思いを受け継ぐ卒業生をたくさん輩出して、全国に「ガラスの靴」を広めたい【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.93/メイクセラピスト・小林友子さん】#2
「ヘルスケア業界」のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロに、お仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。
今回お話を伺ったのは、メイクセラピスト・小林友子さん
東京・吉祥寺で「ガラスの靴」を営む小林さん。「印象変えちゃう専門家」として、エステやパーソナルカラー、メイクセラピーで、お客様の「綺麗になりたい!」を全力でサポートしています。
前編では、小林さんがメイクセラピストになったきっかけや、セラピーで大切にしていることなどを伺いました。後編では、現在の働き方や今後の目標、未来のセラピストに向けたアドバイスを伺います。
お客様の自己成長をサポートし、
その人の日常、人生に関わることが
この仕事のやりがい
――現在でのサロンでの働き方を教えてください。
完全予約制で、午前中の予約だと11時から、午後だと13時からスタートというのが多いです。お客様がいらっしゃる1時間前には到着して、準備をしています。この仕事は、施術だけでなく、準備と片付けにも時間がかかるんですよ。準備に1時間、片付けに1時間、施術が2〜3時間だとして、1組のお客様に少なくともトータル4〜5時間必要なので、1日に受けられる予約は1組か2組ですね。
――ルーティンなどはありますか?
朝のルーティンは、必ずお風呂に入ること。そして、たとえ家から出ない日でも毎日フルメイク(笑)! これが私のモチベーションになっています。メイクをすると、「しゃん」とするんですよ。よほど体調を崩していない限りは、毎日メイクするし、多少の体調不良なら、メイクした方が早く元気になれる気がします。そう考えると、私自身メイクにすごく助けられていますね。
夜のルーティンは、キッチンとリビングをきれいに片付けてから寝ること。朝起きた時、気持ちよく1日が迎えられます。
――ご自身のケアやリフレッシュはどのようになさっていますか?
月に1〜2回は他のサロンさんの施術を受けに行きます。もともとエステやマッサージを受けるのが大好きなので、旅行を行く時も、行き先にエステやスパがあるかどうかは必須です! 娘が結婚するまでは、家族でよく海外にダイビングをしに行っていましたが、そこでも私はダイビングよりエステの方が楽しみでした。
――まさに「癒しの旅」ですね。すごくストレス解消になりそうです。
ストレス解消でいうと、最近、茨城にセカンドハウスを建てたので、週末はそこで過ごしています。そこでは何もしないでゆっくりするって決めていて、ただただのんびり過ごす。もう、最高の癒しですね!
余談ですが、夜はお気に入りのレストランを巡り、週末に太って平日に戻す、というのを繰り返していましたが、最近は戻らなくなりました(苦笑)。
――この仕事のいいところややりがいは何ですか?
お客様に喜んでもらえること、お客様の日常や人生に、少なからず影響できるところです。メイクセラピーは、「自己成長のサポート」なので、お客様が変わっていく姿を間近で見つつ、伴走できる、サポートできるっていうのは、私にとってすごくやりがいです。
美容院に行くような感覚で
メイクセラピーを受ける人が増えて欲しい
――今後力を入れていきたいことや目標はありますか?
メイクセラピー業界でいうと、もっと気軽に受けてもらえるようになったらいいな、と思います。海外の「セラピー」は、割と日常的なものなのですが、日本ではまだまだ「病気の人が受けるもの」というような認識で、ハードルを感じますよね。でも、私のメイクセラピーのベースとなっている「岩井式メイクセラピー」は、病気の人が受けるものではないんです。もっと自分の魅力を引き出して、自分自身に自信を持ってもらう。可能性を高めて一歩踏みだす勇気を持ってもらう。それを後押しするものなので、美容院に行くような感覚で足を運んでもらいたいと思います。
また最近、私もメイクセラピストの養成講座が開講できるようになりました。先日一期生として、2人のメイクセラピストが誕生したのですが、そのうちの1人が「ガラスの靴」を引き継ぎたいと言ってくれたんです。すごく嬉しかったですね。もちろん快諾して、私が作った「印象変えちゃう専門家」の肩書きと「ガラスの靴」のロゴマークも差し上げました。
実は「ガラスの靴」というサロン名は、「岩井式メイクセラピー」の創始者であり、私の師匠でもある岩井結美子先生がつけてくれたんです。今後、ガラスの靴からたくさんのセラピストを輩出して、先生に恩返しもしたいですね。
――養成講座で大切にしていきたいポイントはありますか?
心理学の学習は、岩井先生監修の動画学習ののち、学んだことを噛み下いて、よりしっかり自分のものにしてもらえるよう、レポートを提出したり、宿題がでたりします。ここまでは全体の養成講座と同じなのですが、「ガラスの靴」の養成講座では、さらに学びを深めるために復習シェアの時間を大切にしています。
というのも、養成講座自体にセラピー的な要素があるんです。要するに、メイクセラピストになる過程もメイクセラピーの一つなんです。知識や技術をしっかり身につけながら、改めて自分自身と向き合う。そこでの気づきをシェアすることで、より深い学びになります。
取るべき資格を取り、学ぶべき知識を学び、
常に「新しい学び」に貪欲に!
――これからメイクセラピストを目指す人が学んでおくといいことや経験しておくといいことなど、アドバイスをお願いします。
プロとしてお金をいただくのであれば、学ぶべきものをしっかり学び、取るべき資格を取り、より高度なサポートができるように努力することが必要です。
また、「資格を取ったら終わり」ではなく、新しい学びに貪欲になり、知識を身につけていきましょう。メイクセラピーは日常をポジティブに変化させていくものです。普段の生活全てが学びになりますよ。そして、今度は学んだことを意識して生活する。そうやって、自分自身にしっかり落とし込んでいくんです。トライアンドエラーで頑張ってください。
――ありがとうございました! 最後にメイクセラピストの心得3ヵ条をお願いします。
・人を綺麗にすることが好きで、喜んでもらうことが好きなこと
・人の成長を喜べること
・誠実でいること
誠実でいることは、どの職業でも同じですが、お客様を相手にする私たちのような職業では、特に欠かせません。また、人の成長を素直に喜べる人であるためには、自分自身も成長し続け、心が満たされていないといけません。
私も常に前向きに、学び&成長し続けたいと思います。
前編・後編を通じて、熱い思いを語ってくださった小林さん。取材後お話をしていると、「実は心には、綺麗になることを躊躇する心理もあるんですよ」と教えてくれました。確かに、イメチェンするには多かれ少なかれ勇気がいることもあります。「でもそこで『このままでいいや』と諦めてしまうことは、とてももったいない! 一歩踏みだす後押ししてあげるのも、私たちの仕事なんです」とのこと。とても心強いお言葉でした。小林さんを信頼し、「ガラスの靴」に通うお客様や、その思いを受け継ぎたいという生徒さんがたくさんいる理由がわかった気がします。
貴重なお話をありがとうございました!
取材・文/児玉知子
撮影/喜多二三雄