ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2023-11-10

喀痰吸引の業務に必要な資格は?研修内容や取得するメリットを紹介

介護士として喀痰(かくたん)吸引を行う場面に遭遇する機会もあるでしょう。喀痰吸引を行うためには、特定の研修や追加の実地研修を受けなければいけません。

今回は、喀痰吸引の業務に従事するために必要な研修や資格の概要、研修を受けて喀痰吸引ができるようになる3つのメリットについてご紹介します。

喀痰吸引を行うために必要な研修内容が知りたい方は、参考にしてみてください。

喀痰(かくたん)吸引に従事するために必要な資格は?

介護福祉士実務者研修や介護福祉士といった資格を取得しさえすれば、喀痰吸引に従事するための資格が自動的に付与される訳ではありません。

ここでは、喀痰吸引を行うために受講しなければならない研修について紹介します。

介護福祉士実務者研修や介護福祉士の資格だけではNG

喀痰吸引を行うためには、喀痰吸引研修の基本講習と実地研修の両方を受けなければなりません。介護福祉士実務者研修や介護福祉士のカリキュラムには「医療的ケア」があり、喀痰吸引の基本講習は受講できますが、実地研修は受けられないのが特徴です。

そのため、介護福祉士実務者研修や介護福祉士の資格試験に合格したからといって、そのまま喀痰吸引の業務に従事できる訳ではありません。

引用元
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験
厚生労働省:介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について

喀痰吸引等研修や事業所での実地研修の修了が必須

喀痰吸引の基本講習を受けていない方は、喀痰吸引等研修や特定の事業所で実施される基本講習と実地研修を受けることで、喀痰吸引を行えるようになります。

介護福祉士実務者研修や介護福祉士のカリキュラムで基本講習を受講済みの方は、対応している病院や福祉施設で実地研修を受けることで、喀痰吸引を行えるようになります。

【保有資格別】介護職員や介護福祉士が喀痰吸引を行うためには?

介護職員が喀痰吸引を行うための資格を得るルートは、資格の有無や保有資格によって変わります。ここでは、喀痰吸引を行えるようになるまでのルートを確認しましょう。

介護福祉士実務者研修を修了している方

介護福祉士実務者研修のカリキュラムに「医療的ケア」の講義と演習が含まれています。

そのため、介護福祉士実務者研修を修了している方は基本講習が免除されるのが特徴です。あとは喀痰吸引等研修か、実地研修を受ければ喀痰吸引を行えるようになります。

介護福祉士国家試験に合格している方

介護福祉士の受験資格には、介護福祉士実務者研修や喀痰吸引等研修の受講が条件づけられています。そのため、介護福祉士国家試験にのぞむ時点で基本講習か実地研修、もしくはその両方がすんでいる状況です。

ただし、2015年以前は介護福祉士の養成施設のカリキュラムには医療的ケアがなく、2015年以降に喀痰吸引の基本講習を含む医療的ケアの講義が学校で受講できるようになりました。

そのため、2015年よりも前に介護福祉士の国家試験に合格している方は、基本講習と実地研修をどちらも受講しなければなりません。

引用元
厚生労働省:介護福祉士養成施設における「医療的ケア」の追加について(概要)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験

その他の介護職員の方

介護福祉士実務者研修や介護福祉士の資格を保有していない方に関しては、登録された研修機関において、喀痰吸引研修(講義・演習・実地研修)を受講しなければなりません。

受講後は研修機関で研修修了証明書が発行されます。その後、管轄する都道府県に申請し、認定特定行為業務従事者として認定されれば、喀痰吸引を行えるようになります。

喀痰吸引等研修の概要

喀痰吸引等研修には基本研修と実地研修があり、喀痰吸引を行う対象によって、研修内容が異なります。ここでは、喀痰吸引等研修の詳細についてチェックしましょう。

1号・2号・3号研修の違い

喀痰吸引等研修は、喀痰吸引の対象によって研修内容が以下のように異なります。

不特定多数に施す処置なのか、特定の人物に施す処置なのかによって、受講する研修の種類が異なるのが特徴です。また、不特定多数に対して行える処置の幅によっても研修の種類は変わります。担当する業務を想定しながら、受講する研修を選びましょう。

引用元
厚生労働省:喀痰吸引等研修~研修課程(1)

基本研修の内容

喀痰吸引等研修の基本研修の内容は以下のとおりです。

引用元
厚生労働省:喀痰吸引等研修~研修課程(1)

実地研修の内容

喀痰吸引等研修の実地研修の内容は以下のとおりです。

喀痰吸引等研修を受ける3つのメリット

喀痰吸引等研修を受けるメリットは、他の介護職の方が対応できない喀痰吸引や経管栄養といった業務に従事でき、ニーズのあるスキルや知識を身につけられる点です。

ここでは、喀痰吸引を行えるようになる具体的なメリットを再確認しましょう。

1.現場から求められるスキルを得られる

自力でたんを出すのが難しい方に喀痰吸引を行ったり、自力で飲食するのが難しい方に対して経管栄養による栄養補給を行ったりと、幅広い利用者に対応できるのが魅力です。一般の介護職が対応できない業務に従事できることで、より現場から求められる人材を目指せます。

2.実践的なスキルが身に付く

喀痰吸引等研修では、講義や演習だけでなく介護現場で実際に使われている機材や施設で実地研修できるので、研修後には現場で即戦力として活躍できるスキルを獲得できます。

現場で必要とされるスキルを獲得できるのが大きなメリットです。

3.自分自身のキャリアアップに役立つ

喀痰吸引の知識やスキルは、全ての介護職が身につけている訳ではありません。喀痰吸引の業務に対応できるということは、より幅広い利用者に対応できることを意味します。職場での昇進や転職時のアピールポイントとして有効活用できる可能性もあるでしょう。

基本研修や実地研修を受けて、喀痰吸引の業務に従事していこう!

喀痰吸引等研修や登録研修施設で実地研修を受けることで、喀痰吸引を行えるようになります。介護福祉士実務者研修や介護福祉士が「医療的ケア」のカリキュラムで学べる内容はあくまでも講義と演習なので、実地研修を追加で受講する必要があります。

喀痰吸引等研修で喀痰吸引を行えるようになると、より幅広い利用者に対してサービスを提供でき、自分自身のキャリアアップにもつながる可能性が高いです。

必要な研修を受講して、現場で求められる喀痰吸引の業務に従事していきましょう。

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事