのはどんな思いなのでしょうか?

自分が面白いと思うことに挑戦し続けて生きていきたい、という思いです。私はカイロプラクターと並行して、21歳から作家の山﨑拓巳さんのスタッフとして働いてきました。拓巳さんに言われてきたのが、1つの収入源に頼らず、それを増やすということです。そのアドバイスに従って仕事を増やしてきた結果、収入源が増えただけでなく、自分が面白いことに本気でチャレンジできるようになったと思います。

カイロも拓巳さんのお手伝いの仕事も、最近始めたライターの仕事も、全部面白いと思っていますし、これからもそういう仕事を見つけたら挑戦していきたいと思っています。


自分がやってみたいと思う気持ちに正直に従い、すぐに動き出す瞬発力と行動力を持っている本間さん。さまざまなチャレンジのすべてを楽しんでいる様子が感じられ、お話しを聞いているこちらも前向きな気持ちになれました。カイロプラクターとして活躍したい人はもちろん、業種をまたいで仕事の幅を広げて行きたい人も参考にしてみてはいかがでしょうか。

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